潜入調査!── 中国のちょい“裏”PC市場:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)
北京や上海を訪れた日本人は、ショッピングモールを見て「おや、意外と最先端」と驚く。しかし、この記事を読めば「別な意味」で驚くことになるだろう。
タワー型全盛の中国安物“中古”PC市場
中古市場では、上記の家電製品に加え、中古PCがデスクトップPCとノートPCを問わず多数売られている。
中古デスクトップPCはショップブランドのタワーPCだったものが主流で、Willamette(Pentium 4の第1世代)以前、新しくてもPrescott(Pentium 4の第3世代)といったCPUが当たり前のように搭載されている。自作PCが盛んな中国ではパーツをアップグレードしながら長く使うのが普通になっている。そのため、中古PC市場では取り外された「数世代前のPCパーツ」も大量に流通している。
一方、ノートPCは、数年前まで「秋葉原に陳列されていました」と思わしき、同じ型番の日本語キーボード搭載ノートPCがよくあったが、最近は英語キーボードを搭載したノートPCが多くなってきている。どの中古PC市場でも、デルやHP、COMPAQといった外国ブランドが主流だ。
農村部では、地域の中核となる町でもPCの普及率が低いため、中古PC市場というものが存在しない(中古家電市場もほとんど見かけない)。そのため、PCを安く買おうとしても、地元のPCショップが販売するショップブランドしか選べない状況にある。そうした意味では、農村部で家電やPCを購入するのは、都市部より選択肢が少なく、価格的ハードルが高いといえる。
なお、中国メーカーが開発したRISC CPU搭載の安価なPCが複数の会社からリリースされているが、広大な中国の農村に店舗を展開できないためか、企業のWebページかショッピングサイトなどのオンラインで購入するしか方法はなく、農村部の人々には別の意味で手の届かない存在となっている。
中国でも表だって紹介されない、知る人ぞ知る、そうした庶民密着型の市場。明日の生活にも困りそうな人々が集まってくるところでもあるため、治安はあまりよろしくなく、明らかに外国人と分かる服装では、規模の大小はあれ事件に巻き込まれる危険性は否定できない。この警告を無視してでも行ってみたいなら、それ相応の覚悟と「オーラ」を出して行くべし。
関連記事
- 中国電脳街の美人店長と値引き交渉
「複雑怪奇!」な中国電脳街の購入術。白物家電にPCパーツアップグレードとなかなかにディープな世界を紹介してきたが、今回は液晶ディスプレイで値引き交渉に挑戦した。 - 中国で“デュアルコア”なCeleronを探す……はずだった(後編)
連載第1回目で購入したレノボ製PCをアップグレードするべく、中国内陸都市の電脳街に突撃した筆者たち。当初の目的「日本未出荷のデュアルコアCeleron」を狙うも、あっさり方向転換を迫られたのであった。 - 中国で“デュアルコア”なCeleronを探す
GeForce 8800 GSにSempron 2100、そして、AMD 780Gと「中国先行」PCパーツが最近目立つ。そんなユニークな中国PCパーツ事情の現場に突入した。 - 新禧新禧!中国の初売りで白物家電“+α”を入手せよ
福袋の中身で一喜一憂するのが日本のお正月商戦。旧正月が本番の中国でも、この時期は年末年始商戦でやっぱり盛り上がるのだ。 - 中国復帰10年めの香港電脳事情
返還後に「100万ドルの夜景」もだいぶ変わったと聞く香港。10年でどれだけ中国に染まったのか。電脳街からのリポート。キーワードは「水貨」だ。 - 「あらやだ、中国製なのこれ」──上海セレブにみる中国富豪のIT事情
中国奥地のIT事情には涙が止まらないが、上海は高級舶来PCやPSPであふれていた。「お、同じ国ですか」と思うほどに異なる中国最先端都市の電脳街を紹介しよう。 - 北京五輪で盛り上がるか?中国“テレパソ”事情
大規模スポーツイベントが開催されるたびに、PCメーカーは「PCでTVを録画」する需要を喚起する。北京五輪は中国でも「PC特需」を起こすのだろうか。 - 大陸美人に会いたいなら中国電脳街に行こう
今年の海外旅行は近場が人気ということで中国を訪れるIT戦士も多いそうな。この記事を読めば中国の電脳街で有意義な休日を過ごせること間違いなし。ああ、何が有意義か、とは聞かないでくれたまへ。 - 中国人にUMPCは売れるのか
先日の北京IDFでUltra Mobileプラットフォームについてのスピーチが行われた。でもさ、開催国の中国でこれ売れるのかな。 - Vista登場で中華PCのOS事情は変わるのか
中華PCというと「OSなし」「DOS入り」「Linux入り」という印象が強い。政府の「正規OS入れなさい」宣言から初めてとなる新Windowsの出荷でメーカーの対応やいかに。 - 迷走する“EVD”を試しに購入してみた(後編)
「 前編」で購入してきたEVDで筆者は“華流AVライフ”を満喫……できたのだろうか。そもそも、EVDに明日はあるのだろうか。 - 迷走する“EVD”を試しに購入してみた(前編)
中国の次世代光メディアの標準に「なりたい」EVD。なんだか2006年末に大セールをしているようだったので、思わず買ってしまったっ。吉となるか凶となるか今年初めの運試し。 - 「値切り」ができちゃう中華オンラインショッピング事情
ネット利用者が1億人を越えた中国は当然オンラインショッピングも活況を呈している。そこで人気なのは「中国の風習」を巧みに取り入れたショッピングサイトなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.