モバイルディスプレイも4K解像度の時代へ! 恵安「KIPD4K156」を試して分かったこと:モバイルディスプレイの道(3/4 ページ)
人気を集めるモバイル液晶ディスプレイも、通常の外付けの液晶ディスプレイと同じように4K解像度に対応したモデルが出てきている。恵安の15.6型ディスプレイ「KIPD4K156」をチェックした。
4K解像度の利用にあたっては条件あり
本製品は、4K解像度に対応するのが最大の売りだ。筆者所有のThinkPad X1 Carbon(2019)との組み合わせでは、USB Type-C接続で4Kの表示が行えた。表示クオリティーはさすがに圧倒的で、一度目にすると、元のフルHDには戻れなくなってしまう。最近増えつつある4K解像度のノートPCとの組み合わせならば、なおベストマッチだろう。
ただし、である。
実はこの4K表示には、いくつか注意すべき点がある。1つは、USB Type-Cでの4K出力は、ケーブル1本で行えない場合があることだ。
今回試用したThinkPad X1 Carbon(2019)では、USB Type-Cケーブル1本で(つまり給電用のUSB Type-Cケーブル1本で)接続した場合、画面の明るさが「0」へと自動変更され、とても実用に耐えられない輝度になってしまう。
明るさを元に戻すべく設定画面から調節を試みると、明るさが14または15に差し掛かった時に画面がブツッと切れ、再起動がかかってしまう(明るさの最大値は100)。おそらく画面の輝度を下げることで電力不足をカバーしており、明るさを戻すと耐え切れなくなるのだろう。解像度を4KからフルHDに落としてみたが、症状は変わらなかった。
これを解決するには、もう1本のUSB Type-Cケーブル、もしくは本体右側面のmicroBポートにつないだUSBケーブルで、本製品への給電を行うしかない。つまりUSB Type-Cを使っても、2本のケーブルが必要になるわけだ。試したところ、いずれかの方法を使えば、画面の明るさを最大値である100まで戻せることが分かった。
本製品の電力供給を詳しくチェック
もう少し詳しくチェックすべく、2つのUSB Type-Cポートそれぞれについて、供給可能な電力をテスターで確認した。結論から言うと、給電用のUSB Type-CポートはUSB PD経由で30W(20V/1.5A)という、かなり高い電力が供給できるのに対して、映像信号入力用のUSB Type-Cポートは、どうやら7.5W(5V/1.5A)程度が上限のようだ。
本製品の消費電力は通常時で15Wとされているので、つまり映像信号入力用のUSB Type-Cポートにケーブルをつないだだけでは、電力が不足することになる。多くの製品では、今回のThinkPad X1 Carbon(2019)と同様に、別のケーブルでの給電が必要になるはずだ。
このことは、モバイルユースでは若干困りものとなる。4K表示と引き換えに「1本のUSB Type-Cケーブルで映像信号の伝送と給電をまとめて行う」という、USB Type-Cサブディスプレイの最大の利点が失われてしまうからだ。本製品を据え置きで使うならともかく、持ち歩いて使うことを考えているユーザーにとっては、大きなネックになるだろう。
もう1つ、インタフェースによっては、4K出力ができない場合があることも注意すべきだろう。今回試用したThinkPad X1 Carbon(2019)では、USB Type-Cでの4K出力は可能だったが、HDMIで4Kの出力は行えなかった。
これらはデバイスごとに異なるので、「せっかく買ったのに手持ちのデバイスが4K出力に対応していなかった」という悲劇を防ぐためにも、購入前に接続する製品ごとに制限の有無を確認した方がよいだろう(本製品のminiHDMIはHDMI 2.0、HDCP 2.2/1.4対応となっている)。ちなみに言うまでもないことだが、HDMIだけの場合、先のUSB Type-C接続の場合と同様、別のケーブルでの給電が必要になる。
ちなみに、4K解像度になったからといって、PC側のCPUやメモリの消費量には、あまり変化がないようだ。今回試用したThinkPad X1 Carbon(2019)だと、動画の再生中も、低ければ5〜6%、多くても14〜15%を行ったり来たりする程度で、フルHDで利用している時とほとんど変わらない。前回レビューしたPEPPER JOBSの「Xtendtouch XT1610F」とほぼ同じだ。
もちろんこれにしても、PCのスペックによっては影響が出る可能性はあるが、USB PDで映像信号の伝送が行えるノートPCは比較的新しいモデルであり、CPUやメモリもそれなりに潤沢に搭載しているはずで、あまり気にしなくても問題ないのではと思う。
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