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「Flashが終わり」を迎える2020年末、そして“復活”へWindowsフロントライン(1/2 ページ)

2017年の発表から2年半以上が経過し、ついにFlash Playerのサポートが終了を迎える。その現状と今後についてまとめた。

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 本連載でFlashサポート終了の話題を書いたのは、Adobe Systems(当時)が2020年末に同技術のサポートを取り止める旨を報告した2017年のことだった。それから2年半ほどが経過し、ついにそのタイミングが訪れようとしている。

Flash Player
ついにサポート終了を迎える「Flash Player」

 その記事でも触れたW3TechsによるWeb上のプログラム実行技術のシェアだが、現時点でFlashは2.3%と筆者の予想(1%前後)よりもやや高い水準にとどまっているものの、各方面の努力により既存コンテンツを含め、消滅へと向かうだろう。Adobe AIRなど形を変えて技術は残るが、2000年代にインターネットを沸かせたFlashの世界は2020年をもって終了することになる。


Web上のプログラム実行技術シェアの推移(出典:W3Techs)

Flashサポートがブラウザから消える流れ

 例えば、2019年7月にリリースされたGoogleのChrome 76以降のブラウザでは、Flashコンテンツの実行は「Block by default」状態になり、割と面倒な手順を踏まない限り実行はできない。現時点ではまだ実行可能だが、2020年12月のタイミングでは削除警告が表示され、2021年1月時点で「Out of Date」状態となり、プラグインであるFlash Player自体が無効化される。

 本稿を執筆している2020年11月時点でのChromeの最新バージョンは「87」だが、2021年1月にリリースされる「88」では実行環境そのものがソースから削除されるため、Flashコンテンツの実行自体が不可能となる。これはChromiumを含む共通の流れであり、結果としてChromiumをベースとするMicrosoftのEdgeブラウザ(Chromium Edge)もこの流れに沿うことになる。

 Microsoftがこれまでに公開している、Flashのサポート関連の文書は主に次の3つだ。1つ目がFlashのEOS(End Of Support)全般の話題、2つ目がロードマップを含む詳細、3つ目がFlash Playerを削除するWindows Update(KB4577586)のUpdate Catalogだ。

 簡単に流れを解説すると、Chromium EdgeではFlash EOSのタイミング(2020年12月)までFlashコンテンツの実行は「disabled by default」状態となり、サイトごとに許可を行うことで実行可能だ。だが2021年1月以降には、アップデートを通じてFlash Playerそのものが削除され、これ自体は前述のようにChromium側のロードマップに沿っている。

 一方で重要なのは、Microsoft Edge(Edge Legacy)とInternet Explorer 11(IE11)で(Chromium EdgeのIE modeを含む)、こちらは「disabled by default」には“ならず”、Flash EOSのタイミングで機能削除が行われる。

 ただし先ほどの1つ目の文書にもあるように、Flashコンテンツを社内で業務利用する企業のことを考慮し、「サードパーティーが提供するプラグインでの実行」は許可する方針となっている。削除されるのはMicrosoftが提供するFlash Playerの実行環境であり、既存ユーザーはIE11(あるいはIE mode)を通じて引き続きFlashコンテンツを実行できる道が残される。

 ただ実際のところ、一般的なブラウザ環境からFlash Playerは削除される運命にあるので、対外的にFlashコンテンツを公開しているサイトでは、もはや一般ユーザーにコンテンツを見てもらう手段はなくなったと考えていい。

 先ほどの「KB4577586」はアンインストール不可のため、適用された時点でFlashの実行能力を失う。他のブラウザ環境についても、MozillaのFirefoxは「84」がFlash実行環境を持つ最後のバージョンであることが告知されており(本稿執筆時点のStable Releaseは「83」)、2021年1月26日にリリースされるFirefox 85ではFlash実行機能そのものが削除される。

 macOS向けでは、最新バージョンのSafari 14が既に“Flashフリー”状態になっており、他のブラウザに先駆けて実行環境を失っている。

 モバイルブラウザは元々Flash実行環境を持たないため、2021年1月を過ぎたタイミングでほとんどのユーザーの目からはFlashコンテンツが消えることになる。FlashはMacromedia時代の2000年前後から長らく追いかけているが、こうして1つの技術が終わりに向かう様を見届けるのは感慨深い。

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