AppleとGoogleの新型コロナ対策、提供方法などの具体像が固まる:新たなガイドラインを発表(2/2 ページ)
新型コロナ対策でAppleとGoogleが手を結ぶ発表を行った4月以降、両社に新たな動きが見られた。その詳細を見ていく。
UIやサンプルコードの提供開始。アプリ提供形態の具体像も明らかに
一通り、これまでのおさらいをしたところで、今回、AppleとGoogleから新たに発表された内容を確認しよう。
だが、その前に1つ重要なアップデートがある。実は両社は4月24日の時点でも、専門家などの意見を集めて小さな状況のアップデートを行っているのだ。
そのアップデート事項の1つとして、提供する技術の名称の変更がある。前回の記事で伝えた「Contact Tracing(接触追跡)」という言葉には、どうしても人々のプライバシーを侵害しているのではないかと感じさせる部分がある。そうしたことに配慮してか、両社はこの技術を「Exposure Notification(ばく露通知)」と呼ぶことにした。「ばく露」とは、疫学でウイルスなどの問題因子に個人がさらされるという意味だ。
ばく露通知機能はユーザーの要望に合わせてオン/オフができ、ユーザーが望めば接触記録のデータも削除できる。なお、このアプリがユーザーの位置情報を取得することはないが、Android版(上記画面の右2つ)では便宜上、位置情報設定をオンにしておく必要があるようだ
また、4月10日時点での発表時よりも、さらに個人を特定しにくくする工夫が加えられている(詳細はAppleとGoogle、新型コロナ「濃厚接触通知」のプライバシー強化をQ&Aで説明を参照)。
5月4日の新発表では、第1フェーズでのアプリ提供形態の具体像が見え始めてきた。
まず両社は、開発者用にアプリで使用するユーザーインタフェース(画面デザイン)と、アプリ開発の手間を軽減するサンプルコードの提供を開始する。
これと同時に両社は5月4日、アプリの提供に当たって守るべき必要のある以下のガイドラインも発表した。
- アプリは公衆衛生当局が自ら作るか、外部機関に依頼して作らせたものでなければならず、しかも「COVID-19対応」以外の目的では利用することができない
- Exposure Notification APIの利用の前にユーザーの同意を得る必要がある
- 利用者のCOVID-19感染が確認された場合、結果を共有する前に利用者の同意を得る必要がある(同意を得ると当局が利用者のデバイスにひも付いた「Diagnosys Key(診断鍵)」に対して「陽性」の情報を登録する)
- アプリは利用者のスマートフォンから可能な限り最小限の情報しか獲得してはならず、その利用はCOVID-19対策に限られる。ターゲティング広告を含め、それ以外のあらゆる個人情報の利用は禁じる
- アプリはスマートフォンの位置情報獲得を求めてはならない
- できるだけ多くの人が同じアプリを使用し分断が起きないようにAPIの利用は1カ国1アプリのみ。国によって州単位、地域単位で別アプリを提供したい場合は相談に応じる
なお、両社は既に2週間前に開発やテスティングに必要な開発環境の提供を開始している(AppleはXcode 11.5のβ版とプレリリース版のSDKを、GoogleはGoogle Play Servicesの最新アップデートおよびSDKを提供開始)。
AppleとGoogleは5月4日(現地時間)から、ばく露通知アプリ開発に必要なサンプルコードを提供する。iOS用はこちら、Android用はこちらから。ただし、サンプルコードを入手したからといって、開発したアプリをApp StoreやGoogle Playで提供できるわけではない。提供できるのはあくまでも国の公衆衛生当局に認められたアプリ1本だけだ。
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