12.5型で世界最小をうたう「HP EliteBook Folio G1/CT」はMacBookの対抗馬になれるか?:2016年PC夏モデル(3/3 ページ)
日本HPから、クラス世界最小をうたう12.5型ノートPC「HP EliteBook Folio G1/CT」が登場。デザインや機能性はもちろん、インタフェースとしてUSB Type-Cの使い勝手を向上させるアクセサリーも充実している。
ベンチマークテストでパフォーマンスを確認
実際に定番のベンチマークテストでパフォーマンスを確認していこう。本製品の仕様をまとめておくと、プロセッサはCore M5-6Y54、メモリは8GB、グラフィックスチップはCPU内蔵のIntel HD Graphics 515、ストレージは128GB SSDで、評価機ではSanDisk製の「SD7SN6S-128G-1006」が搭載されていた。OSは64bit版のWindows 10 Proという仕様だ。
Core Mシリーズは採用機がそれほどは多くないため、その性能については気になるところだろう。まずプロセッサ性能を計測する「CINEBENCH R15」の結果を見てみると、CPUで「197(cb)」、シングルコア時で「76(cb)」となった。次に総合性能を計測するPCMark 8のテストを行った。家庭での一般的な利用状況を想定したHomeのスコアは「2865」、Creativeのスコアは「3343」、Workのスコアは「3866」となっている。
参考としてPCMark 7でもスコアを計測した。PCMark 7のスコアはOverallで「3745」となっている。TDP4.5Wという省電力CPUでありながら、これだけの処理性能を持つ点は優秀だと考えられる。ビジネス関係に限定するなら十分メインマシンとして利用できるだろう。
続いて3DMarkでの結果を見てみよう。結果はSky Diverが「2335」、Cloud Gateが「3645」、Ice Stormが「34582」、Ice Storm Extremeが「24950」となった(GPU仕様の関係でFire Strikeなどは計測することができなかった)。同じ省電力系のCherry Trail世代のAtomと比べると全体的な数値は高い。
続いてゲームベンチであるファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマークでは、「高品質(ノートPC)、解像度1280×720ピクセル)」、DirectX9という条件ではスコアは「1848」で「設定変更を推奨」という結果になった。画質を下げて「標準品質(ノートPC)、解像度1280×720ピクセル)」、DirectX9という条件にしたところ、スコアは「2704」「やや快適」と改善された。
同じく軽めのゲームベンチであるドラゴンクエストXベンチマークソフト結果は「最高品質、解像度1280×720ピクセル」時で「4018」で「普通」となり、設定を「標準品質、解解像度1280×720ピクセル」設定にした場合は「5241、快適」となった。軽いゲームには使えるが、グラフィックス性能を要求されるようなものはプレイを控えるべきだろう。
SSDの性能測定には、いつも通りCrystalDiskMarkを使用している。本製品で使用されているストレージはSanDisk製のSD7SN6S-128G-1006であることは前述した通りだ。付属ツールなどの関係で複数のパーティションに区切られているが、今回は容量のほとんどを占めるCドライブ部分を計測している。シーケンシャルリードは507.8MB/s、ライトは178.5MB/sという結果で十分良好な結果といえるだろう。ランダム4Kの数字も上等だ。本製品ではBTOメニューからさらにNVMe対応の高速SSD(容量256GB、追加費用2万2700円)も選択可能となっており、さらに上の性能を目指すこともできる。
最後にバッテリー駆動時間のテストを行っている。テストはbbench 1.01を使い、無線LANでの常時接続、60秒間隔でのWebサイト表示、10秒間隔でのテキスト入力を行う設定にしている。電源プランは「バランス」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%にしてある。バッテリー残量5%になるまでの動作時間は6時間48分だった。メーカー公称値の最大約11.5時間と比べると短いのが気になるが、ネットに巡回接続しながら6時間動作すれば及第点といったところだろう。出張先などで使用する場合でも内蔵バッテリーだけで1日の実務時間の大半をカバーできるのではないだろうか。
デザインにこだわる人にお勧め
本製品はモバイルユーザーにとって理想に近いサイズと機能を持った製品といえる。本体にはUSB 3.1対応のType-Cコネクタしかないため、トラベルドックを持ち歩かないと当面は実際の運用には不便だ。しかし、Type-Cの周辺機器が増えてくればこうした部分は将来的には解消されていくはずだ。
ハードウェアスペックだけでなく、全体的な高級感や液晶ディスプレイの見やすさ、キーボードの優れたレイアウトとタイプのしやすさ、その上でベンチマーク時点でも7時間弱作業できるというバッテリー駆動の長さなど、全体的な完成度が非常に高い。利用していて感じたのが音の良さだ。スピーカーは底面側にレイアウトされているが、想像以上に音の広がりを感じた。標準時の本体価格が高いことは気になるが、現在キャンペーン中のモデルであれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言い切れる。
要望としては周辺機器、とくにトラブルドックやドッキングステーションは必須ともいえる存在なので、こちらの価格も値下げして欲しいところだ。とにかく所有欲をかき立てる完成度を持った製品であることは間違いない。
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