「Windows 8.1」新機能チェック──Modern UI「可変ウインドウサイズ」を考察:鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8」
MSの開発者会議「BUILD 2013」にて、Windowsの次期大規模アップデートとなる「Windows 8.1 Preview」の配布が始まった。今回より数回に渡り、Windows 8.1で変わる新機能や特徴を順を追って紹介していこう。
「スナップビュー廃止」とModern UI「可変するウインドウサイズ」
Windows 8.1における大きな変化として「スタートボタンの復活」が話題となっている。が、(標準状態では)実はそれほどたいした機能ではない。
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ユーザーインタフェースに関するトピックとしては、むしろ「ウインドウサイズが可変になる」ことのほうが大きな変化だ。Modern UIにおいてもウインドウサイズを自在に変更できるようになることで、アプリ開発者にとってはさまざまなウインドウ形状を想定したUIでの開発を要求されることになる。今後新しいアプリをリリースするにあたっての大きなハードルになると予想される。
Windows 8.1のModern UIアプリにおけるウインドウサイズとアプリの実行に関する変更点を以下にまとめた。
- ウインドウサイズ(横)の下限は500ドット。そこから自由に変更可能
- オプションとして、320ドットのウインドウサイズ(横)を推奨
- 従来の「スナップビュー(Snap View)」は廃止
- 画面に表示されているアプリはすべてフォアグラウンドで動作している形となるが、画面から消えた(見えなくなった)時点で「サスペンド」へと移行する
- 特定の“トリガー”や動作条件(Live TileやNotificationsなど)の場合は、「サスペンド」状態であってもバックグラウンドでの動作が可能
特に大きな変更点は、「最小ウインドウサイズが横500ドット」になり、「スナップビューが廃止された」ことだ。これまでの最小ウインドウサイズは1024×768ドットであり、これにスナップビュー用の320×768ドット、両者を分ける縦の区切り線(横22ドット)を加えた1366×768ドットがWindows 8(タブレット)の条件を満たす最小の解像度となっていた。この解像度は、現ベーシックラインのWindows 8搭載PCでもよく見かける解像度スペックだと思う。
だが、Microsoftはこの初期の要件をWindows 8においても1024×768ドットまで引き下げており、事実上、スナップビューは必須ではなくなった。ちなみに、1024×768ドット解像度のタブレットにWindows 8.1を導入した場合、左右をウインドウ最小サイズと提議する500×768ドットで(ほぼ)2分割できる(500ドット×2枚+区切り線22ドット=1022≒1024)。おそらく、この1024×768ドットを基準にウインドウ横幅の下限を定めたものだと思われる。
なお、この横500ドットは最小サイズであるため、ユーザーは全画面表示まで、ある程度自由にアプリ表示画面の横幅を調整できる。1024×786ドット解像度であれば約2倍のサイズに拡大されるだけだが、1366×768ドットのようなアスペクト比16:9のディスプレイではさらに横長となる。Windows 8.1をターゲットとしたWindowsストアアプリは、これらウインドウ形状の変化に合わせて表示内容を最適化するようUIの設計を行わなければならない。
実際、BUILD 2013においてもこの新機能を使ってアプリを最適化するためのブレイクアウトセッションが多数実施され、ある意味でアプリ開発者にとっての新たな大きな変更点、言い換えると負担/新たな別野作業が発生することになるポイントの1つととらえられる。また前述したのように従来のスナップビューと同じサイズの「320ドット」が“オプション”として定義されており、ユーザーが横500ドットを下回るウインドウサイズの変更を行うと、この320ドット幅のUIで表示される。ここで、もしアプリが320ドット幅用のUIを用意していなかった場合、アプリは画面を維持できずに前面のウインドウ表示からは消え、バックグラウンドへと回る動きとなる。
フォアグラウンドとバックグラウンド とは
Windows 8.1(および8)においては、「Modern UI」と呼ばれる画面で動作するWindowsストアアプリには「サスペンド(Suspended)」という動作状態が用意されている。アプリの表示がバックグラウンドに回った時点でこのサスペンド状態へと移行し、CPUリソースなどの消費を抑えた「省エネ動作モード」に変わるわけだ。
サスペンド状態でネットワーク経由での該当アプリへのアクセスや特定時間でのタイマー起動といった「トリガー」と呼ぶアクションが発生したときにサスペンド状態が一時的に解除され、「アラームの起動」や「SNSタイムラインのアップデート」といった必要最低限の動作を実行。実行後、再びサスペンド状態に戻る。フォアグランドへとアプリが呼び出されない限りこの省エネモードでの実行状態が続く。ユーザーからは、いわゆる「裏で動いており、アラートなどを表示」といったように表現される動作状態である。
基本的に、このあたりの仕様はWindows 8.1においても8とさほど変わりはない。フル動作が可能なのはアプリが画面に表示されている「フォアグラウンド」の時で、「バックグラウンド」に回ると、「トリガー」による特定条件のみで一時動作が許可され、あらかじめ定義した必要動作や管理上で定められた一定のリソースやしきい値(CPU時間やネットワーク通信量)に達すると自動でサスペンド状態に収まるという動きだ。
Windows 8との違いは、マルチディスプレイ利用時、複数ウインドウ表示で同時にフォアグラウンドで動作可能なアプリの数が増やされたこと、そしてトリガー関連の条件がさらに増えたことにある。トリガーとして利用可能な条件として、主なところでは「位置情報」や「USB機器などデバイス間通信」などが新たに追加された。特に位置情報に関するトリガーは今後、面白く、便利そうな使い方が可能になりそうだ。
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