“Z”の名を受け継ぐモンスターマシン「HP Z1 Workstation」の実力(後編):液晶、性能、騒音をチェック(2/2 ページ)
前編に続いて、Z1のシステムパフォーマンスをチェックしていく。液晶一体型ワークステーションという、これまでに類を見ない製品だが、実際の性能はどうなのか?
ベンチマークテストで処理性能を確認
評価機のスペックを改めて紹介すると、CPUがXeon E3-1245(3.3GHz)、メモリが16Gバイト(4Gバイト×4)、データストレージが1TバイトHDD(7200rpm)、グラフィックス機能がNVIDIA Quadro 4000M(2Gバイト)、そしてOSに64ビット版Windows 7 Professional(SP1)という内容だ。製品版とは異なるが、参考までにこの構成でベンチマークテストを実施した。
データストレージがHDDということでそれほど目立ったスコアは出ていないものの、Windows 7エクスペリエンスインデックスでは、プライマリハードディスク以外はすべて7.3以上とハイレベルなスコアをマークしており、処理能力の高さがうかがえる。
日常操作をシミュレートするPCMarkVantageもストレージ性能を大きく反映するが、それでも10000を超えており、処理性能はハイレベルであることが分かる。また、3D系ベンチマークテストの結果からは、3D描画性能も非常に優秀といえる。CINEBENCH R11.5のCPUスコアは6.64ptと、8スレッド同時実行のクアッドコアCPUならではのハイレベルなスコアを出した。
静音性についても優秀な部類だろう。アイドル時でもそれなりの動作音はしているが、空調機器やほかの家電製品などが動作していればほとんど分からない程度で、高負荷時もあまり変わりなく、大きな音はしなかった。
騒音(距離15センチ、暗騒音32デシベル、室温24度) | |
---|---|
アイドル | 36 |
低負荷/Web Youtube再生 | 36 |
3DMark06 /CPU Test | 39 |
3DMark06 /Graphics Test | 39 |
ワークステーションの新境地を切り開く意欲作
HP Z1 Workstationのスタンダードモデルは最小構成時で25万2000円、ハイエンドモデルは58万8000円から用意されている。ハイエンドモデルは、高性能ワークステーション向けグラフィックスとSSDを2基搭載するだけあって相当に高価だが、スタンダードモデルなら個人ユーザーでも手が届きそうだ。IPSパネルを採用した27型ワイドの高解像度液晶ディスプレイや、システマティックなシャシー構造、強力な冷却システム、高品質電源ユニットに裏付けられた信頼性などを考えれば納得できる価格だろう。
本製品の最大の魅力は、独自の斬新な発想と開発力によって、性能・機能はもちろん、信頼性やメンテナンス性といった部分まで、本格的なワークステーションクオリティを維持しつつ、液晶一体型にまとめている点にある。
通常のワークステーションシステムに比べて省スペースかつ省電力で配線の必要も少ないため、中小企業やSOHOで比較的気軽に導入できそうだ。また、社内手続きの関係上、液晶ディスプレイとワークステーション本体両方では予算を通しにくいところも、液晶一体型であれば認められやすいというメリットも考えられる。高品質な液晶ディスプレイやユニークなシャシー構造は、個人ユーザーにとっても大きな魅力になりうる。
“Z”の名を受け継いだ「HP Z1 Workstation」がワークステーションの新たな可能性を開拓する画期的な製品であることは間違いない。今後の展開にも大いに注目したい。
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