日本HPの13.3型ラグジュアリーモバイルPC「HP Spectre 13」は中身もぜいたくか?:2016年PC夏モデル(4/4 ページ)
“ラグジュアリー”を連想させるお決まりのカラーリングに、極限までスリム設計の「HP Spectre 13」に触れてみた。
スリムノートPCながらCore i7を搭載するためベースパフォーマンスは高い
それではパフォーマンスを見ていこう。まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの値だ。CPUスコアは2コア/4スレッドのCore i7を搭載しているため、7.5ポイントとまずまず高い。グラフィックスはD3Dが9.9ポイント、通常のGraphicsがやや低めの5.7ポイントだった。Graphicsが低いのは、省電力志向のためだろうか。ゲームに関わるD3D側が高いスコアなので、体感的なパフォーマンスは十分だ。比較的ウィークとなりがちなMemoryは7.8ポイント、Diskは8.8ポイントと、全体的に見るとスコアは高めである。
続いてPCMark 8だ。Homeスコアは3327ポイントだった。例えば同じ世代でもより消費電力を抑えたCore m(Core m3-6Y30)では2700ポイント台であるので、そこから500ポイント以上高いわけだ。PCMark 8における500ポイントはかなり大きな差である。ほか、Creativeスコアは3853ポイント、Workスコアは4345ポイントとなった。
CPU性能を見るためにCINEBENCH R15を計測してみた。Core i7であるが、デュアルコアで定格が2.5GHz、ターボ時が3.1GHzなので、デスクトップ向けと比較すると特にマルチスレッドのCPUスコア側が数分の一になる。とはいえ280 cbあれば普段の作業では快適だ。CINEBENCH R15のようにレンダリングや、あるいは映像編集・ソフトウェアトランスコードなどの際はパフォーマンス不足を感じるが、そもそもそうした用途に向けた製品ではない。一方、普段の作業でより重要となるシングルCPUスコアは、3.1GHzというターボ時の高クロックが効いて111 cbという十分なスコアを記録している。
CrystalDiskMarkで計測したストレージのパフォーマンスは、若干、公称スペックとは異なる傾向が出た。シーケンシャルリードは公称スペックよりも高い1671MB/秒で、同ライトは公称スペックとほぼ同等の589.8MB/秒だ。なお、HPが使用しているバージョンはCrystalDiskMarkの3.0.x系であるため、5.1.2を用いた今回の検証とは、実は用いるテスト方法が異なっている。CrystalDiskMarkのバージョン5からはネイティブコマンドキューイングが有効に効くため、とくにシーケンシャル性能が向上する。Windows 8.1以降を用いているのであれば、恐らくCrystalDiskMark 5系のパフォーマンスに近いものが出せるはずだ。また、4Kサイズの細かなファイルの転送でも、Q32T1設定でリードが439.7MB/秒、ライトが363.5MB/秒とかなり高速だ。
では3D性能を3DMarkで計測してみよう。なお、最新版の3DMarkでは、PCのスペックをスキャンしたうえで、オススメのテストを表示してくれるのだが、そこで表示されたのはSky Diverだ。ただし、比較ということでまずはFire Strikeから紹介する。こちらのスコアは797ポイントだ。1000ポイントに満たないため、DirectX 11の、高負荷なゲームには適さないというわけだ。これは本製品がCPUの統合GPUを使用している時点で察しがつくところ。DirectX 11でもSky DiverはFire Strikeほど負荷は高くない。こちらのスコアは3480ポイントと、高くはないが統合GPUという点を考慮すればまずまずといったところだ。統合GPUも、世代が進むに連れ進化しており、1世代前では重すぎたタイトルが、最新世代ではそこそこ楽しめるようになっている。その好例といえるだろう。
上記の結果を踏まえ、ゲームタイトルベンチマークとして「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」を実行してみた。まず1920×1080ピクセルでは最高品質でも標準品質でも評価は「普通」だった。若干の引っ掛かりを感じる映像品質だが、取りあえずは遊べる。「快適」評価を得られたのは、1280×720ピクセルの標準品質だ。こちらはスコアでも6170ポイントほど出ており、確かに快適にプレイできる。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトの結果。最高品質では、1,920×1,080ドットがギリギリ(上段)。快適ラインは、標準品質の1920×1080ピクセル((下段左)、あるいは最高品質の1280×720ピクセル(下段右)一方、ドラゴンクエストXよりも若干グラフィックス負荷の高い「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、DirectX 11の1920×1080ピクセルで標準品質(ノートPC)でも「設定変更を推奨」。このまま1280×720ピクセルに落として「やや快適」と、取りあえずプレイ可能な映像になった。DirectX 9の1280×720ピクセルに落とせば「快適」評価なので、どちらかと言えばDirectX 9で楽しむのがよい。

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークの結果。DirectX 11の1,920×1,080ドットでは標準品質(ノートP)でも重い(上段)。DirectX 11では1,280×720ドットでも「やや快適」程度(下段左)で、DirectX 9に落としてようやく「快適」評価(下段右)最後はバッテリー駆動時間だ。BBenchv1.01で、電源設定はHP推奨の電力設定で、Bluetoothおよび無線LANをオンとし、Web巡回とキーストロークを有効としている。結果は5時間50分だった。公称値よりもかなり短くなってしまったため、これは何か不要なプロセスが動いてしまった可能性があるだろう。ただし、実際にPCを使用する際は、自由にアプリケーションをインストールするため、標準以外の複数のプロセスが動いていることもよくあること。実際のバッテリー駆動時間の目安としてはこのあたりになる可能性もあるだろう。
まとめ
HP Spectre 13は、2つの点で挑戦的な製品だ。一つはデザイン、もう一つはパフォーマンスだ。デザインは写真で見る印象と、実機の印象は異なる。これまでのPCにおけるゴールドの使い方とは少し違った、落ち着いた印象を受けるだろう。その上で、細部まで凝ったデザインでありながら奇をてらったところがなく、ノートPCという概念のままラグジュアリー感を打ち出しているので、ハデなものを嫌う方でも心引かれるところがあるのではないだろうか。気になる方は是非店頭の実機を手にとって確認していただきたい。
もう一つのパフォーマンス。こちらはベンチマークを見ていただければ分かる通り、スリムノートPCというセグメント内では高いところにある。Core mやAtomといったクラスでパフォーマンス不足を感じていた方は、是非この違いを試してみていただきたい。一方で、高負荷時の動作音と温度の点では、及第点をクリアしつつもやや高い。要は若干のトレードオフとなっている印象がある。あくまでスリムノートPCの想定活用範囲で使用されることをオススメしたい。ピークパフォーマンスは、ここぞという所で助けになるはずだ。
このように、HP Spectre 13はビジネスマン/ビジネスウーマンにとって、高い質感と実用的性能を両面で受け入れられる製品に仕上がっているといえるのではないだろうか。とくに、周りと同じ、周りに流されるのを嫌う個性をアピールしたい方には最適だ。
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