とっても暑い夏だから、“95ワット版”Phenom II X6を使ってみる:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
PCケースの中でブン回っているCPUの温度が気になる日本の夏。Phenom II X6にさりげなく加わっている“95ワット版”で少しは涼しくなるのか、試してみる?
確実に消費電力を削減した95ワット版
消費電力に関しても、使うアプリケーションによってその差は変わるものの、すべてのベンチマークテストでPhenom II X6 1055Tの95ワット版は、ほかと比べて一段低い。アイドル時の消費電力も低い。
ただ、ここでPhenom II X6 1090Tの消費電力について注目しておきたい結果がある。多くのテストで、最高のベンチマークテストの結果を出す一方で、消費電力も最も高い値を示している。ただ、TMPGEnc Xpressで測定した消費電力と処理にかかる時間を検討すると興味深い傾向が確認できた。もちろん、消費電力が最も多いのがPhenom II X6 1090Tであるのは変わりないが、高い性能を発揮できるPhenom II X6 1090Tは処理時間も最も短く、Phenom II X6 1055T(125ワット版)より20秒早く処理が終わっている。
その結果、処理時間で積算した消費電力を比較すると、Phenom II X6 1055T 125ワット版が最も多く、Phenom II X6 1090Tはその次となる。処理完了後に自動的にシャットダウンする設定を想定し、処理完了時までで積算を終えてみると両者の差はさらに広がり、Phenom II X6 1090Tの積算消費電力は、Phenom II X6 1055T 95ワット版に近づいていく。
Webブラウジングやメール、ドキュメントの作成などのアイドル時間が多いアプリケーションでは、より低消費電力なCPUを組み込んだシステムは電力量も少ないが、高性能なCPUを使って短時間で完了する処理が多くなる場合には、より高性能なCPUを組み込んだシステムでも消費電力が少なくて済むことがありえることを、この傾向は示している。もっとも、バッチ処理のような“特定目的特化PC”でない限り、基本的にはPhenom II X6 1055T 95ワット版が最も消費電力が低いということになるだろう。
低消費電力な95ワット版か割安な125ワット版か
Phenom II X6 1055Tの95ワット版は、30ワット低い消費電力で125ワット版と同じパフォーマンスを発揮している。しかし、この付加価値の分だけ95ワット版の実売価格は125ワット版より高く設定されている場合もある。ただ、この“併売状態”は長くは続かず、125ワット版は終息に向かうという予測もある(すでに取り扱いが終わったショップもある)。
インテルの6コアCPUは、ラインアップが2モデルになったが依然として高値で、購入するには“かなりの覚悟”がいる。パフォーマンス面でのギャップはまだまだあるが、AMDの6コアCPUは省電力に低価格と、インテルとはまったく別次元のメリットを持つ。
マルチタスク処理を重視するが省電力であってほしい利用を想定しているユーザー、ハイエンドPhenomを使っているが、このところの猛暑でどうにもPCが参っているようだ、というユーザーにとって、Phenom II X6で95ワット版が登場したのは、1つの朗報となるのではないだろうか。
関連記事
- Phenomも6コア時代に突入──3万円台の「Phenom II X6 1090T Black Edition」で幸せになる?
2010年は“6コア元年”。3月に登場したCore i7-980Xに続き、今度はAMDがPhenom II X6シリーズを発表した。ThubanはGulftownにどこまで迫れるか? - 「Core i7-980X Extreme Edition」で“6コア12スレッド”の条件を探る
6コアを実装した“Gulftown”がもうすぐ登場する。CeBIT 2010でライブデモが行われていた“6コア12スレッド”CPUの実力を制約をチェックする。 - Phenom II X2 555 Black Editionでブラックな“うわさ”を試す
AMDがエントリークラスのPhenomとAthlonを拡充。既存モデルのクロックアップ版を投入した。中でも“555”は、もうそれだけでいいことがありそうな予感が。 - “かっとび”GPUを統合した「Core i5-661」の実力を正式発表“前”に検証する
「Clarkdale」と呼ばれていたCore iシリーズがまもなく“正式に”発表される。「32ナノプロセス」「GPU統合」と初物づくしのCPUはどんな性能を見せるのか? - TDP125 ワットのPhenom II X4 965 Black Editionで何がどう変わった?
Phenom II最上位モデル“965”が登場。「あれっ、もう売っているよ」と思いきや、TDPが125ワットになったという。そのシステム消費電力と性能をチェックした。 - はざまを埋めるトリプルコアがAthlonでも──Athlon II X3 435の存在理由を考える
AMDから、Athlon IIシリーズの「Athlon II X3 435」が発表された。共有3次キャッシュなしの高クロックトリプルコアが発揮する性能とメリットとは? - Nehalem の機能をメインストリームで──Core i7-870とCore i5-750の“突発”性能を楽しむ
“Lynnfield”こと、Core i7-870と同860、Core i5-750が9月8日にインテルから発表された。上げ幅を増やしたIntel Turbo Boostのかっとび度はいかに? - 「Phenom II X4 965 Black Edition」でNehalemに挑む
日本の風習なんか関係ないぜ、とお盆に合わせてAMDがPhenom II X4の最高クロックモデルを発表。こちらも「お盆なんか関係ないぜ」とベンチマークにいそしんだ。 - Nehalem 世代の最高クロックモデルが登場──Core i7-975 Extremeを試す
Core i7シリーズのハイエンドモデルとミドルレンジモデルに新製品が登場した。まずは、ステッピングも一新されたCore i7-975 Extremeの性能を試してみよう。 - 省電力モデルにX2──選択の幅が広がった「AM3」CPUを一挙に試す
COMPUTEX TAIPEI 2009にあわせたように、AM3対応CPUが一度に登場。今回発表された低消費電力版や3コア、2コア版、そしてAthlon II X2を一気に試してみる。 - TDP 下がって使い勝手向上──TDP95ワットの「Phenom II X4 945」
Phenom II X4 955の125ワットというTDPにおじけづいていたユーザーにAMDが贈るTDP95ワット版のPhenom II X4 945が登場した。気になる消費電力はどうなった? - AM3 を選ぶ「理由」がそろった──Phenom II X4 955のパフォーマンスをチェックする
高クロックモデルが不在だった“AM3”に3.2GHzの「Phenom II X4 955 Black Edition」が登場した。AM2+版Phenom IIの最高クロックを超える本命Phenom II X4の性能を検証する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.