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本田雅一のクロスオーバーデジタル:

2018年のパーソナルコンピューティング動向を冷静に振り返る (2/5)

クラウドAIとエッジAIの世界において、「パーソナルコンピューティング」の定義は揺らぎつつある。2018年、ユーザーを取り巻くデバイスとサービスの環境はどう変化したのだろうか。

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彼らは何を売っている会社なのか

 ハードウェア製品こそがパーソナルコンピューティングの中心だった時代には考えられなかったことだが、インターネット上の広告によるフリーミアムモデルが進化してきた結果、自分たちが得ている情報やサービス、製品のコストを、誰がどのようにして負担しているのか、真剣に考えながら自分が使う製品やサービスのプラットフォームを決めなければならなくなってきたのかもしれない。

 クラウドAIの開発が進む中、利用者から提供される行動情報を個人情報と結び付け、それをマネタイズする手法が(以前から行われていたのだが)衆目を集め始めたことで、「プライバシーを売り物にする企業」と見なされ、風当たりが強くなっているプラットフォーマーが出てきたからだ。

 前述したGAFA+Nのうち、Appleはハードウェア製品、Amazonはインターネット店舗(あるいはモール)、Netflixは映像ストリーミングサービスが主業務なのに対して、GoogleとFacebookは広告事業で成り立っているという点が異なる。

 FacebookはGAFAの中で最も小規模な企業だが、最も大きく成長し、また利益率の高い企業だ。その価値の源泉は「実名登録」を基本として、現実社会でのつながりが強い人たちが交流するという特徴を生かした精度の高いターゲティング広告にある。

 Facebookの売り上げは、その会員数が増加するにつれて指数関数的に伸びており、22億人が使うようになったFacebookの2017年度売り上げは406億ドルに達した。そのうちのおよそ98%は広告によるもので、2016年度に対する成長は47%増と強烈だ。純利益は56%増の159億ドル。営業利益率は驚くべきことに50%を超えている。

Facebook
Facebookの売上高推移(Facebookが発表した第3四半期、7〜9月の決算報告より)

 彼らがここまで効率の良いビジネスを行える理由は明らかである。年齢、性別、交際ステータス、学歴、職場、職歴、役職、イベントへの参加履歴や訪問する店、趣味趣向など、Facebookユーザーのプライバシー情報と連動した広告の掲示を行えることに加え、「いいね!」対象の書き込みや画像、動画などから、ユーザーの趣味趣向、関心、思想、政治的な立ち位置なども検出できるためだ。

 単なる属性値を超えた「ひととなり」を推測した上で広告を当てていけるため、Facebookは他社よりも1.5倍精度が高いと自慢している。

 しかしFacebookの問題は、その強みの裏返しでもある。というのも、個人のプライバシーを売り物にして収益を挙げている企業というレッテルを剥がすことが極めて難しいからだ。

 前述したFacebookの個人情報が不正に利用された問題に対して、Facebookはさまざまな説明をしてきたが、マーク・ザッカーバーグCEOは発覚から数日間沈黙し、その後にやっと今後の対策について投稿(投稿に謝罪の言葉はなく、後にCNNのインタビューで謝罪)したことなどで、「彼らはプライバシーなど考えたことがないのだ」と思われ、Facebookへの嫌悪感が広がってしまった。

「独占は悪ではない」が「支配的立場の乱用は悪」

 もっとも、嫌悪感とは感情的に消費者が忌避する気持ちであり、企業犯罪というわけではない。個人情報の流出やその不正利用は問題だが、個人情報をマネタイズすることに対して眉をひそめる気持ちとは別ということだ。

 SNSのトラフィックに対するシェアの高さも同様で、Facebookは全体の7割のシェアを持つが、寡占しているからといって悪なわけではない。寡占が進み、より多くの人が使う方が、利用者にとっても高い利便性を持つことは言うまでもない。

 しかし、そうしたシェアの高さを利用して、顧客がプライバシーを提出しなければサービスを利用できないような仕掛けを作ってしまうと、「支配的立場を乱用して利用者に望まない取引を強要」したことになり、法令違反の可能性が高くなる。

 FacebookはAPIを用意した上で、他社がFacebookユーザーのさまざまな行動属性などを参照して、何らかの広告表示やアプリケーション動作の判別に使えるようにする計画を持っていたといわれている(ザッカーバーグ氏がそのことを示唆する投稿を行った)。

 しかし、ここまでプライバシー保護が甘い会社というイメージ、批判がついてまわっていると、なかなか実行に移すのは難しいだろう。

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