フォトレビュー:出荷直前AM3マザー「790GX-G65」の素性を急いで調べる:イマドキのイタモノ
DDR3対応のPhenom IIとAM3対応マザーボードによるレビューはすでに紹介しているが、本格的な出荷は3月からの予感。ここでは出荷を待つMSIマザーを画像で紹介しよう。
2009年1月に45ナノメートルプロセスルールを採用したPhenom IIが登場し、2月にはDDR3に対応したPhenom IIが発表された。最初にDDR2対応プラットフォームを投入し、1カ月も経たないうちにDDR3対応モデルをリリースするタイミングもさることながら、自作PCユーザー向けに店頭で販売されるのが、トリプルコアのPhenom II X3 720 Black Editonと2次キャッシュを4Mバイトに減らした「Phenom II X4 810」だけという微妙なラインアップに、AMDフリークも買おうか買わぬかたいそう悩んでいると聞く(Phenom II X3には興味深いうわさもあるが)。
発表からほどなく、Phenom II X3 720 Black Editionと一部のAM3マザーボードの出荷が始まったが、Phenom II X4 810や、多くのAM3マザーの出荷は3月に入ってからとみられている。MSIの「790GX-G65」も2月中旬にリリースされたものの、出荷は3月からの予定だ。
予想されている実売価格は1万8000円前後と、ミドルレンジの価格帯になるようだが、MSIの製品らしく、オーバークロック機能(自分でFSBの上限を探り出してチューニング設定をする“MAX FSB”や、BIOSではなく基板のディップスイッチでFSBを変えてしまう“EZ OC Switch”など)や、使い勝手を向上させる機能(PCケースいらずの基板スイッチ“Easy Button”や、USBメモリを使ってBIOSのバックアップやアップデートが行える“M-Flash”)が用意されるなど、「自分で組み立てたPCで思う存分遊びたいっ」ユーザーが気軽に購入できるマザーボードとして評価されそうだ。
790GX-G65に盛り込まれた“遊べる機能”の実力と使い勝手は後日改めて紹介するとして、ここでは、その外観と搭載されているインタフェース、そして、実装されたコントローラチップなどから、このマザーボードの素性を紹介していこう。

MSIのAM3対応マザーボード「790GX-G65」は、AMD 790GXとSB750を採用する。DDR3対応のメモリスロットしか持たないので、DDR2のメモリコントローラだけを内蔵するAM2、もしくはAM2+対応のCPUは搭載できない(写真=左)。メモリスロットは4基用意されている。DDR3メモリを800MHz、1066MHz、1333MHzで駆動するほか、MSIのオーバークロック機能によって1600MHz駆動にも対応するとされている(写真=右)
790GX-G65に搭載されたIGPの「AMD 790GX」(写真=左)とSB750(写真=右)。AMD 790GXも登場してから半年以上が経つ。AMD 790FXの下位モデルという位置付けだが、グラフィックスコアにRadeon HD 3300を統合することでUVD2が利用でき、「AMD HD! Experience」にも対応するなど、これからのHDコンテンツ時代で活躍できるだけでなく、外付けのハイエンドグラフィックスカードを2枚組み込んでCrossFireを構築すれば、ヘビーな3Dゲームも十分楽しめるなど、守備範囲の広いチップセットとして多くのAMDフリークに支持されている
電源回路周辺とグラフィックスコアを統合したIGPは、ヒートパイプで連結された2つのヒートシンクで放熱する。790GX-G65には、ファンを用いるアクティブクーラーユニットが搭載されていない(写真=左)。拡張スロットはPCI Express x16が2つ(ただし、x16動作は右に見える濃い青のスロットのみで、左に見える薄い青のスロットはx8動作になる)、PCI Express x1が2つ、PCIが2つという構成。AMD 790GXでは、チップセットに統合されたRadoen HD 3300とPCI Express x16スロットに差したグラフィックスカードを連動して使う「Hybrid Graphics」をサポートするほか、PCI Express X16スロットに差した2枚のグラフィックスカードで「CrossFire」も構築できる(この場合は、2つのスロットはx8で動作する)
MSIは、マザーボードに実装する機能に固有の名称をつけてユーザーにアピールしている。オンボードに用意された電源スイッチ、リセットスイッチ、そして、CMOSボタンなど、PCケースに収納しないで使うことが多いオーバークロッカーのために用意されたのが「Easy Button」と呼ばれる機能だ(写真=左)。790GX-G65のパックパネルに用意されたインタフェース。Radeon HD 3300をチップセットに統合しているだけあって、画像出力にはアナログRGB出力やDVI-Dに加えてHDMIも用意している。また、eSATAとIEEE 1394aもそれぞれ1つずつ搭載する(写真=右)。USB 2.0は6個あるが、オンボードに3つ用意されたヘッダーピンでさらに6ポートの拡張が可能だ
オンボードに用意されているSerial ATAのコネクタは5つ。バックパネルのeSATAも含めて、すべてSB750が制御する。SB750ではRAID 0、1、0+1、5(またはJBOD)をサポートしており、790GX-G65でも構築が可能だ(写真=左)。サウスブリッジのヒートシンクに刻印されたMSIのロゴ(写真=右)。これまで、このロゴはノートPCなどで用いられてきたが、この春からPCパーツでも採用されるようになった
電源回路用のヒートシンクを外す。790GX-G65では、4フェーズの電源回路を採用する。システムの負荷に合わせて有効なフェーズ数を動的に変更させる。現在有効なフェースは基板に用意されたLEDで確認できる(写真=左)。790GX-G65にはVPNコントローラとして、Phenomから実装されるようになったSplit Power Planeに対応する「L6740L」が実装されている(写真=右)
AMD 790GXでは、チップセットに統合したグラフィックスコアがローカルのグラフィックスメモリとして使える「Side Port Memory」をサポートしている。790GX-G65では、そのためにエルピーダの「J1116BASE-DJ-E」を基板に実装する。DDR3の128Mバイトのメモリで1333MHzの駆動が可能だ(写真=左)。有線LANのコントローラはギガビットLANに対応するRealtekの「RTL8111DL」を利用する(写真=右)
IEEE 1394aのコントローラにはVIAの「VT6315T」を採用している。PCI Expressに対応するこのチップで、バックパネルとオンボードに用意された2つのIEEE 1394aインタフェースを制御する(写真=左)。オーディオコーデックはRealtekのALC889を利用する。108dBという優れたS/N比とBlu-ray DISCに収録された7.1チャネルのHDオーディオへの対応などが特徴として挙げられる(写真=右)
790GX-G65に搭載されたクロックジェネレータ「RTM880M-793」とディップスイッチの組み合わせ。これで「EZ OC Switch」を実現している。ディップスイッチを切り替えることで、FSBを「デフォルト」「10%増」「15%増」「20%増」と変えることが可能だCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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