Microsoft 365 Personal登場の意義とは──異なる日本での展開:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
ついに“Microsoft 365 for Consumer”が「Microsoft 365」の名称で正式発表となった。ただ、米国とは異なり、日本での展開は少々事情が異なるようだ。
既報の通り、米Microsoftは3月30日(米国時間)にオンライン発表会を開催し、従来までコンシューマー向けに「Office 365 Home」「Office 365 Personal」の名称で提供されていた生産性ツール製品を「Microsoft 365」の名称で4月21日よりリブランディングすることを発表した。
米国での価格は、年間サブスクリプションがそれぞれ99.99ドルと69.99ドル、月額サブスクリプションが9.99ドルと6.99ドルとなっているが、この価格体系はそのままに「Microsoft 365 Family」と「Microsoft 365 Personal」に名称が変更され、既存ユーザーはそのまま新プランへと自動移行される。
なお、この変更は全世界に反映されるが、日本では上記Office 365の2製品が提供されていないため、既存のOffice 365 SoloがMicrosoft 365 Personalへとリニューアルされ、そのまま移行する形となる。
このようにようやく正式発表された、“Microsoft 365 for Consumer”ことFamilyとPersonalの2製品だが、同発表会について触れた記事での事前予想と合わせ、その狙いや今後の展開を考えていこう。
基本はOffice 365+アドオンツール、日本では商用利用も可能
事前予想にもあったように、エンタープライズ向けに提供されているMicrosoft 365とは異なり、Windows 10やEnterprise Mobility + Security(EMS)で提供される管理機能は提供されず、あくまでOffice 365のサブスクリプションが主体となっている。
詳細は日本マイクロソフトの公式Blogでも触れられているが、Office各製品の全体的な機能追加に加え、新機能として「Microsoft Editor」、今後数週間でプレビュー提供が行われる「Microsoft Family Safety」と「Microsoft Teams(for Consumer)」などで構成される。
Microsoft Editorはテキストエディタのようなツールではなく、入力単語の選別や校正などの機能を含んだAIツールであり、Microsoftが「beyond the basics with AI」などと言い立てるように、WordやOutlook、あるいはEdgeを含む各種ブラウザ上のテキスト入力場面の全てで効果を発揮する。
Editorではない同様のAIを使った補助機能は、他のOfficeにも新機能として導入されており、Money in ExcelのようにExcel上から直接銀行口座の残高に触れたりといったアドオンも追加されている。この他、家族のデバイス利用状況や位置情報などが把握できるFamily Safety、個人同士が情報共有可能な新機能を用意したMicrosoft Teams(for Consumer)などが新規に追加される予定で、新生Microsoft 365を彩る。
ただ、これら機能の多くは当初主に米国などの英語圏をターゲットにしたもので、Microsoft Family Safety、Money in ExcelやMicrosoft Editorの一部校正機能など、日本での提供が「後日」とされているものも少なくない。
おそらく、Money in Excelのように米国と金融機関のネットワーク接続状況が異なることから提供が難しい、あるいは相当時間がかかりそうなものまで混在しており、「Microsoft 365(for Consumer)ならでは」という機能は特に日本ユーザーにとって少ないのではと思う。
また日本特有の事情として、Office 365 Home/Personalが提供されてこなかったという事実から、今回のリブランディングでOffice 365 SoloがMicrosoft 365 Personalに名称こそ変更されたものの、月額サブスクリプション価格が「1284円(税込み)」と他国(特に米国)と比べて高価(約1.7倍)だ。
ただ1点だけ日本独自仕様があり、他国にはない「商用ライセンス」が付与されている。これにより、日本でのみMicrosoft 365 Personalのビジネス利用が許可されている。Soloが廃止されたことによる措置だが、日本だけPersonalの扱いが特殊だという点に注意したい。
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