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ワイド液晶を搭載して生まれ変わった「ThinkPad X200」の実力を探る元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)

ビジネスツールとして人気の高いレノボのThinkPadで、携帯性に優れたXシリーズ。今回はThinkPad X200をチェックした。

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拡張スロットもブラッシュアップ

ThinkPad X200(745426J)の主なスペック
CPU Core 2 Duo P8400(2.26GHz)
チップセット Intel GM45 Express
メモリ 1Gバイト(PC3-8500)
グラフィックス Intel GMA 4500MHD
HDD HGST Travelstar 5K250(160Gバイト/5400rpm)
ディスプレイ WXGA(1280×800ドット)
無線LAN Intel WiFi Link 5100(802.11a/b/g/n)
Bluetooth あり
指紋センサー あり
バッテリー 4セルリチウムイオン
OS 32ビット版Windows Vista Business(SP1)

 今回試用したX200は、製品番号745426Jで示される標準構成モデルだ。Webでの直販などで提供されるカスタマイズモデルではなく、量販店の店頭でも購入可能なカタログモデルだ。その主要なスペックは、次の通り。メモリは1Gバイトモジュールが1枚だけインストールされており、1スロットが空きとなっている。

 この仕様の実機について重量を計測したところ、本体が1203グラム、4セルバッテリーが198グラムだった(合計で1401グラム)。カタログでは4セルバッテリーを含めた重量の平均値が1.35キロとされており、50グラムほど重い。しかし、無線LANやBluetooth、指紋センサーを全部省き、ストレージをSSDにした最小構成にすれば1.35キロ程度の重量に収めることは可能だろう。前モデルのX61がカタログ上の平均値1.42キロ(4セルバッテリー込み)とされていたことからして、X200は若干ではあるものの軽量化されているのではないかと思われる。

 X61との比較で大きく変わった部分は、拡張スロットとメモリカードリーダーだ。X61では拡張スロットがCardBus対応のPCカードスロット(TypeII)だったが、X200ではExpressCard/54スロットに改められている。昨今は通信カードのExpressCard対応も増えてきており、時代に即した変更といえるだろう。

 前面(開閉ラッチは右側)に用意されるメモリカードリーダーには、従来のSDメモリーカードスロットに代わり、メモリースティックにも対応した5in1スロット(SD/SDHC/MMC/メモリースティック/メモリースティックPRO)が標準採用された(国内モデルの場合)。スロットはフルサイズのメモリースティックが完全に本体内に収まるものだが、逆に小型のDuoだとアダプタが必要になる。SDメモリーカード(SDHC対応)も標準サイズに対応したもの(もちろん装着時に出っ張ったりしない)で、miniやmicroの利用にはアダプタが不可欠だ。なお、この5in1スロットはFAXモデムとセットになっており、5in1スロットを搭載する国内向けモデルは、すべてV.90対応のFAXモデムを内蔵することになる。

 このモデムジャックと同じ本体右側面には、USB 2.0ポート、ヘッドフォンやマイク端子、HDDベイ、ケンジントンロックが並ぶ。HDDは標準的な2.5インチフォームファクタ(9ミリ厚)で、衝撃緩和用のゴムレールを介して本体に取り付けられる。基本的に交換が容易な構造になっている点は、これまでのThinkPadシリーズと同様だ。

 左側面には、手前からExpressCard/54スロット、無線LANの電源スイッチ、USB 2.0ポート、有線LAN(10BASE-T/100BASAE-TX/1000BASE-T対応)、アナログRGB出力、もう1つのUSB 2.0ポート、排気口、DC入力端子が並ぶ。本体が備えるディスプレイ出力はこのアナログRGBのみで、デジタル出力(DisplayPort)の利用にはドッキングステーション(ThinkPad X200ウルトラベース)が必要になる。

前面右側に開閉ラッチとメモリカードスロットが並ぶ(写真=左)。背面はバッテリーのみで端子は用意されていない(写真=右)

左側面には排気口や2基のUSB 2.0、アナログRGB出力、有線LAN、無線LANの電源スイッチ、ExpressCardスロットが用意される(写真=左)。右側面はHDDベイやFAXモデム、USB 2.0やサウンド端子がある(写真=右)

携帯性とパフォーマンスのバランスに優れた手堅い1台

 ThinkPad Xシリーズで特筆すべきことの1つは、冷却ファンの優秀性だ。X300シリーズと同時に開発されたと思われるフクロウ羽タイプのファンは、静粛性と冷却性を両立させたもので、キーボードやパームレストがほとんど熱くならない。それでいながら、耳障りなノイズ(風切り音)を出さないという優れものである。

 ポート類を左右側面に振り分けて、背面には何も設けず、バッテリースペースにするというのが典型的なThinkPadのスタイルであり、それはX200にも踏襲されている。標準で採用されるバッテリーはモデルにより異なるが、試用した745426Jには軽量な4セルバッテリーが付属する。カタログ上はこの4セルバッテリーで3.8時間、6セルバッテリーで7時間、オプションの9セルバッテリーで最長9.8時間のバッテリー駆動が可能(いずれもJEITA測定法1.0)とされている。

 この745426Jに対し、1Gバイトのメモリモジュールを1枚追加し、2Gバイト構成にしていくつかベンチマークテストを行ってみた。比較用のデータを提供することができないのが残念だが、おおよそ同クラスのCPUを搭載したA4サイズのノートPCと変わらない。言い替えれば、光学ドライブを外すことなどで1キロ近い軽量化を図りながら、ほぼ同等の性能を実現したB5サイズのノートPC、それがThinkPad X200ということになる。


PCMark05のスコア

CrystalMark 2004R3のスコア

PCMark Vantageのスコア(OSがWindows Media Centerを搭載しないVista Businessのため、TV and Moviesでは一部テストのみ実施)

 同様のことはX61にも該当したが、解像度がXGAの液晶ディスプレイは明らかに上位のノートPCに比べて狭い印象を与えた。それを解消し、光学ドライブ以外のすべての要素を満たしたうえで携帯可能にしたX200は、モバイルにも処理能力を求めるユーザーに、ほかにない選択肢を提供する1台だ。確かに、モバイルノートPCとしては比較的重い部類に入るが、通常電圧版CPUの採用は、リーズナブルな価格(最安値店で12万円以下)の実現にも貢献している。外出時であっても性能を犠牲にしたくないユーザーには最適な1台といえるだろう。

 次回は、ThinkPad X200 Tabletを取り上げる予定だ。

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