検索
レビュー

Sidecarで液タブは不要に? refeia先生がガッツリ試したよ人気イラストレーターが徹底チェック(4/5 ページ)

iPadをMacの外部ディスプレイとして利用できるAppleのSidecarにより、PhotoshopもCLIP STUDIO PAINTもApple Pencilで操作可能になった。この“液晶ペンタブレットキラー”の登場により、イラスト界はどうなるのか? プロイラストレーターがガッツリと試した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

マクーさんにインタビュー!

 さて、Sidecarのレビュー記事を担当したとはいうものの、自分はMacに詳しいわけでもなく、iPadを日常的に使っているわけでもありません。そこで、既にSidecarを業務製作のメインに据えているマクーさん(@yonasawaArt of Yonasawa)に、業務利用の実感をインタビューしてみようと思います。

 マクーさんは、主にゲームの背景アートやコンセプトなどを製作しているクリエイターさんです。Supercellで動画製作や背景イラストなども担当されていたので、覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

refeia それでは、よろしくお願いします。現在どんな環境で製作されていますか? また、それ以前はどのペンデバイスを主に使われていましたか?

マクー MacBook Pro 16(Core i9/64GB/Radeon Pro)と、12.9インチiPad Pro(2018年モデル)です。それ以前は、iMac 5KにCintiq Pro 24 ペンモデル(タッチ非対応)でした。

refeia ずいぶんコンパクトになりましたね。現在の環境で得られる主なメリットは何ですか?

マクー 周辺機器や充電などが、Thunderbolt 3(USB Type-C)で統一できることと、それによってモバイルバッテリーでの給電により出先で作業しやすいことですね。iPad Proを普段持ち歩き、外出先でもいざという時にはMacBook Proと接続することで、家と同環境で作業できることです。レスポンスが良く、安定性が高いのも気に入っています。今まで使っていて落ちたことがありません。

refeia それでは逆に、我慢が必要だったり、追加で手間が必要だったりする問題はありましたか?

マクー Sidecarを解除した際にMacの解像度が変更されたり、ブラシで書こうとしたら急に拡大/縮小されたりするなどの誤作動がある点と、Photoshopで筆の入りが一瞬最大筆圧になる点などの、完成度が十分ではない面があります。また、CPUパワーをよく食うことも気になります。接続中はCPU使用率が常時20%台で、別の4Kディスプレイまでつなげるとかなり重く、表示がカクつくこともあります。

 他には、ホバーカーソルがないためペンタブレットとしては使えないこと、筆圧設定ができないこと、カラーマネジメントがないのでMacと色を一致させられないこと、第2世代Apple Pencilのサイドをダブルタップする操作に対応していないことなどが残念なところです。

refeia その上で、ベストとして気に入ってらっしゃるのですね

マクー ようやく慣れてきたので、出先でも変わらず作業ができそうです。

refeia 他に、将来のSidecarやiPad、Apple Pencilに期待したいことなどはありますか?

マクー Sidecarでは、MacのUIが相応の大きさで表示されます。例えば11インチのiPadでは、1112×834ピクセルのディスプレイと同等のサイズでUIが表示されて、描画できる領域がかなり狭くなってしまいます。これはミラーリングモードで回避できて、現在は12.9インチをミラーリングで使っていますが、ここは調節できるようになってほしいです。

 また、先に挙げたようなペンの重さ、サイドセンサー、カラーマネジメント、筆圧調整など、今までペンタブレットや液晶タブレットでできていたこともカバーされていくとうれしいですね。

refeia お忙しいところ、ありがとうございました。

 マクーさんのお話しを伺って、「マクーさんにレビュー書いてもらった方がよくね?」みたいな気持ちになったのは置いておくとして、モビリティーもあり、スッキリした構成でありながら、強力なMacBook Proで動画などのヘビーデューティーな製作もガンガンいけるというのが印象的でした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る