5万円台スト5PCを作る――テスト結果から見えてきた必要十分なパフォーマンス【ベンチマーク編】:お手軽ゲーミングPCの道(5/6 ページ)
IntelのeSportsトーナメント「Intel World Open」(2021年に延期)に採用されたゲームタイトル「ストリートファイターV」。これを満喫できるPCを作り、その過程をお届けする本連載。今回は、さまざまなテストでスト5PCの実力をチェックした。
PCMark 10
汎用(はんよう)PCとして、どの程度の実力があるのかを推し量る目的で実行した総合PCアプリケーションパフォーマンステストの「PCMark 10」では、Ryzen 5 3500が高いスコアを記録した。Ryzen 5 1600とRyzen 5 2600の間でも比較的明快なスコア差が現れた。シングルスレッド性能が高いCPU、動作クロックの高いCPUがより高いスコアを出す傾向が見て取れる。同じ6コア12スレッドのRyzen 5 1600とRyzen 5 2600とでスコアに違いが現れたのは、まさにこの差に起因すると思われる。
CINEBENCH R20
CPU単体の性能を見極めるべく実行した、CPUベースのレイトレーシング性能テストのCINEBENCH R20は、ファイナルファンタジーXVベンチマークのスコア傾向に近い、6コア12スレッド勢のRyzen 5 1600とRyzen 5 2600のスコアが健闘する結果となった。CINEBENCH R20もマルチスレッド最適化が施されたベンチマークなので、この結果は納得がいく。
以上の結果を踏まえると、シングルスレッド性能の高さが直接パフォーマンスに結びつく、クラシックなアーキテクチャのゲームや汎用アプリケーションを動かすにはRyzen 5 3500が良さそうだが、マルチスレッド対応が進んだ近代ゲームや近代アプリケーションを動かす場合は、6コア12スレッド勢のRyzen 5 1600やRyzen 5 2600が優秀だ。
価格的な視点も入れると、2020年4月下旬時点でほぼ完売状態となってしまったRyzen 5 1600と、1万6000円オーバーでやや割高なRyzen 5 3500よりも、1万3000円前後で購入できるRyzen 5 2600がベストバイといった印象を持つ。5月に入ってRyzen 5 1600の後継といえるRyzen 5 1600AFが発売されており、別途本連載でもチェックできればと思う。
メモリ容量とメモリクロック
最後に、メモリ搭載量(8GB/16GB/32GB)とメモリクロック(2133MHz/3200MHz)についてのパフォーマンス検証もやってみたが、スコアに差はほとんどでなかった。というよりも、その他のベンチマークでは測定誤差の範囲に留まり、メモリ搭載量やメモリクロックとベンチマークスコアの相関性が見出せなかった。
全ての計測結果を示すのも何なので、Ryzen 5 3500で測定したCINEBENCH R20の結果を示しておく。
「同一メモリ/クロック×メモリ搭載量の違い」でスコアを比較すると、その差はほぼ測定誤差の範囲内といった印象だが、「同一メモリ搭載量でメモリクロックの違い」でスコアを比較すると、わずかながら(点数差で20ポイント強くらい)、3200MHzの方がスコアも高くなっている。ただ、この程度のスコア差ならば無理して値段の高い高クロックメモリを購入するまでもないだろう。
もちろん、データ転送ベンチのようなフィーチャーテストを実行すれば、ここで示した結果以上の明確なスコア差を検出できるだろうが、それはこの連載の主題から外れてしまうので、ここでは実行していない。
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