最もフツーに使えるEee PC――「1000H-X」実力診断:今なら予備バッテリーが当たるかも(3/3 ページ)
「Eee PC S101」の陰に隠れてしまった感もあるが、高輝度10型ワイド液晶+160GバイトHDDが魅力の「Eee PC 1000H-X」も捨てがたい。その使い勝手をチェックした。
HDD搭載でもEee PCらしい長時間バッテリー駆動を維持
では、HDD搭載の影響はパフォーマンスやバッテリー駆動時間にどのような影響を与えているのだろうか。今回入手した機体に搭載されていたHDDは、2.5インチ/5400rpm/9.5ミリ厚のSeagate製「Momentus 5400.4」の160Gバイト(ST9160827AS)で、現在単体販売が行われている現行モデルだ。
ベンチマークテストは定番のPCMark05とFF XIベンチを実施した。PCMark05は内蔵ディスプレイでは一部の項目(Graphics)が実行できないため、外部ディスプレイを接続して1280×1024ドットで実行した。Graphics以外の項目はディスプレイ解像度の違いでほとんど変化がないことを確認済みだ。
総合スコアのPCMarksは1575となっており、これは901-Xよりも高い。ただし、この要因はHDDのスコアが高いことで、CPU、Memory、Graphicsはほぼ同等だった。同じくHDDを搭載したMSIの「Wind Netbook U100」に近いスコアだ。では、901-Xより速いかといわれると、そうとはいい切れない。901-XのSSDはライト性能は低いが、SSDが得意なランダムアクセス性能まで含めるとリード性能はそれほど悪いわけではないからだ。901-Xとの比較であれば、得意不得意がある程度に考えたほうがよい。
バッテリー動作時間はカタログスペックで約6.9時間とされており、901-Xの約8.3時間より約1.4時間短い。同じ6セル(7.4ボルト 6600mAh)のリチウムイオンバッテリーを使用しているが、内蔵ストレージがHDDであることと、液晶ディスプレイのサイズ(厳密にはバックライトの影響が大きいと思われる)の違いが、バッテリー駆動時間に大きな影響を与えている。
試しに、ディスプレイ輝度が最大の状態で電源設定を「ポータブル/ラップトップ」に設定し、無線LAN(IEEE802.11g)でインターネットに接続。BBench 1.01(Web巡回60秒間隔、キーストローク出力10秒間隔)を使ってバッテリーの駆動時間を計測したところ、4時間18分の動作が可能だった。モバイルユースでも及第点といったところだ。
機を逸した感はあるが、使い勝手のよさが魅力の「最も普通なEee PC」
冒頭でも述べた通り、1000H-Xは国内で10月25日に発売されたが、台北ではEee PC 901と同時に6月に発表されている。Eee PC 901の国内向けであるEee PC 901-Xが7月に販売開始されたのに対し、1000H-Xは3カ月以上も国内への投入が遅れた形だ。直接の競合製品といえるMSIの「Wind Netbook U100」は7月から店頭に並び、その3カ月間にNECや東芝といった国内大手PCベンダーからもフォームファクターの近い競合製品が相次いで登場した。
Eee PCシリーズを見てもディスプレイやキーボードのサイズが同等で、より薄型軽量なプレミアムモデル「Eee PC S101」が11月22日に発売されたこともあり、発売時期としては少々機を逃した感は残る。Eee PCシリーズ内で見れば「最も普通のノートPCに近い仕様」といえるが、「1000H-Xでなければならない」という魅力は少々薄らいでしまったといえる。
とはいえ、Netbookの選択肢として有力候補の1つに挙げられることは確かだ。家電量販店での実売価格は5万台前半で推移しており、S101の6万9800円に比べると1万5000円程度も安い。ネットワーク機能の充実やバッテリー容量、さらには液晶ディスプレイに常時点灯ドットがある場合に交換を行ってくれるZBDサービスが付加することまで考慮すると、お買い得な「普通に使いやすいNetbook」であるのは事実だ。約1.45キロという重量は軽くはないが、これは6セルバッテリーとのトレードオフとして納得できる。
1000H-XはNetbookでも運用の手軽さや使い勝手重視、もちろんバッテリー動作時間も重要といった人にとっては、十分に魅力な製品といえるはずだ。ちなみに、ASUSは2009年1月18日までに1000Hシリーズを購入すると、抽選で毎週2000名(合計1万本)にバッテリーパックをプレゼントする「Eee PC 1000Hシリーズ バッテリープレゼントキャンペーン」を実施している。この機会に検討してみるのもいいだろう。
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