新しいPCの居場所を探して――スティック型PC「m-Stick MS-NH1」開発者インタビュー:“極小PC”開発秘話(2/2 ページ)
マウスコンピューターから登場した極小PC「m-Stick MS-NH1」の開発担当者である平井氏に話を聞いた。
―― 少し使ってみていくつか気になったポイントを。HDMI出力の端子ってディスプレイによってはかなり狭い場所にあって、このサイズだと干渉しやすいですよね。
平井 その通りです。ですので、製品パッケージに絶対にHDMI延長ケーブルが必要だと主張して付属品として加えてもらい、接続の際はケーブルを使用することを推奨しています。もう1つ、こちらは課題なのですが、Bluetoothのペアリングをする際に、初期状態だとキーボードとマウスがいるので、本体のUSB端子を利用する際は場合によってハブが必要になる点です。今回は2.4GHz無線のパッドもついたキーボード(ロジクール製K400r)をオプションとして用意しましたが、せっかくBluetoothが載っているので、こちらを最初から利用できるオプションがほしいとは思っています。
―― それとこれ、モバイルバッテリーで普通に動きました。2.4アンペアで試しましたが、たぶんもっと低い出力でも動きそうな……
平井 試しましたか(笑)。もちろん、モバイルバッテリーの対応を弊社はうたえないので、自己責任にはなりますが、1.5アンペア以上のタブレット対応モバイルバッテリーならだいたい動きそうという報告はあります。ただ、2ポート使って1.5アンペアだとダメとか、負荷をかけると不安定になるとか、あるいはACの接続を認識してバッテリー駆動と自動的に切り替わるタイプはスイッチのタイミングで落ちてしまうとか、この辺りはユーザーの方の責任で、としか言えません。繰り返しますが、動作保証外です(笑)。
―― 1万9800円という価格もちょっとすごいと思います。
平井 これはある程度、タブレットを意識した価格設定ですね。例えば、Windows 8を搭載したOffice付きのタブレットが2万円半ばで販売されているので、これを下回る必要はあるだろうなと。技術者の視点では、これだけ小さくするためにコストがかかる!となりますが、一般的な消費者から見たら、液晶も、タッチ機能もないのに……というイメージを持たれる可能性があるかなと考えました。
コンパクトなキューブ型PCがいい例で、性能は劣るのにデスクトップPCより高価になりがちなため、付加価値をどうやって提示していくかが問題になります。もちろん、スティック型PCの価値はこの圧倒的に小さなフォームファクターですが、価格面でも受け入れられやすいラインを目指しました。
―― 今回「m-Stick」という新しいシリーズ名がつけられています。今後もシリーズは継続していくのでしょうか、また次期モデルについて話せる範囲でお願いします。
平井 スティックPCというセグメントは今後も維持していきたいと思っています。次をどうするかは、ODMメーカーとディスカッションをしている最中で、次のCPUを採用して性能をアップするのか、その場合はどうやって冷却するのか、本体サイズは維持するのかなど、試行錯誤している段階です。HDMI端子から電源供給ができればさらに利用シーンの幅が広がるでしょうし、小さすぎて本体をなくしやすい、という声があれば、法人向けのアプリケーションとして、指定された無線LAN以外では利用できなくするといったセキュリティ面の強化も考えられると思います。
多くの方にいろいろな使い方をしてもらって、率直な感想、ご意見をフィードバックをいただければ、企画者としてこれ以上のうれしいことはありません。その声を元に、次期製品に生かすことができればと思います。
―― ありがとうございました。
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