「未来の地球を守るため」――エプソンが掲げる2050年の環境目標とは?:J8サミットの支援も(2/2 ページ)
エプソンは北海道洞爺湖サミットの開催に合わせて、千歳事業所で同社の環境活動をアピール。地域協力の一環として、J8サミットへの支援も行った。
2050年の地球を考えた「環境ビジョン2050」
続いて、田中氏はエプソンの将来的な環境活動のビジョンについて話題を移し、「エプソンは全社的な環境活動に取り組んでいるが、その一方で、地球の温暖化や、鉱物資源と化石燃料の枯渇は進んでおり、このままの活動の延長線上では地球環境の危機的状況に対応できなくなるため、今後は将来あるべき姿を逆算して考える必要がある」と問題提起した。こうした視点からエプソンは6月2日、2050年に向けた環境活動における長期的な指針「環境ビジョン2050」を発表、より高度な環境保全を目指していくという。
環境ビジョン2005とは、気温上昇を2度以内に抑えるために、2050年に予想される自然界のCO2吸収能力(110億トン)を、人類が等しくCO2を排出できて同時に全員が排出を削減する努力をすることと考えると、エプソンが排出を許されるCO2の量は製品の全ライフサイクル(取引先の部品製造から廃棄、リサイクルまで)において現状の10分の1になるという視点から、「CO2の排出量を現状の10分の1に抑えつつ、生態系の一員として地域社会とともに生物多様性の修復と保全を行う」という指針だ。
なぜ10分の1なのかという詳しい理由について、田中氏は「分かりやすいロジックを積み上げたかった」と語る。2050年の時点における自然界のCO2吸収能力は110億トンで、世界人口は90億人にのぼるが、日本の人口はその1%にあたる0.9億人になると予想される。ここで、人類が等しくCO2を排出できて同時に全員が排出を削減する努力を行う前提では、日本のCO2排出許容量は90億人のうちの0.9億人分にあたる1%の量、つまり110億トンの1%である1.1億トンになる。この1.1億トンという数値は、現在の日本のCO2排出量13億トンと比べて、約10分の1に相当するというわけだ。
田中氏は「現時点でCO2削減量を10分の1に減らす明確な計画は見えていない」としながらも、実現には「エプソンの責任領域をもっと広く考えて、有識者の意見を採り入れつつ、パートナーやサプライヤーと同じ危機意識を分かち合って、協力していくことが欠かせない」とし、「このビジョンは代々受け継いでいかなければならず、まずは10年後の姿を今年いっぱいかけて検討していきたい」と語った。
J8サミット2008千歳支笏湖の参加者へ浴衣を提供
なお、エプソンは冒頭で述べたように地域社会への協力活動の1つとして、J8サミット2008千歳支笏湖を支援している。J8サミットは、世界8カ国の首脳が国際問題を討議するG8サミットの開催に合わせて、G8で取り上げられる国際問題を子供の視点から話し合い、世界と各国首脳に提言することを目的に、2005年から実施されている。
今年は7月7日から9日まで開かれている「北海道洞爺湖サミット」に並行し、7月1日から10日まで外務省とユニセフの主催によって、支笏湖周辺地域を含む千歳市でJ8サミット2008千歳支笏湖が開催中だ。エプソンは、同社製プリンタで柄を印刷した浴衣や風呂敷、うちわを国内外から参加している39人の代表者に提供している。
7月4日の晩に開催された、J8サミット2008千歳支笏湖市民実行委員会の主催による歓迎レセプション「Chitose Night」では、参加者全員がエプソンから提供された浴衣を着用し、千歳市の食材を使った料理や茶道を体験しながら歓談したり、皆で盆踊りを踊るなど、日本文化に触れた。
今回エプソンが提供した浴衣の模様は、千歳市内の高校生が描いた市の魚「サケ」と、同じく市内の小学生が書いた「千歳」「支笏湖」の文字が印刷されたもの。64インチ対応の大判プリンタ「PX-20000」を使用し、型紙の上に布を張り付けた状態で印刷。印刷後に布をはがし、色落ちしないように乾燥させてから縫製して作った。
インクジェットプリントで浴衣を作るメリットとしては、浴衣を染色して作る方法に比べて、水などの資源を抑えられ、小ロット多品種や短納期へ対応可能で、色数の制約がなく、省スペースで生産できることが挙げられるという。
そのほか、Chitose Nightの会場では、インクジェット複合機の「PM-T990」を用いて、オリジナルのうちわを作成するデモを実施。千歳市の小学生などがデザインしたうちわを印刷して来場者に配布し、プリンタの活用法をアピールしていた。
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