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Windows 10の「Fall Creators Update」が完成間近 サポートに関する変更も鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

2017年秋に配信が始まるWindows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update」の開発もいよいよ大詰め。ここへ来てサポートポリシーに関する変更も出てきた。【更新】

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 Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」。一般向けの配信開始は9月後半から10月初旬くらいと予想されるが、その開発は大詰めを迎えている。

 2017年7月26日(現地時間)に放送されたChannel 9 Lineにて、米MicrooftでWindowsの開発ディレクターを務めるケビン・ギャロ氏は、Windows 10 Fall Creators Update SDKが「Platform Complete」の状態になったと報告した。

 これは、Fall Creators Updateで盛り込まれるべき仕様が最終確定したことを意味しており、今後の同アップデートに関する更新はバグ修正が中心になる。

 それを示すかのように、同日公開されたWindows 10 Insider PreviewのBuild 16251(PC向け)とBuild 15235(Mobile向け)では、Cortanaの検索結果プレビュー画面や、音声コマンドによるPCの再起動、シャットダウン、サインアウト、ロックの操作、スマートデバイスで閲覧中のWebページをPCに表示する機能の追加など、比較的大きな機能アップデートが含まれており、追い込み的な雰囲気が漂っている。

Insider Preview
Cortanaの検索結果は、Cortanaのペインにプレビューされるようになった
Insider Preview
スマートデバイス(現状でAndroidに対応)で閲覧中のWebページをWindows PCに表示できるようになった

 Fall Creators Updateに関しては、当初予告された目玉機能の一部が搭載されないなど残念な情報もあるが、その一方で「AndroidデバイスでのWeb閲覧情報をPCに引き継ぐ」という機能が導入されていたりと、「Project Rome」の先兵とも言える仕掛けになっている。

「Creators Update」がようやく全ユーザーに行き渡る

 Platform Completeの話題とほぼ同じタイミングで、Microsoft公式のWindows Blogでは「Windows 10 Creators Update(1703)」の全ユーザーへの展開が行われたという報告があった。既に2017年4月の一般公開から3カ月以上が経過しているが、Fall Creators Updateへの準備が整いつつある兆候と言える。

 MicrosoftはWindows 10において、最新アップデートを適用した状態を維持し続ける限り、新機能の入手やサポートを受け続けられる「WaaS(Windows as a Service)」の仕組みを導入しており、その前提で年2回の大型アップデートサイクルを設定している。

 Creators Updateについては一部の旧世代PCでWaaSとしての継続サポートが終了した旨が報告されているが、残りのデバイスについては基本的に「年2回の大型アップデート」が提供され続ける。

Windows as a Serviceの「最適化モデル」に関する定義変更

 さて、次は2017年4月に発表されたWaaSならびにOffice 365 ProPlusに関するポリシー変更のアップデートについての話題だ。

 この4月のポリシー変更でのポイントは、WindowsならびにOffice 365のアップデート周期を3月と9月の年2回に固定し、企業ユーザーのアップデート期限を18カ月に設定した点にあった。

 従来の12カ月(1年)の期限ではサポートを受けるためにほぼ毎回大型アップデートを適用し続けなければならなかったのに対し(以前は配信タイミングが不定期のため、1回でもアップデートをスキップするとサポート対象外になる可能性があった)、年2回の配信タイミングが固定されて猶予が延びたことで「アップデートを1回スキップしても問題ない」と運用が若干フレキシブルになり、アップデート計画を立てるうえで利便性が向上した。

 今回、Creators Updateの適用範囲が全てのデバイスに拡大したということは、同時に「企業ユーザーが全てのクライアントPCにCreators Updateを配信する準備が整った」ということを意味している。このタイミングをもって、今後は18カ月の猶予期間をみながらアップデート計画を企業のIT担当者は設定していくことになる。

 なお、Microsoftでは今回のポリシー変更に合わせる形で、従来のWindows展開モデルについて名称の変更を発表している。この名称変更ではWindows 10だけでなくOffice 365 ProPlusも含まれる形となり、以後の「最適化モデル」の新名称として利用されることになる。

  • Semi-Annual Channel(SAC)

 従来は一般ユーザー向けの「Current Branch(CB)」とビジネスユーザー向けの「Current Branch for Business(CBB)」の名称で呼ばれていた標準的なWindows展開モデルは、今後は「年2回更新」を意味する「Semi-Annual Channel」という名称になる。これまでターゲットによって区別されていた2つのブランチが同じくくりとなった他、「Branch(枝)」が「Channel(手法)」に変更された点に注目したい。

 また、Microsoft側の説明を見る限り、「一般向けと企業向けともにリリースから18カ月のサービス期間」が明示されている。これまで、「CBでは常に最新のアップデートを適用」「CBBでは適用開始期間と猶予期間がCBとは異なる」という形で運用が区別されてきたが、Semi-Annual Channelへの変更により両者が一緒くたとなる。

 つまり、「一般ユーザーは必ず大型アップデートを適用した最新状態を保たなければいけない」という縛りがなくなったようだ。後日あらためて確認するが、この変更は非常に興味深い。

 Semi-Annual ChannelについてMicrosoftの見解をあらためて確認したところ、「Windows 10 ProとWindows 10 Sについてはアップデートを遅らせる機能(つまり従来のCBB)が搭載されており、Semi-Annual Channelで示される18カ月のルールがそのまま適用される。Windows 10 Homeについてはこの機能がないため従来通りの運用(サポートを継続的に受けるには、最新アップデートを適用した状態を保つ必要がある)」という回答を得た。

 Microsoftの基本スタンスとして、Semi-Annual Channelは企業向けのサービスモデルであり、企業向けを想定しているWindows 10 Pro(含むWindows 10 S)以上のエディションでのみ適用されるという考えだ。つまりWindows 10 Homeはこの適用外であり、ルール的には従来と変わらないということになる。

【更新:2017年8月4日午後3時 Semi-Annual ChannelについてMicrosoftの回答を追記(上記の太字部分)しました】

  • Long-Term Servicing Channel(LTSC)

 従来は「Long Term Servicing Branch(LTSB)」と呼ばれていたWindows展開モデルで、名称のBranchがChannelに置き換わっただけだ。POSや産業機械など、主に組み込みや制御系機器での利用を想定したChannelであり、「リリースから10年」というサポート期間を含め、ルール的には変化しない。

 Windows 10のリリース情報によれば、現在LTSBとして提供されているのは「1607」というバージョンで、CBにおけるAnniversary Updateに該当する。現在、LTSCの提供は2〜3年周期となっており、次のバージョンの提供は2019年に予定していると同社では述べている。

【訂正:2017年8月22日午後3時 初出でLTSBのWindows 10バージョンに誤りがあり、「1607」と訂正しました】

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