「iPhone 13」「13 Pro」を試して分かったこだわりの違い コンピュテーショナルフォトグラフィーはここまで進化した:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/6 ページ)
これまでiPhoneのファーストインプレッションでは、SoCとその使い方といった視点でコラムを書くことも多かったが、今回の「iPhone 13」世代ばかりはカメラにかなりフォーカスした記事にせざるを得ない。評価用端末を使い始めてすぐにそう感じた。
A15 Bionic+ソフトウェアでカメラ全体の体験を引き上げる
iPhone 13も13 Proも同じA15 Bionicを搭載しているため、ソフトウェアで実現されている機能はその多くが共通だ。
スマートHDR 4、より進んだセマンティックレンダリング、ポートレートモード、Deep Fusionの動作精度、あるいはシネマティックモードなどは、ProではないiPhone 13と同じだ。静止画カメラのApple ProRAWはProモデルのみが対応している。低圧縮高画質のビデオ形式であるApple ProRes(プロ向け動画ワークフローではよく使われている)にも年内のアップデートで対応予定だ。
中でも静止画の画質はスマートHDR 4が効果的というのが率直な感想だ。AppleはISPの更新でトーンマップやノイズ処理なども改善しているというが、ぱっと見の印象ではスマートHDR 4が一番見た目の変化が大きい。
iPhone 13 Proで撮影。被写体ごとに現像が最適化されるのは以前と同じだ。ただ、iPhone 13世代では個々の被写体の輝度レンジがそろいすぎていたのが、映像内で描き分けるようになった(クリックすると実寸表示)
スマートHDR 3との具体的な処理内容の違いは明らかではない。しかし撮影結果の違いは大きく、写真全体のバランスを取っていることが感じ取れた。スマートHDRでは被写体ごとに分離して、それぞれに適した現像パラメータを適用する機械学習処理が行われるが、スマートHDR 3では影の部分を明るく引き上げるなど、全体を見渡したときの明るさバランスが崩れることがあった。
スマートHDR 4では、映像全体の明るさのバランスが良くなり、また、局所で見た場合にはディテールが深く描かれる。Appleの説明では人物ごと異なる最適化をするようで、肌の色のタイプや日焼けの具合などえお個別に判別しながら動作するという。
日常的なシーンを撮影しているときにも、随分ぱっと見にキレイな写真と感じることが多いiPhone 13世代のカメラだが、全体の印象を変えているのはスマートHDR 4だろう。
iPhone 13の超広角カメラで撮影。下のiPhone 12 Proとほぼ同じカメラモジュールのはずだがスマートHDRの効き方が異なる。以前は建物の影や樹々の葉が明るく鮮やかになりすぎて立体感を失っていたが、写真全体のバランスを取るようになった(クリックすると実寸表示)
ポートレートモードで撮影。過去のレンズを研究して仮想のポートレートレンズを設計。その光学特性を演算でまねるのがこのモード。複雑な光の中でとりわけきれいな光の風合いが出てくれる(クリックすると実寸表示)
また超広角カメラでのナイトモードも加わっている。夜景撮影では大変に便利なので、積極的に使いたい。一方で「これは楽しい」と、思わず撮影日程の半日の大多数を使ったのが最新機能のシネマティックモードだ。
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