モバイル向け「第12世代Coreプロセッサ」の本格展開は3月から 性能はどう?(2/3 ページ)
ハイエンド向けから先行展開が始まったモバイル向け第12世代Coreプロセッサ。いよいよメインストリームを担う「Pプロセッサ(28W)」と「Uプロセッサ(9W/15W)」を搭載するノートPCの展開が始まる。それに先立ってIntelが実施した説明会をもとに、製品概要を改めて解説する。
Pプロセッサは「エンスージアストレベル」のパフォーマンス
PプロセッサとUプロセッサのPBPとターボパワー(TP:最大消費電力)は以下の通り設定されている。
- Pプロセッサ
- PBP:24W
- TP:64W
- Uプロセッサ(15Wモデル)
- PBP:15W
- TP:55W
- Uプロセッサ(9Wモデル)
- PBP:9W
- TP:29W
パワーモードの呼称が先代(開発コード名:Tiger Lake)から再び変更されたが、PBPは先の注釈にもある通りPL1、TPはPL2に相当するものだと理解すればいい。ただし、個々のPCにおけるCPUの最大消費電力は「PBP以上TP以下」の範囲内で設定されるため、同じCPUでもメーカー(あるいはモデル)によってある程度の性能差が生じうることは先代と同様だ。
Intelによると、PBPが15WとなるUプロセッサで最上位となるCore i7-1265U(Pコア2基+Eコア8基)は、同じ消費電力で稼働するCore i7-1195G7(2.9GHz〜5GHz、4コア8スレッド)と比べてCPUのマルチスレッド性能が上回るという。さらに、Pプロセッサの最上位であるCore i7-1280P(Pコア6基+Eコア8基)では、Core i7-1265Uをさらに上回るマルチスレッド性能を発揮できるという。
Pプロセッサについて、「そもそも消費電力大きいじゃん」「コアの数が違うじゃん」というツッコミたくなる気持ちは良く分かる。Intelのいう「エンスージアストレベルのパフォーマンス」もちょっと大げさに聞こえなくもない。しかし「Uプロセッサだとパフォーマンスが物足りないけれど、Hプロセッサだと過剰なんだよな……」という人にとって、新たな選択肢ができたということは歓迎すべきことだろう。
25Wで稼働するCore i7-1195G7を100%とした場合のマルチスレッド性能の比較。CPU自体の消費電力はさておき、モバイルできる範囲でより高い処理性能を得るなら第12世代Coreプロセッサが有利であるということを示している
内蔵GPUは、先代に引き続きXe-LPアーキテクチャに基づくものとなる。Core i5以上では「Iris Xe Graphics」、Core i3以下では「Intel UHD Graphics」という名称になるのも同様だ。Iris Xe Graphicsなら、フルHD(1920×1080ピクセル)のゲームであればある程度快適に楽しめる。
第12世代Coreプロセッサには、IPU(Image Processiong Unit)が内蔵されている。IPU自体は第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Ice Lake)から搭載しているが、第12世代Coreプロセッサの「IPU6」は、第10世代と比べると最大で10倍の処理パフォーマンスを持っているという。Web会議アプリやWebカメラのデバイスドライバーがうまく活用できれば、消費電力を抑えつつ、カメラの映像品質を引き上げられる。
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