スローペースな「May 2020 Update」の裏にちらつく次期アップデートの影:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
5月に配信がスタートしたWindows 10の大型アップデート「May 2020 Update」(バージョン2004)だが、シェアは伸び悩んでいるという。直近のMicrosoftを巡る動きをまとめた。
Windows Insider Programのリニューアルと「20H2」
話題は「20H2」へと続くが、ここで1つ重要になるのがWindows Insider Programの存在だ。May 2020 Updateこと「20H1」で長らく足踏みしていた開発途上バージョンだが、最新の正式バージョン(2004)の一般配信の範囲が拡大していく中で、ようやく20H2へと開発の舞台が移っていくことになる。このタイミングで、MicrosoftからWindows Insider Programのリニューアルが発表されている。
同社が6月15日(米国時間)に発表したところによれば、従来まで「配信枠の範囲を拡大していく」という「Ring」でユーザーの範囲をくくっていたものを、以後は「Channel」ということで明確にターゲットを絞った配信を行っていくという。
「Skip Ahead」の廃止については既に発表されているが、今後は「Fast Ring」を含めた「非常にテクニカルなユーザー」を対象としたものを「Dev Channel」、「Slow Ring」を「開発途上版の早期アクセス」を主体とした「Beta Channel」、「Release Preview」を「正式提供前の安定版へのアクセス」を主体とした「Release Preview Channel」にそれぞれまとめている。
20H1より前の考えでいえば、特定の開発途上ビルドについて、まずDev Channelへの配信を行い、安定性の確認ができたらBeta Channelへと流していくというフォールダウン型の仕組みを採用するとみられるが、実際には両者は全く別々のものとして機能するようだ。
例えば、Windows Insider Programの発表直後にあたる6月16日にBeta Channelに対して“初の20H2”となる「Build 19042.330」の配信がスタートしているが、さらに翌日の17日にはDev Channelに対して「Build 20150」の配信が開始されている。24日にはDev Channelに対して「Build 20152」の配信が開始されているわけで、明確に更新ペースが早い。
既にお気付きだと思うが、Dev Channel向けの配信ビルドは番号が一気に飛んでおり、おそらくは20H2の“次”を目指した開発途上ビルドだ。実際、ウォーターマークのリリース表記も「RS_PRERELEASE」であり、ターゲットが明確に分けられていることが分かる。
Microsoft Storeのゆくえ
複数方面で報道がなされているが、Microsoftは米国など世界4カ国で展開しているリアル店舗の「Microsoft Store」のほとんどを永久に閉鎖する。新型コロナウイルスの影響で3月半ば以降、全てのMicrosoft Store店舗を状況が改善するまで閉店としていたが、6月26日(米国時間)に公開した文書の中で改めて永久閉鎖について触れている。
従来まで、Microsoft Storeが担っていた製品の販売やサポート業務などは、基本的にはオンラインへと引き継がれることになる。一方で、“アイコン”として各地域で機能していた「ニューヨーク」「ロンドン」「シドニー」「米Microsoft本社内のレドモンド」の4つのフラッグシップストアについて、「The company will also reimagine spaces that serve all customers.」ということで、店舗空間そのものは残しつつも、その位置付けは変えていく方針だとみられる。
なお、店舗閉鎖に伴う従業員の退職金や減損処理にかかる金額は税引き前で4億5000万ドル相当となる。「優秀な販売拠点」「サポート拠点」「イベント空間」「ショールーム」という4つの要素を備えていたApple Storeに比べ、残念ながら既存のMicrosoft Storeは魅力が少なく、製品やサービスのアピール拠点としてもXboxゲームの展示場という感想を抱かなくもなかった。最終的に残ったストアがどの方向性を目指していくのかは分からないが、次回訪問時に何か興味深いものが見られる場所であることを祈りたい。
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