色調整機能とデジタイザを内蔵した“究極”モバイルWS──「ThinkPad W700」発表
レノボ・ジャパンは、自ら「近年加速している」というモバイルワークステーション市場に、機能満載の巨艦モデルを投入する。「75万円超」という驚異の価格とともにその機能を紹介する。
レノボ・ジャパンは8月26日に、モバイルワークステーションの最上位モデルとなる「ThinkPad W700」の3機種を発表した。今回登場する3機種のThinkPad W700のうち、Core 2 Extreme QX9300を搭載する「27585EJ」は、パフォーマンスを重視するユーザー向けの系列で、Core 2 Duo T9600を搭載した「27574LJ」とCore 2 Duo T9400を搭載した「27574JJ」は、システム管理機能を重視する企業ユーザー向けの「vPro テクノロジー Centrino 2」対応系列とされている。
このシリーズは、先日発表されたモバイルワークステーションラインアップ「ThinkPad W500」の上位モデルになる。ThinkPad W500は15.4型ワイド液晶ディスプレイを搭載していたが、ThinkPad W700は17型ワイドの液晶ディスプレイを搭載したことでボディが大型になったほか、色調整機能やパッドタイプのデジタイザをパームレストに搭載するなど、その機能は大幅に拡張されている。また、最上位モデルでは、IDF 2008で発表されたモバイル向けクアッドコアCPUの「Core 2 Extreme QX9300」が搭載され、GPUでもThinkPad W500が搭載していたMobility FireGL V5700から、Quadro FX 3700M、もしくは Quadro FX 3700Mへ変更された。
発表当日に行われた製品説明会で、レノボ・ジャパン マーケティング・広報本部 執行役員本部長の原田洋次氏は、ThinkPad W700を「究極のThinkPad」と表現し、外に持ち出しても高度な演算処理をこなすことができ、かつ、従来からThinkPadの特徴であった堅牢性や強固なセキュリティ、快適な操作性、管理負担を軽減するThinkVantageを備えるなどの、製品コンセプトを紹介した。
原田氏は、ThinkPad W700を市場に投入する理由を、モバイルワークステーション市場が「1年間で24万台から25万台出荷されており、そのうちの2割がモバイルワークステーションで占めている。このシフトは近年加速している」と説明する。さらに、レノボ・ジャパン 大和事業所 研究・開発 モービル製品技術担当の永井正彦氏は、ThinkPad W700の開発ではインテルの協力を得て、モバイルワークステーション市場の動向、利用しているユーザー層、そして、ユーザーが求めている機能に関する情報や、ノートPC向け技術に関するレクチャーを受けていたを明らかにした。
説明会では、ThinkPad W700の特徴として、世代が新しくなったGPUのQuadro FX 3700Mと同 2700Mによってグラフィックスのパフォーマンスが向上したことが紹介された。説明会で示されたデータでは、Quadro FX 3700Mを搭載したThinkPad W700の最上位モデルとQuadro FX 570Mを搭載したThinkPad T61pとの比較で、Open GL系ベンチマークテスト(説明会ではspec viewprefのデータが用いられた)で1.75倍、DirectX系ベンチマークテストの3DMark(03か05か06かは不明)で4.01倍の差が出ていた。
ほかにも、Serial ATA対応HDDを2台搭載してRAID 0/1に対応できることや(FDEにも対応可、また、後日にはSSD搭載モデルも登場する予定)、最大解像度1920×1200ドット、400カンデラ/平方メートル、色域72%の17型ワイド液晶ディスプレイ(ただし、27574JJは、17型ワイドながら、解像度は1440×900ドット、200カンデラ/平方メートル、色域45%となる)がThinkPad W700の特徴として紹介されたほか、最上位モデルの27585EJに搭載された、色調整機能とデジタイザー機能については、デモも交えて説明された。
ThinkPad W700に搭載される色調整機能は、X-rite のHueyPROで使われているキャリブレーションセンサーをパームレストに搭載できるように小型化することで実現している。センサーはパームレスト上端中央、クリックボタンの右隣に設置され、その大きさはちょうど指紋センサーとほぼ同じになる。ソフトウェアはX-rite HuryPRO付属のものとほぼ同じ機能を持っているが、ThinkPad W700の色調整処理は液晶ディスプレイを閉じて行うため、パネルを閉じてもシステムがサスペンドや休止しないようにする機能が付加されている。
レノボ・ジャパン製品開発研究所 システム技術 第4システム技術の天神篤彦氏によるThinkPad W700のデモでは、実際に色調整処理が行われたが、ソフトウェアを起動してパネルを閉じ、ほぼ1分間待つだけで色調整が完了するところが紹介された。
天神氏のデモでは、パームレストに搭載したデジタイザを使ったフォトレタッチ作業も紹介された。ThinkPad W700には、ワコム製のデジタイザがポインティングデバイスとして用いるタッチパッドの右脇にパームレストの縦幅にほぼ相当する128×80ミリのサイズで設置されている。ワコムのデジタイザは専用のペンで操作するが、そのペンホルダーもThinkPad W700の左側面に用意されている。
今回登場するThinkPad W700で、色調整機能とデジタイザを内蔵するのは、Core 2 Extreme QX9300とQuadro FX 3700M、メモリ4Gバイト、Blu-ray Discドライブを搭載する最上位モデルの27585EJのみで、その価格は73万5000円となる。その下位モデルで、Core 2 Duo T9600とQuadro FX 2700M、メモリ2Gバイト、DVDスーパーマルチドライブを搭載する27574LJの価格は48万2500円だ(液晶ディスプレイのスペックは2モデルとも同じ)。
レノボ・ジャパンでは、ThinkPad W700の追加モデルを後日発表するとしているが、色調整機能とデジタイザが最上位モデル以外で搭載されるのかについては「現在、検討中」とだけ回答した。
型番 | 27585EJ | 27574LJ | 27574JJ |
---|---|---|---|
CPU | Core 2 Extreme QX9300(2.53GHz) | Core 2 Duo T9600(2.8GHz) | Core 2 Duo T9400(2.53GHz) |
メモリ | PC3-8500/2048MB×2 | PC3-8500/2048MB×1 | PC3-8500/1024MB×1 |
HDD | 200GB×2(RAID 0) | 200GB×2(RAID 0) | 160GB×2(RAID 0) |
液晶ディスプレイ | 17型ワイド(1920×1200ドット) | 17型ワイド(1920×1200ドット) | 17型ワイド(1440×900ドット) |
グラフィックス | Quadro FX 3700M | Quadro FX 2700M | |
内蔵ドライブ | Blu-ray Discドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | |
無線LAN | IEEE 802.11a/g/n(nはドラフト) | ||
Bluetooth | 対応 | ||
指紋センサー | 搭載 | ||
色調整機能 | 搭載 | − | |
デジタイザ | 搭載 | − | |
OS | Windows Vista Ultimate(SP1)64ビット版 | Windows Vista Business(SP1)32ビット版(Windows XP Professional(SP2)32ビット版ダウングレード対応) | Windows Vista Business(SP1)32ビット版 |
価格 | 73万5000円 | 48万8250円 | 42万円 |
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