スマートスピーカーの聞き取り性能を徹底比較(コンパクトモデル編):山口真弘のスマートスピーカー暮らし(1/3 ページ)
スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回はスマートスピーカーのコンパクトモデル3製品について、その聞き取り性能をチェックする。
スマートスピーカーの使い勝手を決める要素の一つに、マイクの聞き取り性能が挙げられる。ユーザーの音声コマンドを受け取って処理するクラウド側のAIがどれだけ高性能でも、スマートスピーカーのマイクがそれをきちんと聞き取れなければ、宝の持ち腐れになってしまう。
とはいえ、こうしたマイクの性能は、具体的な数値として公表されておらず、情報として存在するのは、せいぜい搭載されるマイクの個数くらいだ。それ故スマートスピーカーの聞き取り性能は、自分が使っている製品に関しては何となく把握していても、それが果たして他製品と比べて性能が高いのか否か、分からないユーザーが大半だろう。距離や音量の違いによる性能差ともなると、なおさらだ。
そこで今回は、2018年9月時点で国内で市販されている、サードパーティー各社の製品を除いたスマートスピーカー9製品について、距離および音量を変えながら、聞き取り性能のチェックを行った。既にスマートスピーカーを所有している人にはもちろん、これからスマートスピーカーを購入する人にとっても、参考にしてもらえるはずだ。
今回は第1回としてコンパクトモデルの3製品、「Amazon Echo Dot(第2世代)」「Google Home Mini」「Clova Friends Mini」について、聞き取り性能を比較する。
- スマートスピーカー9製品の聞き取り性能を徹底比較
【第1回】コンパクトモデル編 ※本記事
【第2回】スタンダードモデル編
【第3回】大型・画面付きモデル編
【最終回】メーカーごとの「傾向と対策」
0.25m刻みで聞き取り性能をチェック
本題に入る前に、まずテストの方法についてざっと紹介する。
テストは、スマートスピーカーの設置場所を原点に、垂直方向および水平方向に25cm刻みで目盛りを付け、それぞれの位置でウェイクワード(スマートスピーカーを使うときに呼び掛ける言葉)を発し、スマートスピーカーが反応するか否かをチェックするというものだ。
今回は室内利用を想定し、垂直方向に1.5m、水平方向に2.5mまで範囲を対象として測定を行っている。以下の図および写真を見ていただければ、おおよそどのようなテストか把握してもらえるはずだ。なお測定を行ったのは正面方向のみで、左右方向については対象外としている。

スマートスピーカーの設置場所を原点とし、垂直方向(〜1.5m)および水平方向(〜2.5m)に0.25m刻みで目盛りを付け、それぞれの位置でスマホに録音したウェイクワードを再生し、スマートスピーカーが反応するか否かをチェックする。これを9製品×音量3段階ごとに行う

スマートフォンに録音したウェイクワードを再生し、スマートスピーカーが反応するか否かをチェックする。写真はあくまでイメージで、実際にはスマートスピーカー横の壁面に目印を付け、そこにスマホの位置を合わせて測定を行っている
ウェイクワードは、あらかじめ録音した声をスマートフォンで再生することにより、発音および音量が均一になるよう配慮している。ウェイクワードは、Amazon Echoは「Alexa(アレクサ)」、Google Homeは「ねぇ Google」、Clovaは「ねぇ Clova」と、製品ごとに最も多く使われているであろう言葉を用いている。
測定はなるべく騒音の少ない環境で行っているが、無音ルームというわけではないため、雑音が交じる可能性がある。そのため今回は、同じ位置でウェイクワードを3回再生し、うち2回反応すれば○、1回だと△と見なしている。この後紹介するチャートでは、○を濃い丸印、△を薄い丸印で表示している。
またスマートスピーカーの聞き取り性能の良しあしは、本体からの距離だけではなく、音量にも大きく左右されると考えられるため、3段階の音量についてテストを行っている。具体的には、iPhoneの音量「6」「8」「10」で、以下ではそれらを便宜的に音量「小」「中」「大」と表記する。
なお実際のテスト時は「Alexa、いま何時?」といった具合に、ウェイクワードの後ろに具体的な音声コマンドを付与しているが、今回の採点はあくまでウェイクワードに反応したか否かにとどめている。具体的な音声コマンドを含めなかった理由については、最終回で詳しく述べる。
では次のページから、製品ごとのテストの結果を見ていこう。
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