「Mac Studio」「Studio Display」を試して実感した真の価値 小型・高性能に加えてAppleの総合体験も提供:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)
「Mac Studio」を使い始めてみると、コンパクトで省電力ながら高いパフォーマンスを発揮できるのはもちろん、別の画期的な点にも気付いた。それは「Studio Display」と組み合わせた場合のAppleが注力している総合的な体験レベルの高さだ。
セパレート型MacでもAppleの総合体験を演出
Studio Displayは他にも多くの特徴がある。True Tone対応は既に述べたが、周囲の輝度に合わせて適切なトーンカーブで描く近年のApple製ディスプレイの特性と同様に制御され、MacBook Proで搭載された「リファレンスモード」(業界標準規格に合わせたディスプレイ特性で表示、キャリブレーションも行える機能)にも対応している(なお、HDR関連の標準規格には対応していない)。
上位の32型6Kディスプレイ「PRO Display XDR」のようにローカルディミングを駆使して暗部バックライトの絞り込みは行っていないため、暗部の色再現性には限界もあるが、ダークルームで映像調整を行うといった用途でなければ、画質や色再現性の面でも極めて良好だ。
そもそもの話でいえば、27型のフルラミネーションで作られた5Kディスプレイというだけでも、Studio Displayはユニークな存在だ。
Studio Displayに弱点がないかといえば、Macとタイトに統合した故の応用範囲の狭さはある。入力はThunderboltの1系統のみでHDMI機器を接続できず、操作ボタンも一切ないため、Mac以外と組み合わせて使いこなすことは困難だ。そもそもファームウェアのアップデートや輝度調整にMacが必要という事情もある。
しかしそもそもが「Macの拡張デバイス」であるのだから、コンセプトからいえば、ディスプレイそのもののシンプルな使いやすさを損ねる要素を排除しただけとも捉えられる。このコンセプトが受け入れられたなら、あるいはPCの世界でも同様の総合体験を演出するディスプレイ、あるいはそのための規格が作られるようになるかもしれない。
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