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即戦力で使える台湾メーカー3社のおすすめNASキットは?SOHO/中小企業に効く「NASキット」の選び方(第4回)(1/2 ページ)

法人はもちろん、家庭でもネットワークストレージの「NAS」が普及する中で、近頃存在感を増しつつあるのがQNAPやSynology、ASUSTORなどの台湾メーカーが手掛ける「NASキット」だ。そんなNASキットの選び方を紹介する本連載の最終回は、即戦力で使える各社のおすすめ製品を各社の型番の命名ルールとともに紹介しよう。

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 台湾メーカー製のNASキットは、各社がそれぞれ独自のOSを採用しており、同一メーカーの製品であれば操作性は基本的にどの製品も同じだ。HDDの選択もユーザーの手に委ねられているので、こちらも差別化の要因にはならない。

台湾メーカー製のNAS
台湾メーカー製のNAS。左からQNAP、Synology、ASUSTOR

 こうしたことから、製品選択にあたってはハードウェアの違いが一つの基準になりやすいが、もう一つチェックしておきたいのが最大同時接続台数だ。オフィスでNASを使用する場合、大抵は複数のユーザーが共用することになる。

 家庭で使う場合は、仮に家族全員が同時にアクセスしてもせいぜい同時接続台数は数台だが、法人ユースであれば同時接続台数は2桁が当たり前、ピーク時には数十台から数百台以上もの端末から同時に読み書きをするケースも起こりうる。製品を選択するにあたっては、この最大同時接続台数で候補を絞り込むのが望ましい方法といえる。

 もっとも、最大同時接続台数の表記はメーカーごとに微妙に異なるのでややこしい。ずばり「推奨最大同時接続台数」と明記している場合もあれば、「大企業向け(100ユーザー以上)」「中小企業向け(50〜100ユーザー)」「ホーム&SOHO向け(50ユーザー未満)」というように利用規模ごとにグルーピングされている場合もある。

 このほか、最大ユーザー数やグループ数、最大共有フォルダ数、最大並列接続数など理論値しか明記していないこともあり、メーカー間で比較しにくいのが現状だ。そのため、NASの型番でおおよそのグレードの見当をつけつつ、プロセッサやメモリ搭載量などのハードウェアの違いも加味し、総合的に判断するという作業が欠かせない。

 今回はこうした検討作業に必要な、メーカーごとに型番の命名ルールを紹介しつつ、各社のおすすめ製品を紹介していこう。なお今回紹介するのは2ベイから4ベイの製品なので、6ベイ以上の製品が必要な場合は、各社の型番の命名ルールを参考に、対応する製品を探していただきたい。

QNAP

 日本市場では老舗メーカーといえるQNAPだが、同社NASの型番は「TS-」もしくは「TVS-」の後ろに3桁の数字が付与されるフォーマットとなる。最初の「2」「4」といった数字はドライブ数、その次の「5」「6」は発売年の下一桁(2016年の場合は6)、最後の「1」「3」はグレード(ホーム&SOHO向けが1、中小企業向けが3)となっている。

 例えば「TS-451」であれば、4ベイモデルで発売は2015年、ホーム&SOHO向けという意味となる。このほか末尾にハイエンドを示す「+」や、ラックマウント型を示す「U」などがつく場合もあるが、基本的に3桁の数字を見れば、おおよその位置付けが見て取れる。

 では具体的に製品を見ていこう。最初に紹介するのは「TS-253A」だ。プロセッサはIntel Celeron N3150 1.6GHz クアッドコアで、メモリは8GBまで増設可能だ。リモコンが添付するなど、マルチメディア的な要素も強いが、LANポートも標準で4ポートを搭載するなど、紛れもなくSOHO/中小企業向けの製品だ。同社の分類では小規模のビジネス(11-50ユーザー)向けの製品とされている。4ベイモデルの「TS-453A」も用意している。

TS-253A(写真=左)、TS-453A(写真=右)

 「TVS-463」は10GbE(ギガビット・イーサネット)に対応した高性能モデルで、プロセッサにAMD 2.4GHz クアッドコアを搭載する。TS-253AおよびTS-453Aがメモリを8GBまでしか増設できなかったのに対し、本製品は16GBまでの増設に対応するほか、PCI-E拡張スロットを搭載し、増設用ドライブを2台接続できるなど拡張性も高い。

「TVS-463」
「TVS-463」

 同社の分類では、先ほどの「TS-253A」と同様、小規模のビジネス(11-50ユーザー)向けの製品とされているが、このクラスには珍しくマルチメディア用途を前面に打ち出しており、コンテンツ配信用としての使い方も考慮されているようだ。LANポートは標準2ポート、オプションで2ポート追加可能と、標準4ポートでない点は注意したい。

 同じく10GbEに対応した「TVS-471-i3-4G」は、4基のLANポートを搭載したハイエンドモデルだ。プロセッサにIntel Core i3-4150 3.5GHz デュアルコアを採用し、メモリは最大16GB、2基のPCI-E拡張スロットなど拡張性も高い。先の2製品と異なり、同社の分類では中規模のビジネス(51-200ユーザー)向けと、ワンランク上の位置付けだ。

「TVS-471-i3-4G」
「TVS-471-i3-4G」

 ただしTVS-463では、2基あるHDMIは1基のみ、増設USBポートの一部はUSB 2.0であるなど、劣る箇所もある。なお、同じシリーズのPentium搭載モデル「TVS-471-PT-4G」はハードウェア暗号化に対応しておらず、法人ユースでは避けたほうがよいだろう。

Synology

 日本市場で近年存在感を増しつつあるSynologyだが、型番の命名ルールはQNAPと酷似しており、「DS-」の後ろに付与される3桁の数字のうち、最初の「2」「4」はドライブ数、その次の「15」「16」は発売年の下二桁(2016年の場合は16)となる。さらに製品によってはその後ろにハイエンドを示す「+」などの記号がつく。

 例えば、DS216+であれば2ベイモデルで発売は2016年、ハイエンドモデルという意味になる。末尾に「j」がつくモデルは家庭用、「play」がつくモデルはマルチメディア用を表しており、オフィスでのファイル共有を中心に考えるのであれば、候補から除外したほうがよいだろう。数字の最初の桁は拡張オプションも含めた最大ドライブ数を表しているため、「DS716+」のように「7」で始まる型番ながら実際には2ベイという場合もある。

 なお、他社のモデルでは同じシリーズで2ベイ/4ベイモデルを共にラインアップしている場合が多いが、Synology製品は2ベイモデルか4ベイモデルの一方しか存在しないケースが多いため、同じシリーズで2ベイと4ベイの二者択一という選び方ができず、他のシリーズもしくは上位の8ベイ/10ベイのモデルも含めて考える必要がある。あくまで本稿執筆時点の問題で今後ラインアップは入れ替わる可能性はあるが、注意してほしい。

 まず紹介するのは、ワークグループ/小規模および中規模企業向けの2ベイモデル「DS216+」だ。プロセッサはIntel Celeron N3050 デュアルコア 1.6GHzで、メモリは1GB、LANは1ポートで増設にも非対応と、他社製品に比べるとやや控えめな印象を受ける。ただし、価格を抑えつつハードウェア暗号化には対応しており、法人で使うエントリークラスの製品としてはお手頃だ。この製品に限ったことではないが、ファイルシステムとして最新のBtrfsに対応しているのも他社製品と比べた場合のアドバンテージといえる。

DS216+
「DS216+」

 「DS415+」は4ベイの最上位モデルで、プロセッサにIntel Atom C2538 クアッドコア 2.4GHz、メモリ2GB、2基のLANポートを搭載するほか、SSDキャッシュにも対応している。ドライブの拡張などを考慮せず、4ベイで選ぶのであればワークグループ/小規模および中規模企業向けとしてはこれ一択となる。ワンランク下のホーム/ワークグループ向けまで範囲を広げるのであれば「DS416」も候補になるだろう。

DS415+(写真=左)、DS416(写真=右)

 2ベイモデルながら、拡張オプションを追加することで最大7ベイのモデルとして使えるのが「DS716+」だ。プロセッサはIntel Celeron N3150 1.6GHz クアッドコア、メモリ2GBと、先のDS216+のワンランク上のスペックで、DS216+は対応していなかったSSDキャッシュにも対応している。

 同社の2ベイモデルとしては最上位に当たるが、他社のハイエンドモデルに比べると10GbE非対応、LANポートは2ポートのみとハードウェアスペックは控えめで、そのぶん価格は抑えられている。ワンランク下のホーム/ワークグループ向けになるが、同じく最大7ベイまでの増設に対応した「DS715」も、条件次第では候補になるだろう。

DS716+(写真=左)、DS715(写真=右)
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