「A10-7800」で省電力なKaveriの存在意義を考える:“2段階切り替え”TDPより注目したいこと(2/2 ページ)
AMDから“Kaveri”世代の新製品「A10-7800」が登場した。ポイントはTDPが65ワットとこれまでのA10-7000番台より省電力タイプとなっているところだ。
性能測定結果でA10-7850Kとの差は少なく
PCMark 7でのA10-7800は、OverallでA10-6800Kを上回った。個別テストの結果を確認すると、LightweightやProductivity、Creativityなど、基本的には高クロックなA10-6800Kが高スコアだが、EntertainmentとComputationではA10-7800が上回った。対A10-7850Kで見ると、差は100ポイント程度に収まっており、こちらのパフォーマンス差は小さい。
PCMark 8では、Workで高クロックなA10-6800Kより低いスコアだったものの、Home、Creativeでは上回った。特にCreativeで大きな差を付けている。ここでもA10-7850Kとの差は少ない。
3DMarkは、Ice Stormのような軽負荷なテストでやや低いスコアだったが、Cloud Gate以上のテストではA10-6800Kを上回っている。なお、対A10-7850Kで見ても、スコアは低い。Graphicsスコアでもこの傾向が同様だ。とはいえ、統合型グラフィックスとしては高いスコアといえる。
消費電力テストは、アイドル時、および、CINEBENCH R15のCPUテスト実行時、そして、3DMarkのFire Strike GT1/GT2実行時で計測している。アイドル時は、ほぼA10-7850Kと同じ程度で、A10-6800Kと比べるとやや低い。CPU側に負荷をかけたCINEBENCH R15のテストでは、A10-7850Kに対して10ワットほど、A10-6800Kと比べると25ワットも低い値となった。3DMarkのテストでも、A10-7850Kとほぼ同じで、A10-6800Kより10ワット以上低い値となった。
A10-7800は、A10-7850Kに対し、CPU部分はクロックを引き下げて消費電力を抑えているが、グラフィックスコア部分は同スペックということもあって消費電力面ではほとんど変わりない。TDPという数値の上での30ワット差は表れていないが、CINEBENCH R15もCPUに最大限の負荷を与えるものではないので、そういう意味ではやむを得ないところだろう。
そのまま組んでもcTDP設定のひと手間ナシに省電力
A10-7800はA10-7850Kと比べてパフォーマンス差が小さく、それでいて消費電力は低いといった点でユニークなポジションと言える。Kaveri世代で特に強化したGPU性能も興味深い。
A10-7000シリーズAPUは、AMDのラインアップ的にはA8-7600、A6-7400Kなども含まれるが、現在のところA10-7850Kと7700K、そして、新たに加わったA10-7800の3製品が市場に流通することとなる。
モデルナンバーから分かる通り、A10-7700Kよりも上に位置している。「K」が付かないため、オーバークロック向けではないものの、定格で運用するユーザーであれば問題ない。cTDPにも対応するが、UEFIから設定するため、どちらかと言えば上級者向けでありどれだけのユーザーがこの機能を利用しているのかは疑問だ。それより、A10-7800なら買ってきて組めばきっちり定格で省電力。そこがこのAPUの存在意義と考えてもいいだろう。
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