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まだオレらのホームだった「電車男」以前――自作PCの街アキバを振り返る:パーツショップ栄枯盛衰(前編)(2/2 ページ)
映画「電車男」がヒットした2005年。街の再開発が進み、思えばそのころから“自作の街・アキバ”の空気が変わっていった。当時の空気感を写真とともに振り返ってみよう。
大きく変わり始めたアキバの空気
自作PCの明るい話題はあいかわらず多かったが、「パソコン工房秋葉原本店」や「OVERTOP I/II」、「ぷらっとホーム」の秋葉原店舗など、存在感のある老舗ショップが店をたたみ始めたのもこの時期だ。どちらも倒産ではなく、運営会社の方向転換による閉店で、周辺ショップからはお別れを惜しむコメントが多く聞かれた。
2005年3月に単独店舗を閉じたパソコン工房秋葉原本店。2009年にフェイス秋葉原本店と同居するかたちで1度目の復活を果たす(写真=左)。2005年2月に閉店したOVERTOP I。2月中は在庫一掃セールを実施していた(写真=中央/右)
2005年12月に秋葉原店舗を閉じて、インターネット販売に注力するようになったぷらっとホーム(写真=左)。運営会社スズデン東証二部上場記念セールを2005年1月に実施していた俺コンハウス。その1年半後に閉店することになる……(写真=中央/右)
2005年は、9月にPCパーツショップ密集エリアと反対側に全国最大級の売り場面積を誇る「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」がオープンし、駅前再開発によるオフィス街化を懸念する声も広がっており、PCパーツショップの中でも将来を楽観する声はあまり聞かれなかった。それでも深刻度は現在よりも浅かったのも確かだ。
目の前には好調に売れるPCパーツと活気があり、遠くにはさまざまな暗雲が広がっている。そんな空気感が2004〜5年の自作街には広まっていた気がする。
2005年3月に開業した秋葉原ダイビル。その1年後の2006年3月に、秋葉原UDXとあわせた「秋葉原クロスフィールド」としてもオープンする(写真=左/中央)。観光地としてブレイクしたアキバの象徴の1つだったのが、チチブ電機前のおでん缶だった(写真=右)
後編では、2004〜5年から2013年現在までの変化を、ピンポイントで辿ってみよう。
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