11型iPad ProとSurface Go、テキスト入力で使えるのはどっち?:テキスト入力一本勝負(後編)(3/3 ページ)
テキスト入力のツールとして、タブレットと専用キーボードの組み合わせが注目を集めている。今回はその代表的なモデルである、11型iPad ProとSmart Keyboard Folio、そしてSurface Goとタイプカバーの組み合わせについて、テキスト入力での使い勝手を検証する。
横にずれている? Surface Goのキーボード
さて、キー幅が狭い問題はあるものの、キータッチやキー配列、さらに入力のしやすさでSurface Goのキーボードが圧勝……となりそうなものだが、Surface Goのタイプカバーには1つ気になる問題が存在する。それは一般的なキーボードに比べ、行ごとの横位置のずれが大きいことだ。
一般的にJISキーボードでは、キーボードの1つ下の行は、上の行に比べてキーの幅およそ3分の1ほど横にずれる。以下の写真では一般的なキーボードの例として、東プレの「RealForce」を掲載しているが、市販のキーボードの多くはこの仕様、つまり一行下がるとキー3分の1個分ずれる仕様で共通している。ちなみにiPad ProのSmart Keyboard Folioもおおむね同様だ。
ところがこのSurface Goのキーボードは、1つ下の行がキー幅の3分の1どころではなく、2分の1ほどずれているため、上下方向に指を移動させた時、目的のキーの隣にあるキー(の端)を押してしまう現象が多発する。筆者自身、今回の試用にあたって、普段使っているWindows用キーボードと同じ配置のはずが頻繁に入力ミスが起こり、理由に気付くまで首をひねっていたほどだ。
行ごとのキーのずれがわかりやすいよう、キートップの中心に印をつけ、線で結んでみた。一般的なJISキーボード(東プレ「RealForce」)であれば、1行下がるたびにキーが横方向に約3分の1ずつずれていく
線の傾きが先ほどの2つと明らかに違うことからも分かるように、Surface Goのタイプカバーは1行下がるたびにキーが横方向に約2分の1もずれていくため、ホームポジションから指を移動させた時にタイプミスが頻発する。具体的には「T」や「E」でタイプミスが多発する
キーボードを多用する人は、ホームポジションからこの方向に指を動かせばこのキーがあるというのを、感覚的に把握しているはずだ。しかし本製品では、横方向の配置は正しくても、縦方向の位置がずれているため、入力時にミスを生じやすい。今回、2週間ほど試用していて、筆者はこの配置に最後まで慣れることができなかった。
ちなみに、上位モデルであるSurface Pro 6のタイプカバーは、本製品のようにキーが極端にずれるのではなく、前出の東プレ「RealForce」などに近い配置で、タイプミスも起こりにくい。このあたりにこだわる人は、本製品ではなくSurface Pro 6も候補に入れて検討してもよいかもしれない。
こちらはSurface Goの上位シリーズ、Surface Pro 6のタイプカバーだが、写真に書き込んだ赤い線の傾き具合から分かるように、前出の東プレ「RealForce」やiPad ProのSmart Keyboard Folioと配置が近い。Surface Goだけが特殊なようだ
どのような人にお勧め?
最後に価格にも触れつつ、どのような人にお勧めできるか見ていこう。
まずiPad Pro×Smart Keyboardから。11型iPad Proは最小構成となるWi-Fiモデル(64GB)で9万6984円(税込み、以下同)、Smart Keyboard Folioは2万1384円ということで、約12万円弱もする。テキスト入力を主目的に本体ごと買い求めるというのは、日本語入力の出来を考慮しても、ちょっと考えにくいというのが正直なところだ。
むしろ、あくまでもiPad Proをあらかじめ所有している人が、その資産を生かしつつテキスト入力の効率化のためにSmart Keyboard Folioを追加購入するという形であれば、十分にありだろう。また新規に購入するのならば、下位モデルであるiPad Airに、Smart Keyboardを組み合わせる選択肢も候補になる。
Surface Goは、複数用意されている構成のうち、最小構成のWi-Fiモデル(CPUは2コア4スレッドで1.6GHzのIntel 4415Y、メモリが4GB、ストレージがeMMC 64GB)で6万3504円、タイプカバーは素材違いの2種類のうち、今回レビューしている「Surface Go Signature タイプカバー」が1万6632円ということで、合計で8万円ちょっとだ。
上位モデルのSurface Pro 6に比べるとCPUのグレードは低く、テキスト入力以外にどんな用途に使うかによっても評価は変わってくるが、この価格であればテキスト入力を主体としたツールを新規に買い求める場合も候補に入ってくるだろう。あとは前述した、キーの横位置がずれている点にきちんと慣れられるかどうかが、大きなポイントといえそうだ。
次回は今回の内容を踏まえて、Surface Pro 6と、ほぼ同等サイズである12.9型iPad Proについて、キーボードと組み合わせた場合の使い勝手の比較をお届けする。
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