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インタビュー

「iPhoneのiモード搭載にこだわりはない」──ドコモ 辻村清行氏Mobile World Congress 2008

Mobile World Congress 2008の会期中、NTTドコモブースで同社プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏に話を聞くことができた。ドコモは世界のモバイル業界をどのように俯瞰しているか、iPhone導入交渉の行方はどうなるのかを直撃した。

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 NTTドコモは、スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress 2008に毎年ブースを構え、日本でのサービスや端末などを展示している。日本を代表する携帯電話キャリアである同社は、世界のモバイル業界をどのように俯瞰しているのか。また、話題のiPhone導入については実際のところどうなのか。会期中に取締役常務執行役員 プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏に話を聞く機会があったので紹介する。

LTE、Android、UIの進化が注目ポイント──iPhoneは依然交渉中

ITmedia 今回のMobile World Congress 2008をご覧になって、どのような感想を持ちましたか。

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NTTドコモ 取締役常務執行役員 プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏

辻村清行氏(以下辻村氏) 大きく分けて3つ、インパクトがありました。まず1つはLTEのデモがとても多かったことです。これまでLTEは、遠い未来の話としてイメージされていましたが、現実的になってきました。MIMOを使い、数十Mbpsを実現できるという世界にリアリティがでてきたわけです。欧州ではUMTSからHSDPA、さらに一気にLTEへ向かう可能性があります。光(ファイバー)のような通信速度がモバイルでも現実のものとなり、本格的な動画時代の幕開けがすぐそこに迫っています。

 2つめは、GoogleのLinuxベースのプラットフォーム「Android」を稼働させたものがでてきたこと。Google Mapsなどが動くことで、こちらも現実感が増してきました。

 さらに3つめがユーザーインタフェース(UI)の革新です。UIはよりPCライクになることで、携帯電話とPCが1つになっていくでしょう。タッチパネル端末が増えてきたのは、おそらく米Appleの「iPhone」の影響なのだと思います。

ITmedia iPhoneといえば、2007年6月19日の株主総会で株主からiPhoneについての見解を求められ、辻村さんが「iPhoneの導入を積極的に検討したい」と回答されていました。昨年末から「NTTドコモがアップルと交渉中」といった報道が相次いでいますが、実際のところ、現状はどうなっているのでしょうか。

辻村氏 実際にAppleと話をしていることは事実です。しかし、詳細を詰めた議論はしていません。決定権はApple側が持っているので、何とも言えない状況です。

ITmedia iPhoneはAppleのビジネスモデルであり、iモードなどは載せられないと推測されます。iモードサービスが一切利用できないという点は、NTTドコモにとって障壁になるのでしょうか。

辻村氏 iPhoneはiPhoneです。iモードが載せられないことはまったく問題にはなりません。iモードの搭載についてはこだわりはありません。

ITmedia ソフトバンクモバイルと熾烈な争奪戦を繰り広げているという推測もありますが、実際のところ、どうなのでしょうか。

辻村氏 あちらも獲りに行こうとしているようですが、詳細は全くわかりません。アップルが決めるだけのことですから、うちがどうこうするような立場でもないです。

LTEはインフラ構築よりもビジネスモデルが重要

ITmedia LTE(スーパー3G)の分野において、ドコモは世界の最先端にいると思います。そうすると、LTEの開始時期にまたドコモが世界に進出する、ということはあり得るのでしょうか。

辻村氏 確かにLTEの実用化の面では、ドコモが世界の中で進んでいるのは間違いないと思います。しかし、LTEが世界進出のきっかけではないと考えています。共同実験からEricssonが入ることになりましたが、まずはいろいろなメーカーと開発を行っていき、そのノウハウをどう使っていくかをしっかりと考える必要があると思います。インフラ構築よりもビジネスモデルをどうしてくかが重要です。動画を中心に新しいサービスを開発しなくてはなりません。

ITmedia 足下に目を向けますと、905iシリーズが好調な一方で、新規契約者の獲得にはつながっていないように思えます。今後はどのように攻めていくお考えですか。

辻村氏 確かに純増は大切な要素だと思っています。しかし、905iシリーズを投入してからというもの、解約率が低下し、また905iというハイスペック端末のおかげで動画のトラフィックが伸びてきています。ビデオクリップは20万タイトル以上がそろうなど、コンテンツも充実してきました。

 そういった動きを見たとき、これからのキャリアに求められるのは“品質”であると考えています。LTEの時代に向けてネットコントロールをしっかりとやっていきます。ネットワークには速さを求める一方で、適切なコントロールも欠かせません。“アクセルとブレーキ”が重要になるでしょう。トラフィックの多い場所などではパケットを適切にコントロールして、ユーザーにきちんと満足して使ってもらえるネットワークを提供する。そのようなキャリアになることで、これからはユーザーから信頼されていきたいと考えています。

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