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サブスク契約は必要? 映像の遅延は? バッテリーの持ちは?「Google Nest Cam」を使って分かったこと山口真弘のスマートスピーカー暮らし(3/3 ページ)

スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする連載。今回はGoogleの見守りカメラ「Google Nest Cam」を使い込んで分かったことをまとめよう。

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スマートディスプレイからのライブ映像視聴にも対応

 さて本製品は、同じGoogle Nestファミリーのスマートディスプレイ「Google Nest Hub」で、映像を表示することもできる。

 使い方は簡単で、「ねぇGoogle、(カメラ名)を見せて」と呼びかけることで、「はい、(カメラ名)からストリーミングします」という返事とともに、本製品のライブ映像を表示できる。「(カメラ名)を見せて」から実際に映像が表示されるまではほんの数秒程度で、十数秒は余裕でかかる他社のネットワークカメラと比べてもレスポンスは速い。

 表示できるのはライブ映像のみで、履歴から過去映像を呼び出しての視聴などには対応しない。ライブ映像を見る以外でできる操作といえば、ダブルタップでズームできるというだけだ。カメラ回りの設定、例えばマイクの有効/無効などは、スマホアプリから行った設定がそのまま適用され、Google Nest Hub上では変更できない。

Google Nest Cam
「Google Nest Hub」でライブ映像を表示できる。内容はスマホアプリで表示されるライブ映像と同一で、過去の履歴を見ることはできない

 このように挙動をまとめると、さも制限があって物足りないように見えるが、これをGoogle Nest Hubではなくスマホアプリで見ようとした場合、スマホのロックを解除してアプリを立ち上げ、さらにカメラをタップして開いて……といった手間がかかるのに対し、音声コマンド一発ですぐさま表示できるのは便利だ。本製品とスマホアプリの排他視聴ではなく、同時視聴が可能なのもいい。

 これまで本連載で試用したネットワークカメラは、最長10分ほどで画面が自動的にオフになってしまうのが通例だったが、今回試しにオンのまま放置したところ、12時間ほど経過してもライブ映像の画面がそのまま表示されていた。前述のように、Wi-Fiの都合で切断されることはあるとはいえ、システム側で時間が制限されていないのは価値がある。

 そのため、例えば自室での作業中に、ドアベルを鳴らさない来訪者、例えばデリバリーサービスの訪問を、玄関に取り付けた本製品の映像を見ながら待ち構えるといった使い方には向いている。Google Nest Hubの周辺機器として見た場合も、優秀な製品と言えるだろう。

Google Nest Cam
任意にオフにしない限りライブ映像のプレビューは表示され続けるが、電波状態が悪いなどの理由で切断されるとこのような画面になる

高価ながら完成度はピカイチ。屋内専用モデルにも期待

 以上のように、本製品は、現行のネットワークカメラで最高峰の機能および性能を備えた製品だ。他のネットワークカメラにあって本製品にない機能といえば、パン/チルト機能くらいだが、これは室内で動き回る子供やペットを追いかけるニーズに対応したもので、カメラとしての使い方が根本的に異なる。機能が不足しているというよりは、ターゲット層が違う製品とみなすべきだ。

 その中で、もっともエッジが立った機能はどれだろうか。AIによって被写体を識別/通知する機能は、確かに特徴的な機能ではあるが、前回紹介したSpotCamにも搭載されているし、検知エリアの指定も含めて、オンリーワンの機能ではない。屋外設置が可能というだけであれば、他にも製品は多数ある。

 そうした意味で、本製品の最大の利点は、電源ケーブルを外した状態で長時間駆動できることが1つある。また、被写体の識別やエリアの指定といった機能と、他のライブカメラに比べて遅延が少ないといった、ネットワークカメラとしてストレスなく使える総合力の部分だろう。既存のGoogle Home製品と操作性がシームレスなのもよい。

Google Nest Cam
履歴データを初期化した状態。データ自体は消えるが履歴は残るので、削除したことが一目で分かる(左)。本体が盗難に遭ったとしても履歴は残る。また単体では初期化できない(中央)。スマホアプリ側でデバイス削除の操作をすることで初めて動画履歴をクラウドから削除できる(右)

 もっとも、こうした機能の豊富さ、さらには完成度の高さから、価格は税込み2万3900円と、低価格化が進むネットワークカメラの中ではかなりのハイエンドだ。いくら製品選びで失敗したくないとはいえ、これまでネットワークカメラを一切使ったことのないユーザーが、これだけの費用をポンと払って購入するのには、ちょっとした勇気が必要だろう。

 もちろんバッテリー駆動など、本製品にしかない機能に魅力を感じるのであればいきなり購入しても差し支えないが、まずは本製品よりも先にリーズナブルなネットワークカメラを使って、できること/できないことをしっかりと把握し、それらが不自由と感じた場合に、その上位のモデルとして本製品を導入するという考え方もある。本製品ほどの機能がなくても、満足してしまうことも考えられるからだ。

 そうした意味においては、このGoogle Nest Camというシリーズに、もう1つローエンドのモデルが存在していてもよいのではないか、今回試用してみてそのように考えさせられた。本製品は電源アダプター式の屋内用モデルが近日発売予定とされており、ラインアップが広がれば、ユーザーとしてもさらに選びやすくなることだろう。

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