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Microsoftの「HoloLens 2」でコンピュータの未来はどうなる?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/4 ページ)

2月24日(現地時間)、Microsoftはスペイン・バルセロナで開催されるMWC19 Barcelonaに先がけてプレスイベントを開催、第2世代のMRヘッドセット「HoloLens 2」を発表した。

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業務アプリケーションの世界へ拡張するMicrosoft

 そして、このような新しい体験をさらに業務アプリケーションの世界へと拡張していこうというのがMicrosoftの狙いだ。同社は2018年9月にHoloLensを使った業務支援アプリケーションの「Dynamics 365 Remote Assist」と「Dynamics 365 Layout」の2つを発表している。

 これに加え、さらにRemote AssistとLayoutの仕組みを、AndroidやiOSといった非HoloLens環境でも体験できるようにするための補助アプリをMWC開催前にパリで発表しており、今回はこれらを使ったデモストレーションも披露された。

 Dynamics 365+HoloLensの新たなアプリケーションとしては「Dynamics 365 Guides」が追加されており、ファーストラインワーカー(現場の第一線で働く人々)が作業手順をHoloLensを通して細かいビジュアルつきのガイドで指示され、安全に作業を進められるようになっている。

HoloLens2
2018年9月に発表されたDynamics 365とHoloLensを組み合わせたソリューションを拡充
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前回のRemote AssistとLayoutに続き、今度はGuidesというアプリケーションを紹介。ファーストラインワーカー向けのもので、作業に必要な操作手順をホログラムで指示する
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HoloLensを使ったビジネス向けソリューションパートナーは数多く存在する

 産業向けソリューションが多く開発されたこともあり、場所によって単一デザインのHoloLensだけでなく、工事現場向けに安全ヘルメットを組み合わせたり、ブランディング上の理由で色やロゴをカスタマイズしたりと、さまざまな需要が出てきている。Microsoftでは「HoloLens Customization Program」を提供し、こういったニーズに応えようとしている。 

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Microsoft HoloLens Customization Programの紹介。HoloLensの業界向けアプリケーションが増えるにつれ、さまざまな分野で活用が進んでおり、それに合わせてカスタマイズ需要が生まれたことに対応するものだ

 HoloLensに関わるAzureサービスも拡充が発表されている。「Azure Spatial Anchors」は空間マップを共有するサービスで、AndroidやiOSといった非HoloLensデバイスであってもプラットフォームを問わずに空間情報を共有する。

 これにより、HoloLensでの作業情報をHoloLensやWindows MRのようなデバイスがなくても、AndroidやiOSといったモバイル端末さえあれば内容を確認し、場合によっては作業に介入できる。

 HoloLens側の制限で、大量のポリゴンを必要とするような3Dモデルの表示では、描画作業にパフォーマンスを必要としたり、バッテリーを消費したりする問題があるが、これらをAzureが肩代わりすることで、HoloLensの動作に支障を与えない「Azure Remote Rendering」という仕組みも紹介されている。

 この他、Epic Gamesのティム・スウィーニー氏がステージに登場し、Unreal Engine 4のHoloLens向け提供も発表している。対抗となるUnityが産業用途向けレンダリングエンジンとして対応アプリケーションを増やしていることを考えれば、おそらくUE4についても同様の道を模索するとみられ、近いうちに改めて応用アプリケーションが紹介されることになるだろう。

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Azure Spatial Anchorsは空間マップを構築し、HoloLensだけでなくAndroidやiOSなどのモバイルデバイス間で共有することを可能にする
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Azure Remote Renderingは高度なレンダリング作業をAzure側で行い、HoloLensに負荷をかけることなく高度なオブジェクト描画を実現する
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ptcのデモは、Azure Spatial Anchorsを使ったHoloLensとiPadを使った協調作業だった
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HoloLens 2を装着したキップマン氏からはオブジェクトがホログラムとして直接見えているが、HoloLensなしでもiPadのARカメラを通じてキップマン氏側の作業内容を確認できる
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HoloLens 2側で細かい作業が可能なため、この作業の様子をiPadで眺めているような形になる

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