ビジネスシーンに強いThinkPadシリーズが「変わらずに、変わる」理由:変化できるから生き残る(2/2 ページ)
2014年度導入を見込むThinkPadシリーズの新モデル3種が発表された。ハイパフォーマンスな8型タブやYogaボディの“新ワークスタイル対応デバイス”に加え、“キーボード命”なクラムシェルノートPCスタイルのX1 Carbonはなぜ大きく変わった「新キーボード」を採用したのか。
BYOD時代の到来も想定「企業で選ばれるPC」から「エンドユーザーにも選ばれるPC」へ
もう1つは「色、形、デザイン」。“黒/シンプル”の印象が強いThinkPadシリーズ、そしてビジネスPCおいてデザインは二の次と考えられがちだが、そうではないという。ある企業のPC選定プロセスでは、選定段階で各メーカーの担当者が招かれ機種選定のためのコンペ/展示会が行われる。評価者の多くは企業内各部署のキーユーザー、つまりエンドユーザー。「自身の業務に、自身のマシンとして導入できるか」の観点で評価した意見が尊重される。コストメリットは当然重要だが、人が使う機器である以上、デザインやカラーリングの重要性はビジネスマシンにこそ実はシビアに考えるべきポイントになってきたという。
「これまで、ThinkPadはプロ仕様のため個人向け製品とは一線を引いていた。ただ、エンドユーザーが自身のマシンを適切な方法で選択して活用するBYOD時代に向け、ThinkPadはデザイン面でも変わっていく必要がある。これまで色の使い方も極めて合理的なプロ仕様だった(例えばファンクションキー印字を視認性を高めるため青色文字を採用していたことなど)が、ThinkPadシリーズであっても昨今は色が多すぎて過剰と評価される事例も増えてきており、“黒”のボディカラーも暖かみのある色味を加えた上質な“黒”へ変化させた。また、ThinkPadシリーズはそもそも堅牢だが、単に“頑丈っぽさ”を押し出すデザインにはしないようにした。こういった考え方は時代に沿って変わっていくもの」(レノボ・ジャパン大和研究所 デザイン/ユーザーエクスペリエンス部長の高橋知之氏)
また、オフィスも外出先も、利用シーンに垣根がなくなるフリーアドレス精度を含むワークスタイルの導入が進むにつれ、企業と個人(エンドユーザー)の境目が薄れてくる傾向にある。新しいThinkPadシリーズは、これまでの「企業で選ばれるPC」から「エンドユーザーにも選ばれるPC」を目指す方針を示した。今後、エンドユーザーが会社貸与のマシンでなく、自身のマシンを業務で活用するBYOD(Bring Your Own Devices)が日本でもあたり前になってくると想定しており、8型タブレットの新モデル「ThinkPad 8」はまさにこのシーンにマッチするようポートフォリオへ当てはめている。「ThinkPad 8はどちらかというと、メインPCに対するセカンドPC/モバイル専用に特化した特徴があるので会社貸与マシンとしてそこまで余裕がない例は多いかもしれない。ただ、エンドユーザーのニーズは大きく違う。BYODを認めてくれる企業の方は、ぜひこれを使ってほしい」(レノボ・ジャパン ThinkPad製品担当の吉原敦子氏)
「ThinkPadシリーズは、アイデンティティとなる不変な部分と同等に、進化・変化について真剣に取り組んでいる。決して炎上するような製品ではないことはこういった取り組み・考え方により理解いただけると思う。なおAdaptiveキーボードは“F7”を望むほど知識のある方であれば、少し使っていただくだけで慣れていただける範囲のはず」(土居氏)
- ThinkPad2014年春モデルまとめはこちら→高解像度な注目モデル続々、ハイスペック8型タブ“ThinkPad 8”、第2世代“X1 Carbon”など──レノボ「ThinkPad」新モデル
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