ドコモとKDDIが下り300Mbpsのサービス発表/MVNOのVoLTEに新たな問題:5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(1/2 ページ)
ドコモとKDDIが国内最速となる下り最大300Mbps対応のサービスを発表。より高速なモバイルデータ通信サービスが産声を上げた。一方、各キャリアやMVNOの新機種発表では「SIMロック解除義務化」へのデメリットが露呈した。
ドコモが下り最大300Mbps対応サービスを開始、対応機種を2機種発表
NTTドコモは、9月30日に2015年冬-2016年春モデルの発表会を開催。国内最速となる下り最大300Mbpsの「PREMIUM 4G」に対応する2機種を発表した。なお下り最大300Mbps対応サービスは、KDDIも29日に「Xperia Z5 SOV32」(10月下旬以降発売)の発表に併せる形で、山形県の一部エリアを皮切りに開始するとアナウンスした。
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ドコモの下り最大300Mbpsに対応するのは、11月上旬に発売予定の「AQUOS ZETA SH-01H」と、2016年3月上旬に発売予定のモバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION N-01H」。両機種とも、ドコモの2GHz帯(Band 1)、800MHz帯(Band 19)、1.5GHz帯(Band 21)の3つの帯域を束ねて利用する(キャリアアグリゲーション:CA)ことで実現した。下り最大300Mbps対応エリアはトラフィックの多いエリアから順次拡大予定で、ドコモの速度別エリアマップで確認できる。
この2機種以外では、ドコモが販売する「Nexus 5X」が下り最大262.5Mbpsに対応。これは2GHz帯(Band 1)と1.7GHz帯(Band 3)の2つの帯域を重ねて利用する。また既に販売中の「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」も下り最大262.5Mbps対応だ。このようにドコモのPREMIUM 4Gは、機種によって最大通信速度が異なるので注意が必要だ。
今回ドコモが発表した新機種と、iPhone 6s/6s Plusが対応する通信速度の組み合わせは以下の通り。
- 下り最大300Mbps対応機種
- AQUOS ZETA SH-01H
- Wi-Fi STATION N-01H
- 下り最大262.5Mbps対応機種
- Nexus 5X
- iPhone 6s
- iPhone 6s Plus
- 下り最大225Mbps対応機種
- Xperia Z5 SO-01H
- Xperia Z5 Compact SO-02H
- XperiaTM Z5 Premium SO-03H
- arrows NX F-02H
ドコモはPREMIUM 4Gについて、周波数を効率的に使うため理論値(最大速度)だけでなく実効速度も高速化すると説明している。それはもちろんうれしいことではあるが、実際にPREMIUM 4Gで接続されているかどうかを、端末上に表示される「LTE」などの表記から知るすべはない。従来のLTE(Xi)よりも高速なサービスであるとしてPREMIUM 4Gをアピールしているものの、実際にその恩恵を受けているかどうか、ユーザー側は「正確には分からない」ということになる。
海外の通信事業者では、LTEのCA接続中は端末上に「4G+」という表示を表示するなど、CAが有効となっていることが分かる機種を販売している事業者もあるが、今のところ国内の通信事業者が発売する機種にそのようなものはないようだ。通信事業者にも考えがあってのこととは思うが、いち利用者としては「(CAなどによる)高速通信を利用中であることが分かったほうがうれしい」というのも正直な気持ちである。
Nexus新モデルはSIMロックで販売、mineoのVoLTE SIMはKDDIと互換性無し
Googleのリードデバイスである「Nexus」シリーズ新機種が登場し、「Nexus 5X」がドコモとY!mobileから、「Nexus 6P」がソフトバンクから発売されることが発表された。
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従来機種の「Nexus 5」や「Nexus 6」は、国内向けのGoogle ストアに加え、通信事業者ではY!mobile(ソフトバンク)も販売しており、いずれもSIMロックフリーの状態で発売された。
今回のNexus 5X/6Pは2015年5月1日に改定された「SIMロック解除に関するガイドライン」により、全ての通信事業者がSIMロック解除に対応するものの、残念ながら発売時点ではSIMロックがかかった状態となる。
Y!mobileのNexus 5/6は、国内キャリアが販売する機種としては珍しく「発売時点からSIMロックフリー」だったため、Y!mobile以外のSIMカードを入れて利用することもできた。だが、しかし改正ガイドラインではSIMロック解除を原則義務化するのと引換に、購入から一定期間はSIMロックを掛けることを認めている。そのため最新のNexusシリーズは「発売時点ではSIMロック有り」となってしまった。これまでNexusシリーズを国内の通信事業者から購入していたユーザーにとっては残念な状況である。
MVNOの新サービスにも、改定ガイドラインで思わぬ影響を受けているものがある。ケイ・オプティコムが提供する「mineo」は、11月19日からauプランでVoLTE対応SIMを提供することを発表した。KDDI(au)回線を使うMVNOからVoLTE対応SIMカードが登場するのは初めてだ。
その発表会場では、mineoが提供するVoLTE SIMがMNOであるKDDIのVoLTE SIMと互換性がないこと、KDDIが発売するVoLTE対応機種をmineoのVoLTE SIMで利用するには、SIMロックを解除する必要があることが説明された。
KDDIがMNO向けとMVNO向けでVoLTE対応SIMカードを別にした理由は定かではないが、MVNOのSIMカードはそのMNOの販売する端末では基本的にそのまま使えることが大半であったため、今回のmineoのVoLTE対応SIMとKDDIのVoLTE対応端末の問題は、MNOの端末をMVNOで使う際の新たな問題といえる。
MVNOの通信サービスが「格安SIM」というキーワードで注目を集め、SIMロックフリー端末もラインアップが充実し、家電量販店などでも気軽に契約できるように環境が整ってきた一方で、VoLTE対応SIMカードの互換性など、新たな問題が出てきてしまったのは悩ましい。
なお、KDDIは解約済みの端末のSIMロック解除については端末の購入者以外からのSIMロック解除も受付しており、5月1日以降に発売されたVoLTE対応機種のSIMロック解除については、中古端末を白ロムとして購入した端末でもSIMロックが解除できる。
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