2019年、Microsoftが飛躍するために取り組むべきこと:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
WindowsやMicrosoftの最新情報を独自の視点でお届けする本連載。2019年の第1回は、筆者の鈴木淳也さんが「今後Microsoftが飛躍するために取り組むべきこと」と題してお届けする。
Microsoftは2019年に何に取り組むべきなのか
以上を踏まえ、Microsoftが2019年に取り組むべきことを考えてみた。割と早急に対応すべきことであり、これは2020年以降へのステップアップともなる。
- ユーザーからのソフトウェアの信頼性を回復する
- サービスやサポート体系をシンプル化してユーザーに分かりやすくする
セキュリティ対策においてWindows Updateは重要な位置付けにあり、この信頼性を早急に回復することが何より重要だ。近年のMicrosoftは「Windows Updateにまつわるストレスを軽減する」ことに力を注いできたが、これと同時に「OSをこまめにアップデートする」ことの利点もきちんと提示する必要があると考える。
「大型アップデートで機能が大きく改善されないなら、別にアップデートする必要もない」と考える人も出てくるはずで、本当に「年2回」のアップデートが正しいのかも見直すべき時期に近付いていると考えている。
機能追加に気を取られるあまり、ユーザーのフィードバックを見逃して大事故を引き起こすなら、そもそもWindows Insider Programは存在する意味がない。開発スピードと信頼性のバランスを考え直すよいタイミングではないだろうか。
もう1つは、もはや専門家でないと理解できなくなりつつある機能の差異やサポートポリシーに関するルールの見直しだ。前述のUWPとデスクトップのアプリ対応も含め、対外的に見て分かりにくいサービス体系はマイナスにしか作用しない。
複雑化するポリシーも大規模ユーザーを想定してのものだが、それはすなわち現行のポリシーそのものが無理のあるものという証明でもあると考える。SACの仕組みが有名無実化しつつある昨今において、年2回の大型アップデートが妥当かも含め、いま一度ポリシーをシンプル化した方がいいのではないだろうか。
2019年はソフトウェア上の課題が山積する一方で、「HoloLens 2」やSurfaceを含む新しいハードウェアやフォームファクタへの動きが見られるなど、いろいろコンシューマー的には楽しい話題も控えている。
前述したAdDuplexのデータによれば、安価で軽量なデバイスの人気が高いという集計結果も出ており、新SoCを搭載したWindows on SnapdragonやSurface Goの次世代版などにも期待が集まる。いずれにせよ、2019年はMicrosoftの次への飛躍にとって重要な年であり、楽しみに観察していくつもりだ。
関連記事
- 激化するオンライン vs. リアル店舗のはざまでMicrosoftが生き残るためには
WindowsやMicrosoft関連の情報を日々追いかけている本連載。鈴木淳也氏がPC市場とMicrosoftの今とこれからを考える。 - MicrosoftはどこまでSurfaceに本気なのか 2019年のハードウェア製品を予測する
2018年もさまざまなモデルが登場したMicrosoftの「Surface」シリーズだが、2019年以降はどのような展開となるのだろうか。さまざまな情報から同社のハードウェア製品を読み解いていこう。 - Windows 10「October 2018 Update」のファイル消失問題とは何だったのか
ファイル消失問題によって配信停止に追い込まれていたWindows 10の大型アップデート「October 2018 Update)」。ようやく配信が再開されたが、Windows 10における開発体制や配信手順には見直しが必要との声が少なくない。 - 「Windows 10 October 2018 Update」の再配信でMicrosoftが失ったもの
ファイル消失問題などで世間を騒がせた「Windows 10 October 2018 Update」だが、Microsoftにもたらした課題は何だろうか。Windows 10のバージョン別シェアから読み解く。 - Windows 7と10のサポート期限がより複雑化 法人向け7は有償で3年延長も
新Windows、新Office、そしてクラウド環境への移行を加速させたいMicrosoftだが、市場動向や顧客ニーズに合わせたサポートポリシーの変更で例外が多くなり、ユーザーにとってより分かりにくい状況になってきた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.