AMD、6コア搭載の「Phenom II X6」と最新チップセット「AMD 890FX」「AMD 880G」「AMD 870」発表
日本AMDは、4月27日に6コア搭載CPUの「Phenom II X6」シリーズとAMD 8シリーズチップセットの新モデル「AMD 890FX」「AMD 880G」「AMD 870」を発表した。
自動オーバークロック機能を導入した“6コア”Phenom
Phenom II X6シリーズとして登場するのは「Phenom II X6 1090T Black Edition」と「Phenom II X6 1055T」の2モデル。開発コード名「Thuban」と呼ばれてきた6コア内蔵のモデルだが、45ナノプロセスルールを採用するなど基本的な構造は従来の「Deneb」とほぼ共通だ。2次キャッシュメモリはコアごとに512Kバイト、3次キャッシュメモリはコア共有で6Mバイト実装する。CPUに統合されたメモリコントローラは、DDR3-1066、またはDDR2-1066をサポートする。TDPは120ワット。
Phenom II X6シリーズでは、システムの状態に合わせて動作しているコアのクロックを自動でアップする「Turbo CORE Technology」が導入された。インテルのTurbo Boost Technologyに近い技術だが、Turbo CORE Technologyでは、3コア単位で動作クロックが制御され、6コアが有効になっている状態ではオーバークロックにはならない。有効なスレッドが3つ以下になると、動作しているコアの倍率設定が上がって動作クロックが上がる仕組みになっている。なお、モデルナンバーの末尾に「T」を付けることで対応を示すとしている。
Phenom II X6 1090Tは定格動作で動作クロックが3.2GHzだが、Turbo CORE Technology有効時では最高で3.6GHzまで上昇する。また、Phenom II X6 1055Tも、低格では2.8GHzだが、Turbo CORE Technologyによって最高3.2GHzまで上昇する。
Phenom II X6 1090Tの実売予想価格は3万円台半ばとされており、すでに予約が始まっているパーツショップなどでは3万5000円を下回る実売価格を設定しているケースもある。同様に、Phenom II X6 1055Tは実売予想価格が2万円台前半といわれている。
オーバークロック耐性に優れたAMD 890FX
AMD 890FXは、すでに登場しているAMD 890GXの上位モデルとなるチップセットで、グラフィックスコアを統合しないタイプだ。グラフィックスカードを組み込むPCI Express x16スロットの2基搭載に対応するほか、42レーンのPCI Expressをサポートする。また、サウスブリッジとして組み合わせるSB850にはUSB 3.0とSerial ATA 6Gbpsのコントローラが内蔵される。
AMD 880Gは、グラフィックスコアとしてDirectX 10.1に対応するRadeon HD 4250を統合したチップセット。AMD 870はAMD 880Gからグラフィックスコアを省いた構成になる。ただし、プロセルルールはAMD 880Gが55ナノメートルであるのに対し、AMD 870は65ナノメートルを採用する。そのため、AMD 880GはAMD 890GXの下位モデル、AMD 870はAMD 890FXの下位モデルという位置づけになる。ともに、サウスブリッジにはSB710を組み合わせるので、USB 3.0とSerial ATA 6bpsを利用するには専用コントローラをオンボードで搭載する必要がある(一部のマザーボードではSB850を組み合わせるケースも確認されている)。
関連記事
- Phenomも6コア時代に突入──3万円台の「Phenom II X6 1090T Black Edition」で幸せになる?
2010年は“6コア元年”。3月に登場したCore i7-980Xに続き、今度はAMDがPhenom II X6シリーズを発表した。ThubanはGulftownにどこまで迫れるか? - Phenom II X2 555 Black Editionでブラックな“うわさ”を試す
AMDがエントリークラスのPhenomとAthlonを拡充。既存モデルのクロックアップ版を投入した。中でも“555”は、もうそれだけでいいことがありそうな予感が。 - TDP125 ワットのPhenom II X4 965 Black Editionで何がどう変わった?
Phenom II最上位モデル“965”が登場。「あれっ、もう売っているよ」と思いきや、TDPが125ワットになったという。そのシステム消費電力と性能をチェックした。 - はざまを埋めるトリプルコアがAthlonでも──Athlon II X3 435の存在理由を考える
AMDから、Athlon IIシリーズの「Athlon II X3 435」が発表された。共有3次キャッシュなしの高クロックトリプルコアが発揮する性能とメリットとは? - 「Phenom II X4 965 Black Edition」でNehalemに挑む
日本の風習なんか関係ないぜ、とお盆に合わせてAMDがPhenom II X4の最高クロックモデルを発表。こちらも「お盆なんか関係ないぜ」とベンチマークにいそしんだ。 - 省電力モデルにX2──選択の幅が広がった「AM3」CPUを一挙に試す
COMPUTEX TAIPEI 2009にあわせたように、AM3対応CPUが一度に登場。今回発表された低消費電力版や3コア、2コア版、そしてAthlon II X2を一気に試してみる。 - TDP 下がって使い勝手向上──TDP95ワットの「Phenom II X4 945」
Phenom II X4 955の125ワットというTDPにおじけづいていたユーザーにAMDが贈るTDP95ワット版のPhenom II X4 945が登場した。気になる消費電力はどうなった? - AM3 を選ぶ「理由」がそろった──Phenom II X4 955のパフォーマンスをチェックする
高クロックモデルが不在だった“AM3”に3.2GHzの「Phenom II X4 955 Black Edition」が登場した。AM2+版Phenom IIの最高クロックを超える本命Phenom II X4の性能を検証する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.