Windows 11がバージョン別シェアの集計にデビュー:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
AdDuplexのWindows 10バージョン別シェアが久々に更新された。そこには、あのOSが早くも登場していた。新OS登場以降の「Windows as a Service」のコンセプトの行方を含めて考察した。
いきなりだが、今回はおなじみのAdDuplexにおけるWindows 10バージョン別シェアの話題から進めてみたい。AdDuplexでは、毎月末にWindows 10のバージョン別シェアの情報を、同社の広告ネットワークを通じて得た集計データ「AdDuplex Report」で公開しているが、前回の2021年4月末のレポートを最後に更新が途絶えていた。今回、7月のレポートが3カ月ぶりに復活したので紹介していく。
Windows 11がバージョン別シェアの世界にデビュー
AdDuplexの更新が途絶えていた理由は不明だが、3カ月ぶりだけあってシェアは比較的大きく動いている。まず4月末時点で最大勢力だった「Windows 10(2004)」こと「May 2020 Update」は40.6%から24.6%まで減少している。
一方、4月末時点でほぼ同等のシェアを獲得していた「20H2」こと「October 2020 Update」は40.1%から36.3%に微減となった。代わりに同時点では配信が行われていなかった「21H1」こと「May 2021 Update」は26.6%のシェアとなっている。
初期にリリースされるWindows 11が「Cobalt」と呼ばれるOSコアに属することは既報の通りだが、それ以前の「Manganese」や「Iron」といった開発コード名の付かない「Build 19041〜19043」までの3つのOSバージョンだけで87.5%のシェアを占めており(この3つは機能的な差異も少なくほぼ同族に当たる)、Windows 10のバージョン推移はほぼ収束に向かいつつあるといえる。
現状でWindows 10のバージョンがどこまで更新されるかは不明だが、場合によっては最後のOSバージョンとなる可能性のある「21H2」については7月20日にWindows Insider ProgramのRelease Preview向けに「Build 19044.1149」の配信が開始されており、OSのビルド番号が前述の3バージョンと隣接する「Build 19044」になることが判明している。
仮に21H2の次が出るとしても「Build 19045」のような数字になることが予想されるため、Windows 10のOSとしての機能更新はほぼ終了し、メインテナンスモードへと移行しつつあることがこのあたりからもうかがえる。
さて、今回のAdDuplex Reportの最大の目玉は、やはりWindows 11のシェアだろう。表題が既に「Windows 10, 11 OS Worldwide (PCs)」「Windows 10, 11 OS Worldwide History (PCs)」と表記されており、当面は同時集計が行われるとみられる。
Windows Insider ProgramのDev ChannelでWindows 11の配信が開始されたのが6月28日(米国時間)なので、約1カ月の配信期間となるが、わざわざ開発者向けのテストプログラムに登録して「Windows 11を試してみよう」というユーザーが全体の約1%もいるわけで、それだけ世間の関心も高いことの証左だと考える。
Windows 11の最低動作要件についてはさまざまな意見があり、これを満たせないユーザーが続出したことが話題となっているが、Windows Insider Programで配信される開発途上ビルドについてはTPM 2.0を含む動作要件の制限は特になく、比較的広い間口のユーザーがテストに参加できている。
また、7月22日にはBeta ChannelへのWindows 11の配信も開始されており、さらに広いユーザーがテストに参加できるようになった。
Dev Channelは、現状ほぼ週単位で新ビルドの配信が行われているため、「Windows 11はテストしてみたいけど煩雑な更新はちょっと……」という人も少なからずいると思われる。Beta Channelであれば少し配信頻度が落ちるので、ライトユーザーはこちらを選択してみるのも手だろう。
どれだけのペースでWindows 11ユーザーが増加していくか
以上を踏まえた上でOSバージョンの推移を見ていくが、やはり注目は2022年以降にどれだけWindows 11ユーザーが増加していくかという点だ。
以前のレポートにもあるように、Windows 11の一般配信は2022年初頭以降が見込まれている。企業向けや手動インストールを含め、プリインストールPC自体は2021年秋にリリースが予定されているが(10月末から11月前半ごろが想定される)、数としてはそれほどのインパクトが見込めないと考えている。
半導体不足によるPC供給不足もそうだが、Windowsのバージョン別シェアは、おそらく企業ユーザーの利用状況が反映されやすいため、Windows 11への移行は全体に遅れ気味になると筆者は予測している。
これに拍車をかけるのが今秋のWindows 10の大型アップデート(機能アップデート)である21H2のリリースで、当面はWindows 10側のシェアが盤石で、2022年前半の時点ではWindows 11のシェアは1〜2割程度の水準に収まるのではないかと考える。
次に、「Windows as a Service」の行方を見ていこう。
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