「Zen 2+Vega」の実力は? AMDの最新デスクトップ向けAPU「Ryzen PRO 4000シリーズ」を検証(2/3 ページ)
AMDが8月8日、デスクトップ向け第3世代Ryzen APUの一部においてトレイ(バルク)販売を開始する。Zen 2アーキテクチャのCPUと、VegaアーキテクチャのGPUを統合した新APUの実力をチェックしていこう。
デスクトップ向けRyzen PRO 4000シリーズの実力をチェック
ここからは、デスクトップ向けRyzen PRO 4000シリーズのパフォーマンスをベンチマークテストを通して確認していく。
先述の通りトレイ販売品には本来CPUクーラーは付属しないが、今回のレビューキットにはAMD純正のCPUクーラー「Wraith Stealth」が付属していたので、それを利用した。マザーボードのUEFIバージョンは、原稿執筆時点で最新の「2407」で、GPUドライバはβ版の「Adrenalin 20.10.20」を導入している。
なお、CPU部分のベンチマークでは、比較対象として「Ryzen 3 3700X」のスコアを合わせて計測している。
CINEBENCH R15/R20
まずは、CPUを使ったレンダリング性能を計測するベンチマークテスト「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」の結果を見てみよう。
いずれのAPUも、アーキテクチャの刷新によって第3世代Ryzen CPUに近い水準のパフォーマンスを発揮できていることが分かる。
CINEBENCH R15のスコアを見てみると、CPUのコア数、スレッド数や動作クロックが同一であるRyzen 7 PRO 4750GとRyzen 3 3700Xはほとんど誤差といえるほどに“肉薄”している。
最も性能の低いRyzen PRO 3 4350Gでも、マルチスレッドテストでは旧世代のハイエンドCPU並みのスコアが出ている。オーソドックスなビジネス用途では十分すぎるほどの性能のPC環境を構築できそうだ。
CINEBENCH R20での結果もR15と同様の傾向だ。Ryzen 7 PRO 4750GとRyzen 3 3700Xの差はほとんどない。Ryzen 7 PRO 4750Gと比べると、Ryzen PRO 5 4650Gは70%程度、Ryzen PRO 3 4350Gは45%程度のマルチスレッドスコアとなった。
CINEBENCH R20では、3回連続でテストを実行した場合の平均実効クロック(Average Effective Clock)と、CPU温度の推移も計測した。
ベンチマーク中の実効クロックは、Ryzen 7 PRO 4750Gがおおむね4.23GHz前後、Ryzen PRO 5 4650Gが4.1GHz前後、Ryzen PRO 3 4350Gが4.08GHz前後となった。
温度に関しては、Ryzen PRO 3 4350Gが60度以下で推移した一方で、Ryzen PRO 5 4650Gが62〜77度、Ryzen 7 PRO 4750Gが61〜80度とやや高めの数値で推移した。
今回使ったCPUクーラー(Wraith Stealth)の冷却性能は、それほど高いわけではない。Ryzen 7 PRO 4750GとRyzen PRO 5 4650Gに関しては、もう少し冷却に気を配りたい。ただし、そこそこ冷える空冷タイプのクーラーで十分だろう。
V-Ray Next Benchmark
もう1つ、CPUを使ったレンダリングテストとして「V-Ray Next Benchmark」も試してみよう。こちらは、GPU性能も合わせてテストできるものだ。
GPUのテスト結果は、GPUコアの数の差がリニアに出ているので、特にいうことはない。しかし、CPUテストに関してはCINEBENCHでは誤差程度の差しかなかったはずのRyzen 7 PRO 4750GとRyzen 7 3700Xの差がやや開いた。
Ryzen 7 PRO 4750GはL3キャッシュが8MBと、Ryzen 7 3700Xの32MBと比較して4分の1に削減されている。この差がスコア差につながったものと思われる。
関連記事
- AMDがデスクトップ向け新APUを発表 Zen 2+Vegaの「Ryzen 4000」など
AMDが、デスクトップ向け新型APUを発表した。先行するモバイル向けと同様に、7nmプロセスのZen 2 CPUとRadeon GPUを統合していることが特徴で、企業向け管理機能を強化したモデルも用意する。合わせて、Athlonブランドの廉価APUも登場する。 - AMDがデスクトップ向け第3世代Ryzen APUをバルク販売 8月8日11時から
AMDが、第3世代APU(GPU統合CPU)をバルク販売することを発表した。ただし、現時点では詳細なスペックは公開されていない。【訂正】 - ブーストクロック“微増”の効果はいかに? 「Ryzen 3000XT」実力をベンチマークで検証!
6月16日に突如発表された「Ryzen 3000XTシリーズ」。その実力はいかほどのものか、ベンチマークテストを通して検証していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.