こんなに手軽――QNAP「TurboNAS」を新モデルにリプレースする:フフフ、こうも簡単に入れ替えられるとはな(2/3 ページ)
オフィスでファイルサーバを導入しているところは多い。だが、HDD込みのシステムとして購入すると、償却前に容量が足りなくなったとき、コストや保守の面から対応が困難になりやすい。また、ユーザーやファイル数が増えてくればファイルサーバ自身のパフォーマンスが問題になることもある。今回は実際にTurboNASのリプレースを行う場合の手順について紹介しよう。
ファームウェア「3.7.1」
TurboNASはファームウェアのアップデートで頻繁に機能拡張、性能アップが図られていることも特徴の1つだ。原稿執筆時の最新ファームウェアは「3.7.1」。前回紹介したバージョン3.5.0からの変更点を紹介しよう。
- クラウド対応の強化(3.5.2から)
AMAZON S3、ElephantDriveに続き、Symformクラウドストレージに対応した。従来よりサポートされていた2つのクラウドストレージが基本有料サービスだったのに対し、Symformは無料で利用可能(有料オプションあり)だ。
Symformは、同社がRAID 96と呼ぶ独自のデータ冗長化技術とP2P技術を応用したクラウドストレージサービスで、同サービスを利用するユーザーのPCなどのデバイス上に分割・暗号化されたデータを保存する。ユーザー自身のストレージの一部を提供することで200Gバイトまで無料で、さらに月額3.50USドル(エンドユーザーライセンス:原稿執筆時点で約280円)で無制限のクラウドストレージが利用できる。もっとも、利用する分の容量を提供する必要があること、ローカルの指定ディレクトリに対して同期を取るバックアップ用、という仕組みのため、単純にストレージ容量の追加として使えるわけではない。ローカルのストレージをクラウドストレージに変換する、というイメージが近いかもしれない。
なお、ストレージを提供せずに利用権を購入することもできるが、こちらは100Gバイトあたり月額10USドル(原稿執筆時点で約800円)となっている。
- VPNのサポート(3.6.0から)
VPNがサポートされ、TurboNASをVPNサーバとして使うことができるようになった。OS標準や各種ガジェットでも対応しているPPTPと、クライアントソフトウェアを必要とするOpenVPNに対応している。これまでは外出先でAndroidやiOSからTurboNAS上のファイルにアクセスするには、MyCloudNASサービスを使ってWebベースのUIから利用するか、専用アプリであるQMobileを使うか、だった。
外出先からVPN接続すればTurboNASに限らず、Wi-FiでLANに接続しているときと同じようにLAN上のリソースが活用できる。
- ローカルプレイバック機能(3.6.0から)
TurboNASのUSBポートにUSBスピーカーなどのサウンドデバイスを接続することで、TurboNASから直接音楽を再生させることができるようになった。これはMusic Stationから制御できるが、それと同時にiOS/Androidの専用アプリであるQMobileにもリモートプレイ機能が追加された。この連携によってTurboNASをジュークボックスに、iOS/Android端末をそのリモコンとして利用することができる。
- ネットワークごみ箱の自動クリア(3.7.0から)
ローカルディスクでは削除したファイルはいったん「ごみ箱」に移動し、明示的にごみ箱を空にするまで実際には削除されない。それをTurboNAS上で擬似的に実現したのがネットワークごみ箱だ。ネットワークごみ箱を有効にすると、TurboNAS上で削除したファイルはNetwork Recycle Binフォルダに移動する。
3.7.0ではネットワークごみ箱に一定期間後に自動的にファイルを削除する機能、指定した拡張子のファイルではネットワークごみ箱を経由せずに直接削除する機能が追加された。デスクトップ上にアイコン表示されているWindowsなどと異なり、ネットワークごみ箱の存在はついつい忘れがちだ。そのため、気がつけばディスクの空き容量不足で警告が出ても、よく見るとネットワークごみ箱がその半分近くを占めていた、ということもある。地味ながら運用者にとっては便利な機能だ。
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