SSD搭載で圧倒的な性能を――「Endeavor NA104」を検証する:価格に見合う?(2/2 ページ)
エプソンダイレクトのモバイルPC「Endeavor NA104」には、BTOメニューにSSDが用意されている。どこまで性能が変わるのか、検証してみた。
10万円に価格に見合うのか? SSDの実力を検証する
最後にベンチマークテストの結果から本機のパフォーマンスを探っていこう。なお、今回はPC USERのレビューでおなじみのPCMark05と3DMark06、Final Fantasy XI オフィシャルベンチマーク3(以下、FFベンチ)に加え、SSDのパフォーマンスを確認すべくCrystal Disk Markの計測を行なった。
PCMark05の結果は、総合スコアのPCMarksこそ3271と標準的ながら、細かく見ていくとHDDテストの結果が16212という圧倒的な値をマークしているのに驚かされる。ストレージ容量は64Gバイトと、格安ノートPCよりも小さいデメリットがある一方で、読み込み/書き込み速度ではHDDを大きく上回るSSDのメリットを証明した形だ。
なお、CPUテストのスコアは2995、Memoryテストのスコアは2650と、いずれも特筆するほどの値ではないが、モバイルノートPCとしては不満のない成績と言える。ただ、Intel 945GMS Expressチップセット内蔵のグラフィックスコア(GMA950)の性能は振るわず、Graphicテストは691という結果に終わっている。
Crystal Disk Markでは、シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライト(512KB)、ランダムリード/ライト(4KB)の3つの転送速度を計測する。SSDを搭載した本機の計測結果と並べて、デスクトップPC用の3.5インチハードディスク(500Gバイト/7200rpm/SATA2)の結果も掲載した。直接比較としてはふさわしくないが、あくまでSSDのパフォーマンスを知る手がかりとして利用してほしい。
結論から言うと、SSDはシーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライトのすべてのテストにおいて、3.5インチHDDを圧倒するアクセス速度を叩き出した。特に、4KBのランダムリード/ライトの結果はずば抜けており、リードでHDDの約23.5倍、ライトで約3.2倍もの速度を達成している点には大いに注目できる。実際にPCを使用するうえでは、小さいファイルサイズのデータを大量に読み込むケースも少なくない。この結果から、SSDの搭載が体感性能の向上に大きく貢献していることが分かる。
Windows Vistaに搭載される「Windows エクスペリエンス インデックス」の結果も上記2つのテストと同じ傾向で、プロセッサとメモリの両テストが4点台、グラフィックス周りの2つのテストが2点台となった。プライマリHDDの結果は突出しており、テスト結果の上限値である5.9を記録している。
続いて、3DMark06とFFベンチの結果からグラフィックス機能の性能を見ていくが、PCMark05のGraphicスコアを見ても分かるとおり、Intel 945GMSのグラフィックスコアは3D描画を多用するソフトウェアをスムーズに走らせるには厳しい。3DMark06の結果は145と、DirectX 10世代のグラフィックスチップに最適化されたテストであることを差し引いても振るわない結果だ。
一方、FFベンチの結果は低解像度モードが1847、高解像度モードが1229と、FFベンチの評価基準では「デフォルト状態でストレスなく動作できるマシン」に相当するスコアとなった。ただし、テスト実行中の画面は、多数のキャラクターが動き回るシーンではスムーズな表示とはほど遠い状態で、快適にゲームを楽しめるとは言いがたい印象だった。
SSD搭載機は文句なしに快適だがHDDモデルも完成度高し
今回試用したSSD搭載モデルは、データアクセスの際に動作が息継ぎを起こしてストレスを感じることが一切なく、全体として極めて快適な操作性を得ることができた。ただし、BTOでの価格は単体で10万円近くに達するため、評価機のパーツ構成をそのまま万人におすすめするのは少々心苦しい。
とはいえ、モバイルノートPCに欠かせない堅牢性、長時間バッテリー搭載時の十分なスタミナ、指紋センサを筆頭としたセキュリティ機能といった要素がもれなく詰め込まれた本機は、ストレージデバイスにHDDを搭載した一般的な構成でも、常時携帯するノートPCとして不満なく使えると感じた(あえて不満点を挙げるなら液晶の表示品質か)。
価格もモバイルノートPCとしては安価であり、2台目のPCとして購入しやすいのもうれしいところだ。屋外に持ち出すPCや、サブPCの購入を検討しているなら、本機は購入対象に含めるべき1台と言える。
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