2019年は「Windows on Snapdragon」のリブートに期待?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
何かと話題を集めた「Windows on Snapdragon」が、正式リリースから1年たとうとしている。Always Connected PCの現状を見ていこう。
米Qualcommと米Microsoftが「Windows on Snapdragon」を正式にローンチしたのが2017年12月だ。QualcommのSnapdragonとWindows 10を採用したデバイスは米国などで順次出荷が始まった(ASUSの「NovaGo」やHPの「HP ENVY x2」など)。
そして2018年6月のCOMPUTEX TAIPEIでは「PC向け」を明確にアピールした「Snapdragon 850」が同社によって発表され、LenovoやSamsungから同SoCを搭載したWindows on Snapdragonが市場に登場した。
Microsoftによれば、このWindows on Snapdragonを含む、LTEモデムを標準装備した常時接続PCである「Always Connected PC」は、ライフスタイル全般に渡るさまざまな分野に適用が可能で、その生産性を大幅に向上するという。だが米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー(Mary Jo Foley)氏が関係者へのインタビューを通じてまとめた情報によれば、その主軸をある程度「ビジネス用途」に向けているようだ。
10月25日に公開された同氏の記事で、Windows Server、Always Connected PCやOSプラットフォーム技術全般をカバーするコーポレートバイスプレジデントのエリン・チャップル(Erin Chapple)氏のコメントとして紹介されている。「Always Connected」による常時接続機能は、MicrosoftがOEM各社に対して搭載を推奨している機能の1つであり、ある意味で「PCの必須要件」の1つとしてプッシュしている状態にある。
この常時接続は、コンシューマーももちろんターゲットに含める一方で、将来的にはビジネス分野での拡大に期待していると同氏はコメントを寄せた。常時接続の仕組みはアプリケーションの在り方を大きく変化させるもので、専用のネットワーク環境を各自が用意しなくても、常時接続を前提としたアプリケーション、特にクラウド経由での情報共有やアプリケーションへのアクセスなどがその中核となる。ある意味で、Office 365や関連のクラウドソリューションに軸足を移しつつあるMicrosoftにとっては自然な流れだといえる。
米Microsoft Storeの「Always Connected PCs」ページ。「HP Envy x2」「Asus NovaGo TP370QL」「Lenovo Miix 630「Samsung Galaxy Book 2」が購入可能だ
一般的に考えても、コンシューマー分野に比べてビジネス用途に浸透するには手間暇がかかるし、PCの世界で「Always Connected」が普及するには、まだもう少しだけ時間が必要だと筆者は考える。一方で、LTEモデム内蔵の重要性が認知されつつあり、Windows on SnapdragonのSoCも強化が進み、今後さらに対応デバイスは増加するだろう。
2018年12月にはQulacommの製品ローンチイベントが控えており、おそらく次期Snapdragonのハイエンドモデルが発表される見込みだ。以前、筆者が前述のチャップル氏にインタビューした際に、「ゲームなどの高負荷アプリケーションの動作は想定していない」とコメントしている。技術的判断による切り捨てだったと同氏は説明するが、ビジネス層やライトユーザーをターゲットにしつつ、どれだけ広い範囲のユーザーを取り込んでいけるか、2019年はAlways Connected PCにとってチャレンジの年になるだろう。
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