法人ビジネスを3年で2倍にする――「MousePro」にかける想い:マウスコンピューター社長インタビュー(2/2 ページ)
マウスコンピューターが立ち上げた法人向けブランド「MousePro」について、同社代表取締役社長の小松永門氏にその狙いを聞いた。
「やりすぎ」でも品質の部分には妥協しない
―― そのほか、サービス面で注力している部分はありますか?
小松 これまで法人ビジネスを展開してきた中で、お客さまから頂いた要望を盛り込んでいます。例えば、通常の3年保証ではなく、リースや延長保証、5年保証を求める声に対応してサービスに加えています。また、万が一PCが故障してもダウンタイムをできるだけ短くするように、翌営業日のオンサイト修理や、最短当日修理でお返しする「安心パックサービス」など、予算と用途に応じた製品保証メニューを用意しています。
もちろん、できる限り故障しないというのは大前提です。生産拠点の飯山市にある工場では、コンシューマー向けモデルとは別に専用ラインを設け、さらに出荷前の検査時間や一部の検査プログラムもより強化したものを使用しています。
正直、通常の工程でもきちんと“高品質”をうたえるレベルだと自負しているので、法人モデルは「やりすぎじゃないのか」という声も社内にあるのですが、やはり業務で使うものなので、効果が見込まれると思われることは積極的に採用し、品質の部分は最大限、手を尽くしたいと考えています。
―― そんな話を聞いてしまうと、法人向けモデルを個人購入したくなりますね(笑)
小松 残念ながら個人での購入はできません(笑)。ただ、MouseProで実施した施策の中で評価が高い部分は、コンシューマーブランドにも起用していこうと思っています。
「安心できるPCメーカー」として顧客視点に立ったビジネスを展開
―― 2009年の景気後退から一時は落ち込んだ法人PCの需要も、2010年に大きく回復して明るい兆しが見えています。ただ、PC業界ではかなり大きな“事件”も起きました。Intel 6シリーズチップセットの不具合は、PCメーカーにとってどれほどの影響があったのでしょうか。
小松 いわゆるBTOパソコンは、ちょうどSandy Bridgeで一気に伸びているところだったので、今回の問題は大きかったですね。2月は対応に追われて、感覚的にいえばひと月のビジネスが止まってしまったような感じです。
―― マウスコンピューターは、PCメーカーの中ではいち早く交換対応などを打ち出しましたね。ほかのメーカーはインテルの出方をうかがっていたような印象を受けましたが。
小松 もちろんインテルさんとは密に情報交換を行っていましたが、自分が購入者だったらと考えたときにどのようなサービスを求めるか、そうした部分ではやはりメーカーとして決定しなければいけないこともあります。まず真っ先に交換をうたった背景はそこにあります。
ほかにもお客さまへの情報開示には特に注意を払いました。私たちが持っている情報はできるだけ詳しくWebサイトで公開していく、対応についてできる限りお待たせしないようにする――仮に自分が顧客だったら同じことを望むでしょう。今回の問題で一貫して行ってきたのは、まさにその視点に立ったうえでのことです。
ただ、影響についていえば、予想よりも早く正常化して、すでに問題のないB3ステッピングでの出荷が始まっています。やはり待たれていた方は多く、これまで止まっていた分はこれから春にかけてカバーできると思います。
―― 最後に法人市場において御社が目指す目標を
小松 これまでの私たちのビジネスは、法人の割合が2割以下だったのですが、最終的にはPC市場と同じ割合、つまり半分くらいは法人にシフトしたいと考えています。3年後には今の2倍、30〜40%くらいまで伸ばすつもりです。もちろんこの数字は、コンシューマーも順調に成長したうえでの数字なので、マウスコンピューターのビジネス全体が大きく成長するということです。
短期的な目標は、SOHOのお客さまがPCを探すときに、マウスコンピューターの製品が検討候補に挙げてもらえること。そのためには購入されたユーザーに対してしっかりとサポートを展開し、信用を築いていかなくてはなりません。
もちろん、法人PCは価格にセンシティブな部分がありますが、最後に発注書を切る段階で最も大切なことは、「本当にこのメーカーでいいのだろうか」という信用です。マウスコンピューターの製品は、お客さまひとりひとりに最も適した仕様を選ぶことができ、基本的にトラブルがなく、万が一トラブルが発生したとしても手厚いサポートで応えられる、一言で言うと「安心して購入できるメーカー」として、全力で法人ビジネスに注力していきます。
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