ビッグなAlexa対応スマートスピーカー「Harman Kardon Allure」と「Amazon Echo」を比較して分かったこと:山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/2 ページ)
スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回はハーマンインターナショナルのAlexa対応スピーカー「Harman Kardon Allure」を紹介する。
離れたところに置いて使うことを前提とした製品
さて、Allureを使ってみてまず驚くのが、異常ともいえるマイク感度の良さだ。Allureを数メートル離れた位置に置いた状態で、すぐそばに置いたAmazon Echoに小声で話し掛けたつもりが、なぜか遠くにあるAllureの方が反応したりするほどだ。
つまり、必ずしも身近に置かなくとも声を聞き取ってくれるわけで、それ故に部屋の中での設置における自由度の高さは、純正のAmazon EchoやEcho Dotよりも上だと感じる。いかんせんこのサイズで設置スペースは制限されるため、離れた場所に置いても問題ないのはありがたい。この辺りは、製品紹介にある「高性能ノイズキャンセレーション技術を搭載したマイク」4基の効果によるものだろうか。
一方、困りものなのが、最小音量にしても、かなりのボリュームがあることだ。他の製品で例えるならば、音量が100段階だったとして、Allureは音量10までしか下げられず、音量9にしようとするといきなりゼロになってしまうイメージだ。
当然、枕元で静かに音楽を聴くなどの用途には向かず、とにかく大きいボリュームで広い部屋で曲を聴く用途が中心となる。もっとも、離れた位置に設置してもきちんと反応してくれるので、音を遠ざける目的で遠くに置いてもスマートスピーカーとしての実用性に影響はなく、そうした意味でつじつまは合っている。単に最小音量が大きいだけだ。
多少気になるのは、Allure上部のタッチパネルの操作性だ。音量の調節は、「+」「−」ボタンをタップするか、もしくはその間にある6つの突起をなぞる仕組みなのだが、いったんミュートにするとどちらの操作でも音量が上げられない(時間を尋ねるなど別のやりとりを挟むと突然復帰する)症状がまれに発生する。製品固有の問題か、それとも今回の評価機に限った問題かは不明だが、念のため記しておきたい。
「音声アシスタントを搭載した音楽スピーカー」を求める人におすすめ
以上ざっと使ってみたが、Allureは一戸建てや大きな部屋、最低でも10畳を超える部屋で、周囲を気にせずに音楽を楽しむための製品だ。Wi-Fiが5GHz帯対応なので安定したストリーミング再生が期待できるが、基準となる音量が大きいため、6畳や8畳といったワンルームに無理に導入すると、夜間に使うのは気兼ねする事態になりかねない。
こうしたことから、音楽を聴くのはあくまでもサブの目的で、スマートスピーカーとしての機能をメインに考えるならば、他の選択肢もあるだろう。万人向けに作られている純正のAmazon Echoとは異なり、ユーザーを選ぶ製品であることは間違いなさそうだ。
ただ、Allureは聞き取り性能の高いマイクなど、ハードウェアのポテンシャルはかなり高く、それ故スマートスピーカーとしての実用性が低いわけではない。以前も触れたが、日本語の認識率が低いだけならばアップデートや学習で改善される余地があるが、マイクの聞き取り性能の低さはハードウェアに起因する可能性が高いので、改善の見込みが低い。
その点、Allureは、音量調整が不安定な点についてはアップデートの必要性を感じるが、聞き取り性能そのものは十分なので、ポテンシャルが問題になることは考えにくい。Amazon.co.jpでの販売価格は2万6870円(税込)と決して安くはないが、「音響性能を強化したスマートスピーカー」ではなく「音声アシスタントを追加した音楽スピーカー」を求める人におすすめしたい製品だ。
ちなみにこの製品、バッテリーを内蔵したポータブル版が先日のCES 2018で披露され、年内の早いタイミングで投入が予告されている。日本国内で発売されるかは未定だが、本体サイズが大きすぎることを理由にAllureの購入をちゅうちょしている人は、こちらの動向もチェックしておくとよいかもしれない。
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