外付けの「Wi-Fi 6アダプター」は通信環境を改善する? バッファロー「WI-U3-1200AX2」を試す(2/2 ページ)
バッファローがUSB 3.0接続のWi-Fi 6アダプターを発売した。Wi-Fi 6ルーターのある環境下でどのくらいの通信速度の改善効果があるのか、簡単ではあるがチェックした。
「USB接続」だと有意な差が出る可能性がある
「WI-U3-1200AX2のパフォーマンスはどうなのか?」と疑問に思う人もいるだろう。そこで、少し古めのWindows 10 PCを使って通信速度を比較してみよう。使うPCの主なスペックは以下の通りだ。
- CPU:Intel Core i5-4200M(2.5GHz〜3.1GHz、2コア4スレッド)
- メインメモリ:16GB(DDR3 SO-DIMM)
- SSD:512GB(Serial ATA接続)
- OS:Windows 10 Pro(64bit)
その他、通信回りの条件は以下の通りとなる。
- 通信回線:NTTドコモ「ドコモ光」 1ギガ タイプA(戸建て)
- 通信ISP:@nifty(@nifty with ドコモ光/v6プラス)
- 光終端装置兼ルーター:NTT東日本 PR-400NE
- Wi-Fiルーター:ネットギア RAX20(Wi-Fi 6対応)
Wi-Fiルーターは、光終端装置兼ルーターの配下に置いて「アクセスポイント(ブリッジ)モード」で運用している。Wi-Fi 6利用時の理論上の最高通信速度は5GHz帯で1201Mbps、2.4GHz帯で574Mbpsと、WI-U3-1200AX2のスペックと同一だ(※3)。
(※3)2.4GHz帯の最高通信速度が1Mbps違うのは、バッファローとネットギアで小数点以下の数値の扱いに差があることが理由だと思われる
通信速度の計測は、Webブラウザから「Speedtest.net」にアクセスして行った。計測サーバは東京都文京区に設置されているという「IPA CyberLab」を選択し、マルチセッションでの通信速度をチェックする。
検証で利用するPCでは普段、USB 2.0接続のWi-Fi 5アダプターを挿して運用している。このアダプターで昼間時(12〜13時頃)に3回速度を計測した結果は以下の通りだ。
- 1回目:下り178.65Mbps/上り178.7Mbps
- 2回目:下り102.46Mbps/上り161.88Mbps
- 3回目:下り129.89Mbps/上り130.6Mbps
- 平均:下り137Mbps/上り157.06Mbps
USB 2.0の理論上の最高通信速度は480Mbpsである。それに対して、このアダプターの理論上の最高通信速度は433Mbpsとなる。後に示すWI-U3-1200AX2での通信結果を見ると分かるが、このアダプターでは良い条件でも200Mbps弱の速度を出すのが限界だと思われる。
このPCのUSB 3.0ポートにWI-U3-1200AX2を接続し、昼間時(12〜13時頃)に5GHz帯で3回計測した結果は以下の通りとなった。
- 1回目:下り184.45Mbps/上り456.34Mbps
- 2回目:下り185.9Mbps/上り609.2Mbps
- 3回目:下り187.98Mbps/上り604.93Mbps
- 平均:下り186.11Mbps/上り556.82Mbps
下りの速度は、Wi-Fi 5アダプターと大差がないことから、190Mbps弱という速度はインターネット回線(ISP)側の上限なのだと思われる。一方で、平均値同士の比較だが上りの通信速度はWi-Fi 5アダプターの約3.55倍となった。
自宅で接続しているWi-Fiクライアントの台数は常に20台を超えている。接続ポートが理論上の最大通信速度が5GbpsであるUSB 3.0に変わったことはもちろんだが、クライアントの接続台数が多い環境におけるWi-Fi 6のスループット(実効通信速度)改善も大幅な増速に貢献したものと思われる。
参考にCore i7-8565Uを搭載しているノートPCに搭載されているWi-Fi 5アダプター(最大通信速度は1.73Gbps)でも速度を計測した。AX20と組み合わせた場合の最高通信速度は866Mbpsになる……はずだが、WI-U3-1200AX2と比べると上り速度が遅い。Wi-Fi 6のスループット改善効果は思った以上に大きそうである
WI-U3-1200AX2はどんな人にお勧め?
製品情報を見ると分かるが、WI-U3-1200AX2はWi-Fi 6非搭載のPCをWi-Fi 6にアップグレードしたいユーザーに向けた製品だ。Wi-Fi 6ルーターを導入した一方で、クライアントとなるPCがWi-Fi 5までの対応にとどまっている場合に最適な製品といえる。
特に、今回の検証のようにUSB 3.0ポートがあるのにUSB 2.0接続のWi-Fi 5アダプターをつないでいるPCや、最高通信速度が433MbpsのWi-Fi 5アダプターを内蔵するPCでは導入の効果が大きくなりそうだ。税込みの実売価格は6000円弱とWi-Fi 6アダプターとしては手頃なので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。
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