流出した“シングルスクリーン版Windows 10X”から見えるもの:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
1月中旬にリーク画像が大量に出回った「Windows 10X」。当初は2画面対応でモバイル利用を想定とのことだったが、今回流出したのはシングルスクリーン用のものだ。ここから見えることをまとめた。
以前の本連載で、2021年においてWindowsの世界で起こるトピックをいくつか紹介したが、中でも比較的多くのユーザーにとって影響が大きいと思われるのが「Sun Valley」ならびにWindows 10Xの話題だ。今回はこのうち、1月中旬にリーク画像が大量に出回った「Windows 10X」をピックアップしよう。
流出したWindows 10Xはどのようなものなのか
本連載で何度か触れているが、Windows 10Xは2段階でのリリースが予定されている。最初は「シングルスクリーン用Windows 10X」で、こちらは「Chrome OS対抗」を目指した製品となる。次が“本来は”Windows 10Xとして当初リリースが予定されていたもので、2画面折りたたみ式デバイス「Surface Neo」とともに発表された「2画面対応でモバイル利用を想定したWindows 10X」となる。
今回出てきたのは、前者の「シングルスクリーン用Windows 10X」の方で、おそらく「RTM(Release To Manufacturing)」と呼ばれるバージョンに近い“ほぼ完成直前版”が何らかの形でインターネット上にリークされたものと考えられる。
どのような形で流出したのかは不明だが、Twitterでの流れを見る限り、最初に反応したのはイタリア語圏でWindowsの最新情報を発信しているAggiornamenti Lumiaのアカウントで、流出したビルドの存在をほのめかすツイートを行っている。
次にWindows Centralのザック・ボーデン氏が、すぐさま流出したイメージファイルを実際にインストールして最初の画面をTwitter上に放流しており、同氏に続く形でWindowsかいわいで活躍する主要ウォッチャーたちが次々と画面を公開している。
スクリーンショットが最も豊富なのはポール・サーロット氏の記事で、同氏のThurrott.com上(1月17日以降)に大量の画面が掲載されているので興味ある方は参照してほしい。
各人が紹介しているスクリーンショットや記事を拝見する限り、Windows 10Xの特徴はいくつかあるが、最初に気付くのはセットアップ画面だろう。
「OOBE(Out Of Box Experience)」と呼ばれる初期セットアップ画面がアニメーションを交えた新しい流れになっており、質問項目が通常版のWindows 10に比べて非常にシンプルになっている(確認事項をしつこく見せてくる流れはあるが……)。
OOBEの大まかな流れはThe Vergeのトム・ウォーレン氏の動画にもあるが、1点重要なのはNeowinでリッチ・ウッズ氏が指摘している「Microsoftアカウントなしでのセットアップは行えず、オフライン状態ではセットアップできない」という部分だろう。これはWindows 10Xが一種の「クラウドOS」である点を示唆している。
Chrome OS対抗のWindows 10Xをどう見るか
次にメイン画面の方を見ていく。Windows 10X上で動作するアプリの数々は、既存のものほぼそのままだが、OS本体の“シェル”部分は大きく変化している。タスクバーの部分は非常にシンプルになり、スタートメニュー(スタート画面)も簡素だ。
詳細はサーロット氏の記事を参照いただきたいが、スタート画面からアプリを起動するごとにアイコンがタスクバー上に増えていき、それを切り替えるだけの“スイッチャー”として機能している。通知や設定画面も非常にシンプルで、いじれる項目はそれなりにあるもののWindows 10よりは少ないという感じだ。
コントロールパネルやコマンドラインは存在せず、呼び出しも行えない。また標準はタブレットモードに近いインタフェースになっており、画面分割は行えるものの、いわゆる「ウィンドウ操作」のような仕組みはないように見える。あくまでWindowsの“モダンな”アプリが使える簡易版Windows 10と考えればいいのかもしれない。
より重要なのは、現時点においてWin32アプリケーションをWindows 10Xで動作させる方法がない点だ。ウォーレン氏の記事によれば、開発者モード限定で“コンテナ”機能の実装を進めている段階だが、現時点でWindows 10X上でデスクトップ版アプリケーションを動作させる方法はないという。
このあたりの話題は事前の情報通りだが、Microsoftの意図として当初のWindows 10Xのターゲットが「特定アプリケーションのみを利用するファーストラインワーカーや教育用途向け」という部分にあり、Win32サポート自体の優先順位が低いのだと考えられる。
似たような試みとしては失敗に終わった「Windows 10S」があるが、こちらは単純に「Windows 10本来の機能を制限しただけの製品」であるのに対し、Windows 10Xは軽量動作を目指してユーザーインタフェースを含めて基本部分から開発された製品であり、当初の立ち位置が異なる。
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