第2世代「Wacom MobileStudio Pro 16」をrefeia先生が徹底チェック!(3/5 ページ)
ワコムのプロ向けタブレット「MobileStudio Pro 16」が生まれ変わり、第2世代に進化を遂げた。その使い勝手を、人気イラストレーターが“実践”視線で確かめた。
製作用メインPCとしてじっくり使ってみました。
上記のように、性能面でかなり強化されたことが分かったので、今回はスクウェア・エニックスさんのスマートフォンゲーム「乖離性ミリオンアーサー」の主人公の一人「歌姫アーサー」の、リニューアル用立ち絵とカードイラストを、MobileStudio Pro 16で製作してみました。
パフォーマンスについては、期待した通りのレスポンスで描けて、終盤の重くなりがちな工程も、元のPCと同じような操作感で作業を進められました。いつもの液タブ台に設置して、キーボードなどの周辺機器をいつもの物にすると、使用感はほとんど同じになります。これ、もうデスクトップPCいらないじゃん……。
気になる点もいくつかあります
パフォーマンスも描き味もとても良くて、ディスプレイサイズの15.6型が問題ない人ならば、これで製作の全てを賄うポテンシャルを持っていると思います。一方で、使っていて気になる点もいくつかありました。
まず、画面が暗いことです。計測値は省略しますが、最大輝度が一般的なPCディスプレイの半分よりやや下でした。一般的なディスプレイより上向きで使うことが多い製品なので、照明が明るい室内や、陽光を採り入れる部屋では最大輝度にしても画面が見づらくなるおそれがあります。これは「ディスプレイ設定」から「均一性補正」をオフにするとある程度改善するので、必要に応じて設定を変えると良いでしょう。
また、出荷状態の設定が、Windowsで標準的な発色のsRGB(デフォルト設定)、ディスプレイが発色の強いAdobe RGBモードになっていて、「自分が標準的な発色と思い込んでいる、ケバい発色をする謎のデバイス」として動作する状態にあるのも好ましくありません。
初期状態では、Windowsのデバイス設定が“システム設定”=sRGB、ディスプレイの設定はAdobe RGBになっています。上記の例では、一般業務用のイメージが強いDELLのノートPCでもディスプレイの表示特性がちゃんと設定されているのが分かります
Windows界隈(かいわい)は、ここを守れないのがある意味当たり前になってしまっているので、本機だけを責めることはできません。ですが、高精度/高品質/クリエイティブを訴求した一体型のコンプリートな製品が、こういう不正確な状態で出荷されているのには疑問を感じます。少なくともAppleはちゃんとできていることですし、最低でも注意書きは必要だと思います。
他には、スピーカーの音質が非常に低いです。iPadは言うに及ばず、手元の1.5万円のAndroidタブレットよりも劣っていて、本機の価格からは想像しづらい品質です。本体を逆置きにすると、音声の左右チャンネルが逆のままになる問題も残っています。製品の性質上、BGMがほしい長時間の作業をしたり、資料や製作中の動画を内蔵スピーカーでモニタリングしたり、仕事相手と一緒に確認するシーンも多いでしょう。先代から相変わらずですが、ここはもう少し気を遣ってほしかったです。
そしてもう1つだけ、小言っぽいですが根本的な点です。本体にペンを収納、もしくは強固に装着して運べるべきです。ペンを使うとは限らないiPadならまだしも、本機は業界最高品質のペンと一緒にあってこそ輝くデバイスです。それをどうして、別売オプションみたいな筒に入れて別々に運ばないといけないのでしょうか……。
実家で仕事をしようとCintiq ProとPCを担いで帰省したら、ペンを忘れて詰んだことの逆恨みではないです(編注:逆恨みのようにしか見えません!)。
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