「Aspire S3」の上位モデルで真のUltrabookを体験した:Ultrabookに性能を求めるならこの1台(2/2 ページ)
日本エイサーのUltrabook「Aspire S3」には、CPUにCore i7-2637M、ストレージに高速な256GバイトSSDを採用した上位モデルが用意されている。いろいろと“ウルトラ”だ。
ベンチマークでパフォーマンスをチェック
Aspire S3の上位モデルは、携帯性に富むモバイル向けとはいえ、A4サイズのノートPCだ。液晶ディスプレイのサイズは13.3型ワイドで解像度も1366×768ドットと、性能さえ十分なら普段使いにも耐えられる。そこでメインマシンとして使えるかをチェックするためにHDMI経由で24型フルHD液晶ディスプレイに接続しいつものベンチマークを回してみた。計測したベンチマークソフトはPCMark05、PCMark Vantage、3DMark06、3DMark Vantage、ゲーム系ではFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3とFINAL FANTASY XIV Official Benchmarkを試した(なお、PCMark Vantageの結果は下位モデル「S3-951-F34C」の結果も載せている)。
まずはWindows 7のエクスペリエンスインデックスを見てみよう。各スコアはCPUが6.9、グラフィックスのデスクトップが4.9、3Dゲームが6.1、メモリは5.9で、ハードディスクの数値が7.9となった。グラフィックス(デスクトップ)のパフォーマンスがやや低い点は気になるものの、実際の動作で操作が重く感じることはなかった。メモリは4Gバイトという容量とシングルチャネル動作が影響してスコアが若干低くなっていると思われる。ただ、ストレージにSSDを採用しているため最高スコアの7.9となっており、このおかげもあってWindowsの起動は非常に高速だし、通常の操作も快適の一言。Core i7と高速SSDの本領発揮といったところだ。
次に各種ベンチマークテストの結果を見てみよう。ここでもCPUと高速SSDのおかげで総じて高いスコアになっている。DirectX 9ベースのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3もCPUパワーで動作する範囲に収まる印象だ。ただし、FINAL FANTASY XIV Official Benchmarkのような本格的な3Dゲームは、CPUパワーで引っ張ってくれたとしてもLow設定でさえ動作は厳しいだろう。少し古めのゲームやWebブラウザベースのライトなFlashゲーム程度なら、余裕でサクサク動作させることが可能だと思われる。
続いてバッテリーの持続時間をチェックするために、「BBench」(海人氏作)を用いてバッテリーが5%以下になって休止状態(ハイバネーション状態)になるまでの時間を計測した。Windowsの電源オプションで「高パフォーマンス」「バランス」「省電力」の設定にした状態で、ディスプレイが消えないように定期的なキー入力とWeb巡回を有効にしている。結果は「高パフォーマンス」で約3時間、「バランス」で4.2時間、「省電力」で5.8時間となった。CPUをアイドル状態にさせないで、これだけ持てば十分だろう。一日持ち歩いてもバッテリーが切れるということはなさそうだ。また、高速SSDの効果を見るために「CrystalDiskMark 3.0.1」も試してみたが、さすがにHDDとは比べ物にならないほど高速であることが分かる結果だ。
A4サイズでメイン環境を持ち歩きたい人に
以上、SSDを採用したより高性能なAspire S3を紹介してきた。実際に1週間ほど持ち歩き、電車内やコーヒーショップ、喫茶店などで使ってみたが、注目される頻度は非常に高い。電車内では「それがUltrabookってやつですか?」と聞かれたほどだ。
ただ、この寒さにアルミボディのため、バッグの中に入れて15分以上外を歩き回ると、パームレストに置いた手が凍るかと思うくらいボディがキンキンに冷えてしまう。季節特有の問題ではあるものの、持ち運んで使うことを考慮しているなら、指先を覆わないタイプの手袋を使うとよさそうだ。
以上、Ultrabookは従来のノートPCと比べ「薄くて、軽くて、高性能で、快適かつ持ち歩けて、バッテリーも長持ちする」ということがはっきりと分かった。B5ファイルやミニノートでは性能不足でメインマシンになるノートPCを持ち歩きたい、という人にとって非常に有力な選択肢ができたといっていい。特に今回紹介したAspire S3の上位モデルは、瞬時に起動するSSDを採用しており非常にオススメだ。
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