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復活した「iPad mini」がスマホ選びの新基準になり得る理由本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

3年半ぶりに復活した「iPad mini」。新しい第5世代のiPad miniは、そのサイズ感の程よさから「都市生活向けタブレット」として使いやすいだけではなく、今後のスマートフォン選びにも影響する、そんな製品になるのかもしれない。

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それぞれのライフスタイルとiPad mini

 例えば筆者の場合、移動のほとんどに電車を使う。原稿執筆やメールの返信、資料作成のためにほぼ毎日パソコンを携帯し、そこにスマートフォンを足すというイメージだ。

iPad mini
筆者は毎日パソコン(MacBook Pro)を携帯し、そこにiPhone XS Maxを足すというスタイル。ここにiPad miniを加え、組み合わせて使ってみた

 筆者は現在、iPhoneはiPhone XS Maxを主に使い、これにバッテリー搭載の保護カバーを組み合わせている。テザリングしても、iPhoneを使い倒しても、バッテリーがなくなることがないようにだ。これに加えて、自ら開発に関わった5.2型Androidスマートフォンの「NuAns NEO [Reloaded]」もカバンに入れている。

 NuAns NEO [Reloaded]は個人的な関わりがある製品だから別として、5.8型の「iPhone XS」ではなく、6.5型のiPhone XS Maxである理由は、移動中にコンテンツを閲覧する道具としての性格をiPhoneに求めているからだ。2012年当時に比べれば、スマートフォンで写真や映像作品を楽しむことも多くなってきた。

 さらにいえば、ヘッドセット機能を内包したBluetooth接続のイヤーモニターを使うことも多く、その場合はそもそもスマートフォンを耳に当てて通話することもない。

 当時最大の6.4型ディスプレイ搭載Androidスマートフォン「Xperia Z Ultra」が登場した2013年ごろ、つまり受話器としてスマートフォンを使うことが当たり前だった時代ならば、iPhone XS Maxのサイズにも違和感を抱いただろうが、現在の利用環境の中では、決して大きすぎることはない。

 しかし、筆者が毎日パソコンを持ち歩く必要がない職業ならば……、もう少し掘り下げると文章を大量に書く仕事でない、あるいは職場や自宅以外ではパソコンを使う必要がないのであれば、電車での移動が多い都会生活者にとって、「コンテンツビュワーとしてのiPad mini」と「可能な限り小さなiPhone」を選びたいと思うだろう。

 4型の「iPhone SE」が現行機種ではなくなってしまった現在、必然的にiPhone XSということになるだろうが、Android端末も含めれば、さらに選択肢は広がる。例えば筆者ならば、現在となってはあまりサイズが大きくない5.2型のNuAns NEO [Reloaded]でも実用上の問題はないため、iPhone XS MaxではなくiPad miniを使うという選択肢もある。

 iPad miniのWi-Fiモデルならば、ストレージ64GB版で4万5800円、256GB版でも6万2800円(いずれも税別)だから、実はiPhone XS/XS Maxはもちろん、iPhone XRよりも安価だ。上記ではAndroid端末を挙げたが、iPhoneとの併用であればWi-FiモデルのiPad miniをスマートフォンのようにも使えないわけではない。

iPhoneとiPad mini(Wi-Fi)の連携という選択肢

 前述のように、4:3のディスプレイはWebを閲覧する際に具合のいい縦横比で、ほとんどのコンテンツはiPhoneよりもiPad miniの方が快適に楽しめる。また、仕事上の情報を確認したり、少しばかり修正したり、といったこともやりやすい。そもそも、これまで開発されてきたiPad向けアプリは全て4:3の縦横比だ。

 キーボード兼カバーの「Smart Keyboard」は利用できないが、長文を書くわけでなければ、メールの返信もiPad miniで十分という人は多いはずだ。「Safari」のリーディング表示も、iPad miniのサイズ感だと、ちょうど単行本を読んでいるような雰囲気になり、電子書籍ビュワーとしても適度なサイズ感だ。

 iPad miniが第5世代となって「Apple Pencil」に対応したことで、書類に対して直接書き込んで指示を出すこともしやすくなった。メモ書きなどで便利なことはもちろんだが、個人的にはカメラからRAWファイルを転送して現像するといった処理を行う際に、Apple Pencilを使える点が気に入った。

iPad mini
iPad miniも「Apple Pencil」対応となった

 カメラとその重い交換レンズ群を持ち歩きながら、さらに画像の確認や現像処理などで重い機材を持ち歩きたくないなら、ミニマルな装備ながら「A12 Bionic」プロセッサのパワーで高画素カメラのRAWも快適に扱うことができるiPad miniは十分に使いでがある。

 さすがに「iPad Pro」のパフォーマンスとは比べられないが、iPhone XS Maxとはベンチマークテストのスコアでほぼ同じ数字が出ているからだ。

Geekbench 4
ベンチマークテスト「Geekbench 4」における「CPU Benchmark」のスコア。iPhone XS Maxとほぼ同じ数字だ
Geekbench 4
Geekbench 4における「Compute Benchmark」のスコア。こちらもiPhone XS Maxとほぼ同じ数字となる

 一方でiOSの地道な改良もあって、iPadとiPhoneの連携はかなりスムーズだ。Wi-FiモデルであってもiPhoneのテザリング機能をリモートでオンにできる上、「FaceTime」からはiPhoneユーザーにはFaceTimeの音声通話機能に発信でき、また携帯電話網を使う必要がある場合も、一緒に持ち歩いているiPhoneを経由して音声通話を発信することも可能で、携帯電話番号への着信も使用中のiPad miniに転送させられる。

 ヘッドセット機能付きのイヤフォン(iPad miniには3.5mmのヘッドフォンジャックもあるため、やや不便だが、無線だけでなく有線ヘッドセットでも使える)を使っているなら、iPhoneに持ち替える必要もない。

 もし、筆者がiPhone SE、6S、7あたりのユーザーならば、そのままiPhoneを使い続けてiPad miniのWi-Fiモデルを買い足すかもしれない。もちろん、予算があるならばWi-Fi + Cellularモデルの方がよりシンプルに使いこなせる。

 実際にiPad miniとiPhoneの組み合わせで数日を過ごしてみたが、音声通話を含めてほとんどiPhoneを直接取り出すことなく使えた。もちろん、こうした使い方はiPad miniとの間だけでなくiPad Proでも可能ではあるが、男性ならば片手でわしづかみもできるサイズ感のiPad miniならではの魅力といえる。

 iPad miniとiPhoneを組み合わせて使っていて、iPhoneを取り出さねばならないときは、片手しか使えない状況で何らかの文字入力をしたい、といった場面だ。iPad miniの発売を契機に、「iPhone SE2が欲しい」という声が再燃するかもしれない。

 これだけ連携の度合いが深いのであれば、「iCloud」を通じたバックアップやデータ共有などを考慮して、あえてWi-Fiモデルの64GB版を選んでiPhoneと併用するという選択肢はありだと思う。

 もちろん、向き不向きはある。利用スタイルに合わせた選択肢が増えたと考えればいいだろう。

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