Microsoftの決算から見えるWindows 10とIntelとの関係:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
Microsoftが、同社初の時価総額1兆ドルを突破した。その要因を細かく見ていこう。
米Microsoftは2019年4月24日(米国時間)、同社会計年度で2019年度第3四半期(2019年1〜3月期)の決算を発表した。同四半期の売上は306億ドルで前年同期比14ポイントの上昇、純利益は88億ドルで19ポイントの上昇となった。
Microsoftの決算にみる「Windows 10」
同決算報告を株式市場では好感を示し、24日の時間外取引で株価は4%以上の急上昇を見せ、26日終了時点までに130ドル前後の水準で推移している。瞬間的ではあるものの、同社としては初の時価総額で1兆ドル企業に達しており、大きなマイルストーン達成となった。
決算内容を見ていくと、Microsoft自身は「Commercial Cloudでの好調」をアピールしているものの、ほぼ全分野にわたって好業績を上げている。日本ではOffice 365のコンシューマー向け販売が好調だったことがハイライトされており、これまでライセンス永続型のOffice Perpetualが全盛だったトレンドが少し変化しているようにみえる。
だが、今回注目したいのは「SurfaceとWindowsが好調で業績を押し上げた」という部分だ。Surfaceについては「Microsoftが(全社からみて)利益率の低いSurfaceにどこまで本気なのか」という意見もある一方で、同四半期の売上は2億3500万ドルの増加で前年同期比21ポイントの大幅上昇と着実に成長を続けている。これはコンシューマーと業務向けの両方での傾向とのことで、ブランドが一定以上浸透したことが分かる。
またWindowsについてはビジネスモデルの変化もあり、通常版ライセンスはここ数年減少傾向にあることが知られている。だが、今回のケースでは通常のOEMライセンスで前年同期比9ポイント、Proライセンスで15ポイントの上昇となり、特に企業向けでは18ポイントの大幅上昇となった。
その要因として、Intelのプロセッサ供給問題が顕在化した2018年と比較して改善が進んだこと、企業での旺盛なPC需要にあるという。
PCの出荷台数は減っているが業績はプラスに
興味深いのは、Gartnerが4月10日(米国時間)に発表した2019年第1四半期(1〜3月期)の世界のPC出荷台数調査報告では、市場全体の出荷台数は4.6%減少しているにもかかわらず、Microsoft側の業績にはプラスで反映されて見える点だ。
筆者がメーカーの話として聞く限り、いまだCeleronなどの普及価格帯プロセッサの供給が大幅に滞る中で、IntelやPCメーカーは残った製造リソースを高価格帯のPC(プロセッサ)や需要の大きいChromebookに割り振っているということで、台数ベースでは減少しても、売上は台数減少分ほどには影響を受けていないようだ。
またGartnerが指摘するように、Windows 10への移行を見越して企業向けのPC需要が大幅に増加しており、この「高価格帯へのシフト」「企業向けのライセンス需要」がMicrosoftのWindowsライセンス売上を押し上げたのだと推察する。
いずれにせよ、IntelのCPU生産能力が復活するかしないかに関わらず、今後1〜2年はPC需要が伸びる時期が続くと考えられ、これが結果としてMicrosoftの業績を底上げすることにつながりそうだ。
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