「NX90Jq」実力診断――見た目も音も美しい巨大ノートPC:Bang & Olufsenのエッセンスを注入(1/4 ページ)
鏡面加工のアルミボディ、デュアルタッチパッド、天面の外に張り出した大型スピーカー、こんなノートPCは見たことがない。とにかく存在感たっぷりの「NX90Jq」に迫る。
高級路線のASUSノートは日本でも受けるのか
「果たして“ノートPC”と呼んでいいものだろうか」――そんな大迫力の巨大ノートPCがASUSTeK Computer(ASUS)から登場した。デザインとサウンドにこだわり抜いたフラッグシップモデルの「NX90Jq」だ。
デザインとサウンドを重視したノートPCといえば、最近では日本ヒューレット・パッカードのノートPC「HP ENVY14 Beats Edition」が思い浮かぶが、NX90Jqは20万9800円とENVY14の実売13万円前後より高めの価格設定となる。これまでの日本市場で存在感を発揮してきた低価格帯に加えて、ユーザー層をより上の価格帯へ広げていくための戦略的なモデルの1つだ。
2010年10月14日に同社が開催した製品発表会では、台湾本国からジョニー・シー(Jonney Shih)会長が来日し、自らNX90Jqにおけるデザインとサウンドの作り込みをアピールするほどで、よほどの自信作と見受けられる。今回はNX90Jqの実機を入手したので、じっくり各部をチェックしていこう。
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著名なプロダクトデザイナーによる独特のボディデザイン
NX90Jqはパッケージの箱も大きければ、中身も大きい。本体サイズは530(幅)×283(奥行き)×30〜45(高さ)ミリ、重量は約4.4キロと重厚感たっぷりだ。その外観や使い勝手はノートPCというより、液晶ディスプレイ一体型のデスクトップPCに近い印象を受ける。バッテリー駆動も行えるが、ほとんどの場面では据え置きで使用すると思ってよいだろう。
ボディデザインは、デンマークに本社を置く世界的な名門オーディオブランドであるBang & Olufsenの製品を数多く手がけたプロダクトデザイナー、デビット・ルイス(David Lewis)氏によるもの。18.4型フルHD液晶ディスプレイの両側に大型のステレオスピーカーを搭載したボディは、スピーカー部分が本体から飛び出した個性的なデザインだ。大型のステレオスピーカーが見た目にも高音質を期待させる。
また、天面とパームレストの広い面積に鏡面加工のアルミニウムを大胆に採用することで、個性的なデザインにまとめ上げている。ディスプレイを閉じた状態では天面が滑らかなアルミの1枚板のようであり、パームレスト部を見てもタッチパッドやボタンが一切ないフラットな仕上がりなので、とにかく金属の質感が目立つ。
鏡面加工のアルミには上品な光沢があり、ガラスの鏡とまではいかないまでも、周囲の風景や自分の顔、手などが割とはっきり映り込む。好みが分かれる外観かもしれないが、この高級感の演出は確かにBang & Olufsenのオーディオ機器に通じるものがある。光沢面にはホコリや汚れ、皮脂などが付きやすいので、OA用のクロスなどでこまめにふき取って大事に使いたい。
Bang & Olufsen ICEpower認定の高品質なサウンド
サウンド面では、Bang & Olufsen ICEpowerの認定を受けたASUS独自のオーディオ技術「ASUS SonicMaster」に注目したい。つまり、Bang & Olufsenのオーディオ機器と同等の音響再生を実現しているということだ。
ASUS SonicMasterを構成するのは、11ワットのパワーアンプ、直径32ミリの円形スピーカー、108ccのチェンバーといったハードウェア、および低ノイズのコーデック、クリアな音質を再現するイコライザといったソフトウェアだ。液晶ディスプレイの両側には、ボディからはみ出す勢いで大型のステレオスピーカーを盛り込んでいる。液晶ディスプレイ左上に配された「Audio by Bang & Olufsen ICEpower」のロゴと、曲線的なスピーカーのライン、そしてそこに刻まれた不均等なラインが上質さを感じさせる。
ユーザー側ではWindows上で動作するソフトの「ASUS SonicMasterコントロールパネル」を使って、ASUS SonicMasterのオン/オフや、ボーカルの明瞭(めいりょう)度、サラウンド、低音などを調整できる。
再生する音源やコンテンツにもよるが、低音を少し強調しておき、ケースバイケースでボーカルの明瞭度を調整すると効果的だ。サラウンドの設定は、音楽CDやライブ映像では低め、映画などはやや高めがよいと感じた。もちろん、ASUS SonicMasterをオンにしたほうが高音質なので、常にオンで構わない(オフにする特別な理由はない)。
実際にいろいろな音源を再生してみると、ステレオ感と音の定位がかなりはっきりしている。ノートPCとしては大型のスピーカーユニットや、左右のスピーカーの距離がほどよく離れていること、ソフトウェア面のチューニングなどの組み合わせが奏功しているのだろう。
音楽CD/DVDではボーカルの声が中央で引き立ち、DVD-Videoのような映像コンテンツではサラウンドの自然な広がりを実感できる。低域から中域にかけての厚みが少し弱い気がするが、スピーカーの口径などハードウェア的な限界もあるので仕方ないところだ。中域から高域にかけてはクリアで伸びがあり、特にボーカルの入った音楽CDなどは気持ちよくリスニングできる。
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